奈良時代から始まったとされる『端午の節句』は、兜や鎧、鯉のぼりを飾って、男の子の成長と立身出世を願う日。風習を受け継ぎつつ、その意味を現代的にアレンジしたのが、1948年に制定された国民の祝日『こどもの日』です。【子どもの人格を重んじ、子どもの幸福を図るとともに、母に感謝する日】と規定されていること、ご存知でしたか?
今日は『こどもの日』だから、子どもの好きなメニューをいろいろ作ってあげよう!というご家庭が、きっと多いことと思います。
でも普段の日はどうでしょう?「好きなものばかり与えていると、栄養のバランスが心配」「うちの子の野菜嫌い、どうしたら治せるの?」といった“偏食問題”に悩んでいるママさん、パパさんの声は少なくありませんし、偏食を無くす工夫に苦心している話もよく聞きます。もちろん“好き嫌いなく、なんでも食べる子”であることに越したことはありませんが、そもそも子どもは身体が未熟なのと同じように、味覚も未熟なので、好き嫌いがあって当たり前なんです!
味覚の5大要素【塩味・甘み・酸味・辛味・旨み】のうち、もっとも基本的な「塩味・甘み・旨み」の3つは子どものころから“理解しやすい味=好きな味”なのですが、それ以外の味覚、また塩加減や甘みの複雑さも大人へと成長する過程で、様々な刺激を受けて変化し、発達するものなのだそう。みなさんにも「子どものころは大嫌いだったけど、いまは大好物♪」という食べ物、ありますよね?
いろいろな考え方がありますが、たとえば「にんじん嫌いの子に、にんじんと分からないようにすり潰してお肉に混ぜて食べさせる」というような努力を、「にんじんと分かって食べられるようにならなければ無意味」と評する専門家もいます。「成長すれば変わるだろう」くらいの大らかな気持ちで、お子さんの食生活を見守ってもいいのかも知れません。
子どもの味覚を尊重する!とは言っても、嫌いなものを粗末に扱ったり、家族と楽しく食卓を囲めなくなったりするのは、やはり困りもの。そうならないために“作る過程に参加させる”というのが、結構効果的です。
たとえば、家庭菜園で嫌いなピーマンを一緒に育てると、小さい芽から日に日に大きくなり、ようやく収穫を迎えた実なら、「せっかくだから食べてみようかな?」という気になります。
お料理も同じ。こねたり、丸めたり、デコったりする子どもが楽しめる工程に参加させれば、いつも以上に料理がおいしく感じるでしょうし、作ってくれた人への感謝の気持ちが生まれるはずです!
『こどもの日』を、笑顔いっぱいの親子のコミュニケーションデーにしてくださいね!(TEXT:大河原裕美)