夫や子どもたちに喜んでほしくて、料理に励む日々。なのに「おいしいよ」「ありがとう」と言ってもらえず張り合いがないと感じ、ときにイライラしてしまう女性は意外と多いそうです。クックパッドの掲示板「みんなのカフェ」でも「ダンナがおいしいと言ってくれない」と話題になっていました。そんなときは、どうすればいいのでしょうか。
「おいしいよ、どころか…『今日は体調が悪くて寝ていたの』と不調を訴えたら、『じゃあ俺のメシはどうすればいいの?』と言われ、泣きたくなったという女性のエピソードも少なくありません」
そう話すのは心療内科医で五反田「ひめのともみクリニック」の院長、姫野友美先生。
「これが逆だったら、女性はまず相手が大丈夫かを確かめた上で、出前でも取ろうか、何か買ってこようかと心配してくれるはずなんですが……」。
姫野先生によれば、男性と女性の脳は仕組みからして違うから、男性にはあまり期待しすぎず、自分が欲しい答えがあるなら、それを誘導してみればいい、とのこと。
姫野先生は続けます。
「男性の脳は狩猟や戦いによって発達してきました。そのため、戦略的かつ計画的に物事を判断し、空間や距離をはかるのが得意。ひとつのことに集中するのに長けています。
対する女性の脳は、狩猟や戦いに出た男たちの代わりに家庭を守り、周囲との関係を築かなくてはいけなかったため、環境に順応したり周囲とのコミュニケーションを潤滑にしたりしながら発達したというわけです。
男女の脳の違いのひとつとして挙げられるのが<脳梁(のうりょう)>。視覚や聴覚、言語情報などを交換する部分ですが、男性に比べて女性の方が太いので、一般的に女性は音や言語、表情のちょっとした変化を察知したり、きめ細やかに物事を感じたりすることができるのです。
もうひとつの違いは、感情や情緒の情報交換をつかさどる<前交連(ぜんこうれん)>。これも女性のほうが太いので、男性より情緒が豊かだとわれています。その反面、喜怒哀楽などの感情の起伏が男性より激しいと言われるのもこのためです。」
そこで夫にイライラせず、楽しい食卓を囲みたい方に姫野先生からそんな脳の違いをもとにした対策方法を教えていただきました。
→共感能力が女性よりも低く、相手の気持ちを読み取るのが苦手
「具合が悪くて夕食が作れないとハッキリ言いましょう。出前を取るか、コンビニのもので済ませてもらうか、など選択肢を挙げて提案します」
→脳の情報交換量が少ないため、食べたい料理を思い浮かべるのが苦手
「ほんとうは何を食べたいかなんて聞かないのが一番なのですが、もし聞くのであれば、具体的なメニューをいくつか提示して、その中から選んでもらうといいですよ」
「男性と女性は異生物と思ったほうがいいですよ」と姫野先生。異生物である男性に多くを求めず、やさしくあたたかく接することが自分のストレス軽減につながります。まずは「おいしい?」と誘導して、素直に喜ぶことが大事だとか。
妻が喜んでうれしくない夫はいませんから、だんだん誘導しなくても「おいしいよ」と言ってくれるようになるかもしれませんね。(TEXT:大森りえ/ライツ)