本格的な冬を前にして、そろそろ暖房をつけ始めたお宅もあるのではないでしょうか。寒さが厳しい地方などではとくに、冬場に暖房は欠かせません。 しかし、暖房使用の際には気をつけなければいけない点があることをご存知でしょうか?
今回は、暖房の種類によって異なる体への影響について医師に解説していただきました。
まず、暖房器具ではどのようにして体が温まるのか、3種類の熱の伝わり方を通して学んでみましょう。
直接接触することで熱が伝わる「伝導」です。触ると熱いと感じるのもその伝導により熱が伝わっています。
液体や気体が動くことで熱が伝わる「対流」です。下を意識して温めるだけで、温かい空気は上にあがるので、エアコンの暖房は足元に風を送るように通常セットされます。(それでも足元に冷たい空気が残ってしまい、温まりにくいのですが)
赤外線などにより熱を伝える「放射」です。日なたは日陰より暑く感じたり、電気ヒーターのオレンジの電熱線に手をかざすとあたたかいというのは、この赤外線が届くことの影響です。
では、これらがどのように身体に影響していくのかみていきましょう。
これらは、電気ないしガスの力で室内の空気を温めて、対流の力で室温全体をあげて体を暖めます。部屋全体の空気は比較的すぐ温まりますが、空気を温めるため湿度が下がってしまいます。そのため、のどの乾燥や肌の乾燥を起こしやすい暖房方法です。
また、湿度が下がると風邪にかかりやすくなったり、ほこりが舞いやすくなる、静電気がおきやすくなるなどの影響もあります。最近は効率の良い加湿器が種々売られていますので、併用することで湿度の低下を抑えましょう。また、最新型のエアコンには加湿機能の付いたものもありますので、買い替え時には参考にしてください。
これらは、電熱線や石油を燃やすことで、赤外線による放射熱で体を温めます。赤外線は光と同じく直進し、ものにあたるとその先は影となってしまって届きません。そのため、ストーブの前だけ温かく感じられます。
しかし局所のみを温かくしすぎてしまい、当たった部分の肌の乾燥を起こしやすいので、適度な距離をとって使用したり、短時間にするなど工夫が必要です。最近の電気ストーブには首ふり機能がついているものもあります。また、不適切な使用方法によりやけどや火事を起こしうるので、小さなお子さんがいらっしゃる家庭では注意が必要です。
これらは、電気ストーブ、石油ストーブと比べて低温で用いられるため、暖める効果としては電気ストーブ、石油ストーブ、エアコン、ファンヒーターに劣り、光熱費も高めとなります。しかし乾燥を起こしにくいことやじんわり暖めることで、急激な温度変化を避ける効果も期待できるため、身体にとって優しい暖房といえるでしょう。近年普及が進んでいる暖房方法です。
特に太平洋側にお住まいの方は冬場は乾燥しますので、暖房の種類にかかわらず加湿器を積極的に使い、保湿クリームで肌の乾燥を防ぎましょう。目の乾燥が気になるときには、ドライアイ用の目薬を使うほか、マグカップにお湯を入れ少し離して湯気を目に当てることでじんわり表面を潤すことができます。のどの乾燥に対しては、のど飴やトローチもいいですが、こまめに水分補給をすることも効果的です。
なお、ガスや灯油を用いた暖房器具を用いる際には、特にマンションなどの気密性の高い住居ですと、換気をしないと不完全燃焼を起こして一酸化炭素中毒となりえますので、取扱説明書をご確認ください。
(監修:Doctors Me 医師)
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