お菓子・料理研究家。シンプルなレシピが好評。
「お菓子はレシピ通り作れば、必ずおいしく作れます」と話すのは、お菓子研究家・福田淳子さん。丁寧なレシピとその再現性の高さで人気の福田さんに、この連載では材料4つで作れる“本当においしいお菓子”を紹介していただきます。第10回は、意外と簡単に作れる「ぜんざい」です。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。風邪などひかれてはいませんか?
今日は小豆を豆から煮て作る、手作りぜんざいをご紹介します。もちろん、材料はたったの4つ。特別な道具はいりません。「え? 豆から?」と思われた方も心配は無用です。必要なのは時間だけ。あとはほんの少しの手間でおいしい小豆のおやつができあがります。
自分で作ると、甘さを自由に調整できるのがいいところ。小豆のシンプルなおいしさを生かして砂糖を少なめにしてもいいですし、ある程度しっかりした甘さが欲しい! という人は基本の分量で作ってみましょう。私は「あんこはきちんと甘い方がいい派」です(笑)。
乾燥豆を調理したことがある方はご存知かもしれませんが、ほとんどの乾燥豆は調理の前に水で戻す作業が必要です。煮る前に1晩程度水に入れて、吸水させるのです。しかし、小豆は浸水作業が必要ないので、思い立ったらすぐに作れます。
使用する豆は、「小豆」と書いてあるものならば何でもOKです。産地や品種、粒の大きさなどはお好みで選んでくださいね。
豆が煮える時間は、品種と、大きさと、新しさで変わってきます。時間を短縮したい人は、新豆と書いてあるものを選ぶとよいでしょう。
今回は作りやすい量として、小豆200gを煮ています。ぜんざいにして4〜5人分で、一人暮らしや、二人暮らしにはちょっと多めの量です。ただ、調理した小豆は冷蔵保存も冷凍保存もできますし、何より量が増えても、手間と調理時間はほとんど変わらないので、まとめて作っておくのがおすすめです。それでも多いかも、と思われる方は、すべての材料を半分にして作ってみてください。
豆と水を鍋に入れ火にかけたら、さし水をしながら煮ます。さし水とは、材料をゆでている途中で少量の水を加えること。こうすると、ふきこぼれを防ぐとともに、材料に均一に火を通すことができます。
20分くらい煮たら、1度火からおろしざるにあげて、流水で洗い流し、再び水を入れて火にかけます。専門用語では「渋切り」と言いますが、これがとても大事なポイント! 小豆のアクを取り除き、ぜんざいの味をクリアに仕上げます。
あとはひたすらコトコト、豆が柔らかくなるまで煮ます。この時間は豆によってかなりまちまちなので(私が作った時は1時間位かかりました)、必ず指で潰して確認しましょう。「指で潰しても、どのくらいになったら煮えているのかよくわからない」といったご質問をたまにいただきます。その場合は食べてみましょう。「固いな」と思ったらもう少し煮ます。「いい感じ」ならば、それができあがりです。とてもシンプル。
水は焦げないように様子を見て足してくださいね。アクは気になるならすくいましょう。でも、1度渋切りしてあれば、そんなに細かく気にする必要はありません。
小豆が柔らかくなったら、水分の量を確認。多かったら減らし、少なければ足します。
ちょうどよくなったら、砂糖を加えましょう。砂糖の種類はお好みで、すっきりさせたいならばグラニュー糖、やさしい甘さならきび砂糖。黒糖やメープルシュガー、はちみつなどを少しブレンドしても。
そして、砂糖を加える時に塩も加えるのが第2のポイント。本当に少量なのですが、この塩が小豆の味をキリッと引き締めます。忘れずに入れてくださいね。
潰し加減と濃度はお好みで。木べらやゴムベラで潰してもいいですし、マッシャーを使ってもいいと思います。お玉の背で潰しています、というのを聞いたこともありますし、ブレンダーに少しだけかける、でもよいです。なんでもいいのでおうちにある道具を使いましょう。
もちろん、潰さないほうが好み! という人はこの工程を飛ばしても大丈夫です。できあがった小豆は、冷蔵庫で4〜5日間保存できます。それ以降は冷凍保存で。冷凍しておけば、食べたいときにいつでもおいしい小豆が食べられます。
熱いうちにうつわに盛り付けて、焼いたお餅を加えたらぜんざいの完成です。白玉だんごと合わせてもおいしいですよ。
多めに作ったら、ぜひアレンジメニューの『小豆いちごミルク』も試してみてください。ミルクといちごと合わせて冷やしていただきます。あんこといちごとミルクって、なんでこんなに合うんでしょう? 純和風とはまた違ったおいしさです。
寒い冬の日に、コトコトと小豆を煮るのはなんだかとても幸せな時間だなと思います。みなさんも時間がある時に、ぜひ試してみてくださいね。
小豆…200g
お好みの砂糖…120〜180g
塩…小さじ1/4
餅…適量
1.小豆は水で洗い、鍋に入れ、水をかぶるくらいに加え火にかける。沸騰したら、弱火にして何度かさし水をして20分ほど煮る。
2.1度ざるにあげ、流水で洗い、再度鍋に水を入れて火にかける。沸騰したら弱火にして、豆が柔らかくなるまで煮る。
*豆を手で潰してみて、抵抗なく潰れればできあがり。
*気になるようであればアクをすくう。
3.自分の好みの濃度になるように水分を調整し(多ければ減らし、少なければ足す)、砂糖と塩を加えて、お好みで豆を潰します。
4.うつわに入れて、焼いた餅を加えます。
基本のレシピで作った小豆を冷やして、牛乳を加えて混ぜる(目安は1:1くらい。あとはお好みで調整してください)。うつわに入れて、いちごを適量トッピングし、最後に小豆を適量のせる。混ぜながらいただく。
個人的には小豆を潰すときにはマッシャーを使っています。力が入りやすいので作業しやすいです。おうちにマッシャーがある人は試してみてくださいね。
お部屋がぱっと明るくなる、美しいお菓子満載のカレンダー。いちごやキウイ、マスカット……。宝石のように美しいフルーツが輝く夢のようなお菓子の数々を紹介しています。
『「お菓子は魔法」だなといつも思います。カレンダーを見るたびに幸せな気分になれますように、そんな願いを込めながら12ヶ月分のお菓子を作りました。巻末にはレシピがついていて、実際にお菓子を再現することもできます。ぜひ1度手にとってご覧ください』と福田さん。みなさんもぜひ、お手に取ってみてください。
お菓子・料理研究家。カフェでメニュー開発や店舗の立ち上げを経験後、雑誌や書籍を中心に活躍中。身近な材料と、シンプルな手順で美味しく仕上がるレシピに定評がある。これまでに手がけたお菓子の本は30冊以上。
【Instagram】@junjunfukuda
お菓子・料理研究家。カフェでメニュー開発や店舗の立ち上げを経験後、雑誌や書籍を中心に活躍中。身近な材料と、シンプルな手順でおいしく仕上がるレシピに定評がある。これまでに手がけたお菓子の本は40冊以上。
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【note】@sakuracoeur