料理で一番大切なのは塩の選び方と塩加減であると、多くの料理人がおっしゃいます。 塩は精製塩(化学的製法で作られた塩化ナトリウム)ではなく、粗塩(精製されていない)がよいでしょう。違いをかんたんにいいますと、ミネラルの有りと無しです。粗塩にはミネラルが含まれているので、しょっぱいながらの甘みというおいしい味があります。また、粗塩は味がまろやかで日本食に向いています。
他に、フランスのゲランド塩を備えておくのはいかがでしょうか。日本の粗塩と、ゲランド塩を二つ用意しておいて、料理によって使い分けるとよいでしょう。サラダやパスタ、焼き物など、万能に使える塩をして便利です。たとえば、目玉焼きには、粗塩よりも、ゲランド塩をぱらぱらとかけていただいたほうがおいしいです。
ゲランドの塩とは、フランス・ブルターニュ半島南部の、塩の産地として有名なゲランドで作られる海塩のことです。1000年近い昔ながらの伝統製法を守り続け、塩職人によって丹精こめて作られています。ゲランド塩の中にも、粗塩や、海藻入りの塩などいろいろとありますので、お好みでお選びください。今ではフランスのシェフだけでなく、世界中のシェフにとってなくてはならない塩といえるでしょう。
しかしながら、輸入塩については、安全基準や表示基準が存在しませんので避けたほうがよいという意見もあります。
2002年に塩の販売について、自由化され、今では様々な塩が選べるようになりました。今では1000種類を超える塩が販売されています。
砂糖といえば、白砂糖とグラニュー糖を思い浮かべる方が多いでしょう。日本で生まれて、広く使われてきた白砂糖は、身体を冷やすといわれたり、糖分が直接に身体に吸収されることから、最近は使わないという人が多くなりました。
身体によいとか悪いというのは一概には言えませんが、精製されていない、原料の風味が残る砂糖を使いたいという人が増えているのは事実です。みなさんはどんな砂糖を選んで使っているでしょうか。アメリカやヨーロッパでは、グラニュー糖が多く使われていますね。
選択肢としては、上白糖、グラニュー糖、きび砂糖、三温糖、ブラウンシュガー、黒糖、ザラ糖、和三盆など、砂糖はいろいろあります。
たとえば、煮物には三温糖、コーヒーや紅茶、洋菓子づくりにはグラニュー糖、普段の料理には上白糖というように、料理によって使い分けるのはいかがでしょうか。
しょう油はいかがでしょうか。しょう油も種類が多いので、料理に合わせて、上手に使い分けることができたらいいですね。
最も一般的なのは、料理に万能な、こい口しょう油です。
お刺身などにおすすめなのが、生しょう油です。保存がきかないしょう油ですが、風味がよいので一度試してみてはいかがでしょうか。おいしいですよ。
うす口しょう油は、ぜひ常備しておいてとよいでしょう。塩分が高く、すっきりした味わいで、ダシの風味を味わうときに使います。
たまりじょう油は、大豆だけで作られたしょう油で、トロリとした濃厚な味が特徴です。煮物に適したしょう油でしょう。
家庭では、こい口しょう油と、うす口しょう油。この二つがあれば料理は万全です。
このような調味料には様々な種類がありますが、大切なのは、味を加えすぎないことです。味つけとは、あくまでも素材の味を生かすためのものです。
文:松浦弥太郎 画:片山育美
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