世界の家庭料理を旅しよう!世界中の食卓で料理をつくる人 (COOK) と食べる人 (HIKER) をマッチングするWebサービス、KitchHikeの世界各国の食卓を巡る連載。今回は、東京の世田谷区は新代田にお住まいのイスラエル人ベンジャミンさんの食卓で、郷土料理をふるまってもらいました!
世界の家庭料理を旅しよう!世界中の食卓で料理をつくる人 (COOK) と食べる人 (HIKER) をマッチングするWebサービス、KitchHikeです! 旅先や日本に住んでいる外国人の食卓を訪ねて、世界中の家庭料理を取材してきた模様を臨場感たっぷりにお届けいたします。
第39回目は、東京は新代田にお住まいのイスラエル人ベンジャミンさんの食卓です!
こんにちは!これから、世界一周、郷土菓子を巡る旅を計画中の鈴木あやです。「旅するパティシエ」として、世界中の郷土菓子を発掘しながら、レシピだけでなく歴史・文化・暮らしと、その地域の価値を立体的に学んで行こうと思います。…とはいえ、出発前には準備が必要!ということで、今回もKitchHikeを利用しながら、日本に住む外国人COOKの元へと訪ねて郷土菓子の「予習」をしようと思います♪
前回は、ジャマイカの郷土菓子の予習をするために、東京・豊洲に住むジャマイカ人・ロイさんのお宅に訪問しました。
そして、今回は「イスラエルの郷土菓子」の予習です!
中東は地中海東岸の南部に位置するイスラエル。私たち日本人にとっては馴染みの薄い国かもしれませんが、「アダムとイヴ」や「ノアの方舟」なら知っているという方も多いのではないでしょうか?
旧約聖書に登場するこの物語の舞台が、まさに現在のイスラエル周辺地域で、また、その歴史においてユダヤの人々との関係は切っても切り離せません。
1世紀に、ローマ帝国の侵攻でエルサレムが陥落して以降、それまでこの地域で暮らしていたユダヤの人々は国を追われ、その後1700年にわたって、ドイツや東欧を中心に世界中に離散を強いられました。
その後、シオニズム運動や第二次世界大戦におけるナチスの迫害など、さまざまな歴史の潮流の中で、世界中にいた多くのユダヤ人が「自分たちの国をもつ」ことを目指し、彼らのルーツといわれるパレスチナの地へと集まり、1948年にイスラエルは建国されました。
さらに、ソビエト連邦が解体した1990年代には、現在のロシアやバルト三国などから約10万人のユダヤ人が移り住むことに。こういった歴史的背景からイスラエルは、国民の大多数をユダヤ人が占めているにもかかわらず、文化的には非常に国際色豊かな国家として知られています。
こういった複雑な歴史からイスラエルには、ユダヤ教信者のための食に関する規定「コーシャ」を土台にしつつ、移民たちが各地域から持ち寄った食文化や、アラブの食文化と調和しながら育まれてきたという、世界的にも希有な食文化が根付いているのだそうです。
※ コーシャ: ユダヤ教独自の食に関する戒律で、薬や調味料なども含むすべての食品において、厳格なルールに適合したものだけ口にすることが許されるというもの。
さてさて、そんなイスラエルには、どんな郷土菓子があるのでしょうか?中東のお菓子といえば、「とにかく甘そう!」とイメージする方が多いと思います。私もまさにその一人なのですが、事前に手に入る情報をかき集めてみると、どうやらその想像は間違いではなさそうなのです…。
例えば、中近東に古くから伝わるという「ハルヴァ (Halvah)」という郷土菓子。練りゴマに加え、油脂・砂糖・ハチミツなどをふんだんに使った、私たちにとっての生キャラメルのようなお菓子で、レシピを確認するだけで、「この甘さ、耐えられるかしら…」と若干および腰になってしまうほど (苦笑)。
そんな不安も抱えつつ、やっぱり中東への興味が尽きないワタクシ、旅するパティシエ。外国人COOKから直接、郷土菓子のヒミツを探りたい!という気持ちは抑えきれず…。というわけで、今回リクエストを送ったのが東京は新代田にお住まいのイスラエル人ベンジャミンさん。ベンジャミンさんのメニューをみると、美味しそうなフムスが (喜)!
まずは訪ねる前に、KitchHikeを通じてベンジャミンさんにメールで「イスラエルの郷土菓子について、教えてもらうことはできますか?」と質問♪ すると、一日も空くことなく、「もちろん!そういうことであれば、“Syrniki”をごちそうするよ。」という、すぐにうれしいお返事が!
それにしても「Syrniki」!? …これは、前回予習したジャマイカ以上に未知の郷土菓子の予感なのです。しかし、想像していたような中東の言葉ではないような…?
早速、事前にインターネットで調べてみると、“シルニキ”というお菓子を確かに発見!ただ気になるのが、同時にヒットするキーワードは、「ロシア」「ウクライナ」など他の国々の名前だということ。
う〜ん、これは本当にイスラエルの郷土菓子なのかな?一抹の不安を抱えながらも、東京、新代田のベンジャミンさんのお宅を訪ねました。