スーパーの卵売り場に行くと、白い卵と赤い卵が並んでいます。実はこの色の違いは親鶏の違いだけ。家庭でもよく使う「白卵」を産むのは羽や耳たぶが白い鶏で、「赤卵」を産むのは羽が赤茶または黒色で耳たぶが赤い鶏です。
なぜ赤卵のほうが値段が高いかというと、耳たぶが白い鶏よりも赤い鶏のほうが大きいので、その分餌代がかかるためだとか。
でも値段が高いせいなのか…赤い卵のほうがおいしい気がしませんか?今回は白卵と赤卵の味の違いを、味覚センサーレオで検証してみました!
早速、スーパーで購入した白い卵と赤い卵を用意します。どちらもなんの変哲もない安売り卵です。
まずは基本5味(甘味・塩味・酸味・苦味・旨味)を分析してみます。
うーん、どちらもほぼ同じ。
卵のメインといえば旨味ですが…
旨味を抽出しても変わりません。「赤い卵のほうがちょっと高いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、この差は0.03ポイント。人間はほぼ感知できない数値です。
次にコクを見てみましょう。
これもほぼ差なし…!旨味同様、人間ではほぼ感知できない程度の差。
以上の結果から「白い卵と赤い卵の味はほぼ同じ」という結論が出ました。値段が高い分、「味もおいしいのでは?」と思いがちですが、実際はほとんど変わらないということですね。
残念ながら殻の色では味が変わらないという結論が出てしまった卵。では何が卵のおいしさを作り上げているのかというと、鶏に与える餌の質や飼い方です。栄養成分をプラスしたもの、オーガニックのもの、季節や飼育小屋の設備などといった理由で変わってくるようです。
また、オーガニック&ノンオーガニックの餌の違いが殻の色に出ていると思っている人もいるかもしれませんが、これも間違い。餌によって殻の色は変わらないのです。
スーパーの白い卵と赤い卵で味の有意差はありませんが、料理のおいしさには見た目も重要なポイントだったりします。赤い卵のほうが調理する人のテンションが上がるのであれば、赤い卵を選ぶ理由は充分あるのかもしれません。
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。