2015年4月1日より、厚生労働省は日本人のナトリウム(食塩相当量)の目標量を男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満に変更します。従来の男性9.0g/日未満、女性7.5g/日未満から男性1.0g、女性0.5g低い基準となりました。
高血圧は日本で最も多い生活習慣病で、その数は4300万人ともいわれています。 高血圧は脳卒中、心臓病、腎臓病など命に関わる疾患を招く恐れもあり、予防が非常に重要です。 これらの高血圧を予防するために、今回見直されたのがナトリウム(食塩相当量)の目標量。いったい、血圧と食塩にはどのような関わりがあるのでしょうか? そもそも血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が血管壁を押す圧力のことで、心臓が収縮したり、拡張したりすることで発生します。血圧の値は心臓から押し出される血液量(心拍出量)と血管が収縮して血流を妨げられる血管抵抗、血管の弾力で決まります。人の血液はナトリウム濃度を一定に保つ働きがあります。塩分を過剰に摂取するとナトリウム濃度を下げるため、水分を必要とします(しょっぱいものを食べると喉が渇くのはそのため)。その結果血液量がえるので、たくさんの血液を全身に巡らせるために血管を押し広げるため血圧が上がってしまうというわけです。
厚生労働省の公表している「日本人の食事摂取基準2010年版」では18歳以上のナトリウム(食塩相当量)の目標量が男性9.0g/日未満、女性7.5g/日未満とされていましたが、「日本人の食事摂取基準2015年版」では高血圧予防の観点から男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満と低めに変更されました。また、小児期からの生活習慣病予防のため、食物繊維とカリウムについて、新たに6~17歳における目標量も設定されています。
実際の日本人の食塩摂取量は低下傾向にあるものの、平均10.4g(厚生労働省平成24年国民健康•栄養調査結果より)と、諸外国と比べても日本人の塩分摂取量は多く、WHO(世界保健機関)では5g未満を推奨しています。
日本食は、さまざまな利点があるものの、塩分が多いことも大きな特徴です。
今回の改訂を機に、日頃の食生活での塩分に注目して「減塩」「低塩」を心がけてみませんか?