食べ物に塩をひとつまみ入れることで、甘く感じるようになった経験はありませんか?コーヒーに塩を入れることで甘味が引き立ったり、トマトに塩をかけると甘く感じたり。
その最たる例がスイカに塩です。
今回はスイカに塩をかけたときの味の変化について、味覚センサーで科学的に検証しちゃいます!
では実際にスイカとスイカ+塩の味を味覚センサーレオくんで検証してみましょう。
まずはスイカとスイカ+塩の比較です。
甘味の数値が上がっていますね!
どれだけ上がっているのか、フォーカスして見てみましょう。
その差、歴然。
これは異なる味を追加したことによって、もう一方の強い味も強まったように感じられる、「味の対比効果」によるもの。塩をかけ、塩味が上がったことによって、甘味も上昇したように感じるのです。味覚センサーレオくんに数値で表してもらうと、その効果のほどが一目瞭然ですね!
夏は汗をかくことから体が塩分=塩味を欲しがち。また、体が疲労を感じることによって欲するエネルギー源は甘味ですから、塩をかけたスイカの甘味+塩味は、スイカに含まれる水分と相まって、暑い季節に体の欲求を満たしてくれる、夏にぴったりな食べ物だということがわかります。
つまり、スイカ万歳!ということです。
スイカ+塩の検証により、塩味が加わることで甘味が引き立つことが見事実証されましたが、他のフルーツでもこの理論はまかり通るのでしょうか。
あま〜いフルーツといえば…桃!この桃をさらに甘くすることはできるのか…!?試してみました。
まずは桃と桃+塩をレーダーグラフで比較してみます。
しょっぱくなっただけ…
ほとんど変わっていないように見える甘味。拡大してみると…
変わってません。
というのも、スイカはもともとそこまで甘くないので、塩味を加えることによって甘味が引き立つんです。桃はそれだけでも十分甘いから、塩を加えたとしてもこれ以上引き立たない、というわけ。
…もともと甘味が強いものに塩をかけても無駄なようです。味の対比効果も、限度があるってことですね。何事もやりすぎはいけません。
あっさりしているからこそ、塩で引き立つスイカの甘味。スイカ+塩は甘くなることが科学的にも証明された、おいしい組み合わせなのでした!
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。