ラーメンや漬物などは、とても美味しい反面、塩分の高さが気になります。塩分のとりすぎは、高血圧をはじめとする生活習慣病の一因と言われており、高血圧から引き起こされる心臓や脳・血管の病気は日本人の死因の4分の1を占めています。いつまでも美味しいものを食べられる健康な身体でいるためにも、塩分のとりすぎは控えたいですよね!
そこで有効なのが減塩対策です。料理の作り方や使用する調味料を工夫することで、塩分を控えめにしても普通に塩分を加えたのと同じくらいしょっぱい味にすることができるのです。今回は、お酢を使って簡単に減塩対策をしてみたいと思います!
今回は、ゴーヤチャンプルーを使って減塩の効果をみてみましょう。実験は、通常のレシピで作ったゴーヤチャンプルーをABの二つに分け、Aはなにもせず、Bはお酢を大さじ一杯かけて行いました。そして、食べ物の味覚を数値化できる味覚センサー「レオ」を使って、塩味をはじめ、味覚の変化をみてみました。
その結果がこちらです。
何も入れないAよりも、Bの方が酸味が増したのは当然ですが、塩味に注目してください。Bでは酸味だけではなく塩味も強くなっていたのです。また、Bのほうが苦味も大幅に減っていました。
酸味と塩味は、適切なバランスで加えると互いを強め合う効果があるらしいことがわかっています。さらに今回の場合は、お酢を加えることで、ゴーヤの細胞の中身含まれる水分や苦味の成分は、外に溶け出しやすくなります。こうしてゴーヤの苦味が減ったことで、ゴーヤチャンプル全体の苦味も和らいだと考えられます。苦味が和らいだ結果、相対的に塩味が前に出てくるようになったのでしょう。
このように、お酢を料理に使うと普段より少ない塩分でも味を濃く感じることができる場合があります。苦味が極端に強くない場合でも、塩分の代わりに酢を加えることで、酸味があることで塩味が引き立って感じられるのです。あなたもぜひ、塩分が気になりはじめたらお酢を試してみくださいね!
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。