いよいよ本格的な夏がやってきました!夏の飲み物の代表といえば、麦茶ですよね。
やかんで沸かした麦茶をシンクの中の流水で冷やすというのが昭和の夏の定番風景でしたが、今では水を注いだポットに麦茶パックを放り込み冷蔵庫に入れておけば、冷え冷え麦茶を飲む事ができる便利な時代となりました。
ところで、あなたはお湯出し麦茶派ですか?水出し麦茶派ですか?
ズボラが大好きな私はもっぱら水出し麦茶派!とはいったものの、たとえ同じ麦茶パックを使っても、水出し麦茶よりもお湯出しした後に冷やした麦茶のほうがおいしい気がしてなりません。
それが気のせいなのか、実際に味に差が出ているのか…。
ここは、味覚を客観的に数値化してくれるハイテク味覚センサーレオくんに飲み比べをお願いして、ご意見をいただきましょう。
それでは、お湯だし麦茶と水出し麦茶を味覚センサーレオで検証していきます。
使った麦茶パックのパッケージに記載されている「おいしい作り方」にしたがって、お湯出しと水出しで麦茶を作りました。
お水1リットルを沸騰させ、麦茶1パックを投入。10分置いた後パックを取り出し粗熱を取って冷蔵庫で冷やしたもの。
お水1リットルに麦茶1パックを投入し、そのまま冷蔵庫で冷やしたもの。
レオくんの検証の結果はこのようになりました。
やはり気のせいではなかった…!確かに味の差が出ていますね。水出しの麦茶に比べると、煮出し麦茶は甘味・旨味・苦味が強い傾向にあります。
さらにコクに注目して比較してみました。すると…
お湯出し麦茶のほうが高い結果に!その差0.36ポイント。0.2ポイント以上の差は95%以上の人が味の差をはっきりと認識できるという数値なので、お湯出し麦茶は水出し麦茶に比べてコクがマシマシであり、深い味わいになっていると言えそうです。
では、なぜ抽出する水の温度によって味に差が出るのでしょうか?
麦茶の香ばしさやコクは、麦を焙煎した際に生まれる「アルキルピラジン」という香味成分によって引き出されます。この「アルキルピラジン」は味博士の研究所でもたびたび登場する、「メイラード反応」中に生まれる成分です。
麦茶パックは麦を焙煎してメイラード反応を起こし、香味成分「アルキルピラジン」を発生させて作られています。その麦茶パックをお湯出しする=更に熱を加えて「メイラード反応」を起こすことで、より多くの「アルキルピラジン」を含む麦茶が出来上がります。
そのためお湯出し麦茶は、水出し麦茶よりも香味成分豊かで味わい深い麦茶が出来上がるのです。おいしい麦茶を飲むためにはこの「メイラード反応」を意識して作りましょう!
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。