3月1日は「マヨネーズの日」。1925年(大正14年)3月に日本で初めて製造・販売されて以来、いまやどの家にも必ずあると言っても過言ではないほど、マヨネーズは身近な存在となりました。
最近では、単にサラダにかけて食べるだけでなく、炒め物など調理の際にマヨネーズを活用する人も増えています。さらにマヨネーズそのものの味を楽しむ使い方だけでなく、料理の仕上がりをぐっと格上げしてくれる裏ワザ的な活用法もたくさんあることをご存じでしょうか?
マヨネーズの新たな楽しみ方を知れば、料理の幅も広がること間違いなし! キユーピーで商品開発に携わる、マヨネーズのすべてを知り尽くしたプロ・村上智砂さんに、特にオススメの「マヨネーズの意外な使い方」と「絶品マヨレシピ」を教えていただきました。
――早速ですが、野菜などに付けて食べる以外に、マヨネーズってどんな使い方ができるんでしょうか?
すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ハンバーグを作る時に、ひき肉の5%量のマヨネーズを肉だねに混ぜて焼くと、お肉が固くならず、ふんわりジューシーなハンバーグが出来上がります。お肉の味を邪魔しないし、手間もかからなくていいですよね。
それから、個人的によく使うのは「チャーハン」を作る時です。ご飯がパラパラになって、まるで中華料理店で出てくるような本格的なチャーハンに仕上がります。
ほかにも、天ぷらの揚げ衣にマヨネーズを入れるとカラっと揚がったり、実はマヨネーズの使い道って多いんですよ。
――中でも、マヨネーズを知り尽くした村上さんが驚いた「意外な使い方」はありますか?
マヨネーズがお菓子作りにも使えることを知った時は驚きましたね。ホットケーキの生地に入れたり、マフィンやケーキに入れるとふわっとした仕上がりになります。
また、「プリン」に入れてもおいしいんですよ。おうちでプリンを作ると固くなってしまうことがありますが、プリン液にマヨネーズを入れると、しっとりなめらかな食感になります。もちろん、味の邪魔は一切しません。
あと、魚との組み合わせもオススメです。よく握り寿司にちょこっとマヨネーズが添えてあったり、巻き寿司の中に入っていたりしますが、マヨネーズには魚の生臭さを消し、食べやすくしてくれる作用があるんです。
――なぜマヨネーズを使うと、そうした効果が得られるんでしょう?
キユーピー マヨネーズの主原料は「卵黄」「植物油」「酢」の3つ。これらを混ぜることでマヨネーズができます。本来、水分である酢と油は混ざりませんが、卵黄が両者を結び付けることで「乳化」され、きれいなクリーム状に混ざるんですね。
「乳化」というのはつまり、酢の中に卵黄に包まれた「小さな油の粒」がたくさんある状態なんですが、この「小さな油の粒」が、良い仕事をしてくれるんです。
例えば、ハンバーグがふんわりジューシーに仕上がるのは、「小さな油の粒」が加熱によるたんぱく質の結合をソフトにしてくれるから。プリンがしっとりなめらかに仕上がるのも、同じ理由です。
そして、お肉の下味付けにマヨネーズを使うと、ふんわりジューシーにするだけでなく加熱時に「小さな油の粒」がお肉をコーティングして、パサパサ、カチカチになるのも防いでくれます。チャーハンがパラパラになるのも、「小さな油の粒」がご飯の一粒一粒をコーティングしてくれるからです。
天ぷらがカラっと揚がるのは、揚げ衣にマヨネーズを入れることで、「小さな油の粒」が衣に分散し、衣の中の水分を蒸発しやすくしてくれるからですし、「乳化」はマヨネーズが持つさまざまなパワーの秘密と言ってもよいのではないでしょうか。
また、マヨネーズの主原料の一つである「酢」にも、たんぱく質に作用してお肉を柔らかくしたり、魚の臭みをマイルドにする効果があります。
こんなふうに、いろんな料理の仕上がりをアップしてくれる特性があるので、マヨネーズは料理のジャンルを問わず幅広く使っていただけると思います。
――「小さな油の粒」や「酢」がいろんな効果を生んでるんですね! でも、出来上がったお料理が全部マヨネーズ味になってしまったりしませんか…?
確かにそう思いますよね(笑)。でも、その心配はありません。
マヨネーズの主原料である「卵黄」「植物油」「酢」はすべて、普段からお料理でよく使うものですよね? どれも単体では、食材そのものの味を大きく変えてしまうような主張の強い味でないことは、皆さんもよくご存じかと思います。
また、マヨネーズは火を通すと中の油が溶け出し、味わいが変化します。そのままのマヨネーズの味は主張が強いかもしれませんが、加熱によって油が溶け出すと食材とのなじみも良くなるんですよ。
――それを聞いて安心しました。では、村上さんイチオシのマヨネーズを使ったおいしいレシピを教えてください。
はい。特においしいなと思ったマヨネーズを活用したレシピを4つご紹介しますので、ぜひ皆さんに試していただけたらと思います。
1つ目は、いろいろな食材で楽しめる「マヨソテー」です。キユーピーのマヨネーズは卵黄をたっぷり使って作られているので、ソテーに使うと卵のコクが際立ちます。素材の味を邪魔しないので、いろいろな食材に合わせることができ、マヨネーズとお好みの調味料を組み合わせることで味のバリエーションも広がるので、アレンジ自在なんです。
また、これからの季節は、キャベツなどの葉物野菜に合わせるのもオススメです。ピーマンやゴーヤをマヨネーズでソテーすると苦みを和らげてくれるので、お子さんも食べやすくなると思います。ぜひ試してみてください。
2つ目は、お好みの調味料と合わせて楽しめる「マヨ鶏」。鶏むね肉にマヨネーズ入りの調味液を漬け込んで焼くと、パサつかず、しっとりジューシーな食感になります。
マヨネーズは、醤油や味噌、オイスターソースなど、ほかの調味料との相性も良いので、組み合わせを楽しんでみてくださいね。
3つ目は「スクランブルエッグ」です。皆さんもきっとよく作るメニューの一つではないでしょうか? マヨネーズと卵をレンジでチンするだけで、簡単にふわふわなスクランブルエッグが出来上がります。
しかも、火を通した卵って時間が経つと黒っぽくなってしまうこともありますが、マヨネーズの中のお酢の働きで、黒くなるのを抑えてくれるんです。乳化された油の粒は冷めても固まらないので、卵も柔らかいまま。お弁当にもオススメですよ。
そして4つ目は、「ハニーマヨトースト」。意外な組み合わせかもしれませんが、個人的にはイチオシのレシピです(笑)。
はちみつトーストは鉄板のおいしさですが、そこに酸味とコクのあるマヨネーズを足すと、甘さと酸味と香ばしさが相まって、やみつきになるおいしさに!焼き過ぎると味が変わってしまうので注意してくださいね。
仕事柄、今はほぼ毎日マヨネーズを口にしていますが、自分でもびっくりするほど味に飽きていません(笑)。日々、「こんなにコクがあるんだ」とか「素材の味をこんなに引き立たせてくれるんだ」とか、新しい発見があります。たくさんの方に、いろいろな料理でマヨネーズを使っていただいて、自分なりの「おいしい使い方」を発見していただけたら嬉しいですね。
(TEXT:河野友美子、中川香里、福井千尋)
記事でご紹介した以外にもマヨネーズを効果的に使ったレシピはいっぱい。もっといろんな「意外な使い方」を試してみたい方は、ぜひチェックを!
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