“クックパッド芸人”を自称し、自らのキッチンに1000品以上のレシピを掲載している「藤井21」さん。1人(ソロ)で作って1人で食べるという「ソロ飯」を日々楽しんでいるそう。藤井21さん自作のおすすめレシピと、悲喜こもごものエピソードをご紹介します。第14回のテーマは「ベトナム」。旅行できない今だからこそ、本場のレシピをおうちで楽しみましょう!
二月某日、僕はベトナムにいた。
ベトナム訪問の理由は、ベトナム人の友達の結婚式に参列するためだ。
わざわざ結婚式に参列しにベトナム行くってバカげている?
それくらいの軽い気持ちで国外に飛びだしたって良いもんだろう。
結果的にベトナム滞在では、驚く程様々な経験をした。
爆音のEDMが鳴り響く結婚式や、各家庭で作られる40度の自家製酒を呑み交わしたことや、スクーターにサンケツしたこと等色々あるが。
それはまた別の機会に紹介するとして、今回はベトナム料理に関して固定観念を覆されたことをいくつか紹介したい。
ベトナム料理では必ずと言って良いほど香草が使われる。その一つが日本でも一時期ブームになったパクチーだ。
香りが独特でかなり好みが分かれる香草だが、個人的に感じたベトナム料理におけるパクチーの位置づけは、日本人における万能ねぎ位の感覚ということ。
炒め物にパクチー、鍋にパクチー、ビーフシチューにパクチー。実に様々な料理にパクチーが使われている。パクチーはもはや彩りくらい感覚なのではないか。日本だと万能ねぎがいる位置にパクチーがいるのがベトナム料理。身近で手軽な香草、それがパクチー。
ベトナム人の友達”レーさん"に聞いてみたら「まあそんな感じだよ」と言ってたのでそんな感じなんだろう。
※このフォーと牛すじの赤ワイン煮込みにも、どちらにもパクチーが入っている
ベトナム料理ではパクチー以外にも、驚くほど多くの香草が使われる。
スペアミントに大葉やバジル、ラウラムにドクダミだって生のまま食べる。「ラウラム」はタデ科の植物で「タデ食う虫も好き好き」のタデだ。バインミーと並ぶベトナム朝食の定番、「バロット」と一緒に食べる。バロットはアヒルの孵化前の茹で卵のことで、ベトナム人の大多数はこれが大好きだ。
ラウラムは日本ではまず見かけない香草だが、独特な苦味と強い香りがクセになる味で、ベトナム滞在中に何度も食べた。もちろんバロットと共に。
ドクダミはあのドクダミだ。あの強烈な香りを放つアイツだ。日本だとお茶等にすることが多いが、ベトナムでは生のままでバインセオと一緒に巻いて食べるのが一般的だ。ここに一緒にスペアミントも巻くとさらに良い。
バインセオはベトナム版お好み焼きのような料理で、半分に折った生地の中にもやしや海老、豚肉等を挟むのが定番だ。
そしてレーさんは大事なことを教えてくれた。
バインセオは"ライスペーパー"で巻いて食べるのが一般的だということ。
韓国の焼肉よろしく、葉っぱで包んで食べる物だと思っていたがそうではないらしい。
レーさんに教わった様に、バインセオを葉野菜や香草と一緒にライスペーパーで巻いて食べると、確かに食べやすい。葉っぱだと大きく巻きすぎて食べづらかったり、具材が溢れたりしていたのが、俄然食べやすくなっている。
口の中に広がるバインセオのパリパリと葉野菜のシャキシャキ、そして鼻腔を蹂躙するドクダミやスペアミントの強い香り。一度食べるとやみつきでしばらく忘れられないあの味。
帰国してからもしばらくはベトナムロスが続いた。
あの狂おしい程の香草の香りも、背中にバイクの風を感じながら道端で食べるバロットも、常に危険と隣り合わせの交通ルールも、その全てが帰国した今は愛おしく感じる。
……そうだバインセオを作ろう!
せっかくレーさんに本場の作り方と食べ方を教えてもらったんだから。
料理と笑いで天下を目指す男性ピン芸人。
埼玉県東松山市出身。東松山のやきとりを愛し、東松山市親善大使「東松山市應援團」の一員。食品衛生責任者の資格を持ち、クックパッドには1000以上のレシピをアップしている。日本テレビ系列『ウチのガヤがすみません!』などに出演。
>>オフィシャルブログ「良い香りのある生活」