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日本全国で飼われている犬、猫は合計約2000万頭といわれており、子供の数より多いと試算されています。飼い主にとって、もはや大切な家族の一員ですよね。そんな大切な家族である犬や猫の食べ物について、いま一度おさらいしてみましょう。
犬や猫に与える食べ物はペットフードが主流となってきましたが、ついうっかり人間と同じ食べ物を与える事があったりしませんか?実はそれらの食材の中には犬や猫にとって健康を害する原因になるものがあるのです。
そこで犬や猫に与えてはいけない食材について、専門家の左向敏紀先生(日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医保健看護学科 教授)と大島誠之助先生(倉敷芸術科学大学 生命科学部 生命動物科学科 客員教授)にお話を伺いました。
与えてはいけない食材は、基本的に犬や猫の種類に関わらず共通です。ただし犬、猫ともに、体が小さいほうが少量でも悪影響が出やすいため、特に注意が必要です。
「アリルプロピルジスルファイド」という成分が赤血球を破壊し血尿、貧血、下痢、嘔吐、発熱、黄疸など起こす可能性があります。この成分は、加熱しても壊れないため加熱したものも絶対与えてはいけません。さらに、ねぎ類を煮込んで具を取り除いた煮汁にも成分が溶け出しているため絶対に与えないでください。
チョコレートやココアの原料カカオに含まれる「テオブロミン」という成分が興奮剤のような働きをし、中枢神経を刺激します。けいれん、下痢、嘔吐、運動失調、昏睡状態、最悪の場合死に至る事も。特にカカオ成分の多いビターチョコレートはミルクチョコレートよりも危険です。また一見カカオの入っていないと思われるホワイトチョコレートにもカカオが含まれていることがあるので、与えるのは絶対やめましょう。
特に犬は甘いものを好む嗜好があるので、テーブルに置いてあったチョコレートを食べてしまったという事故が多く起きています。くれぐれも放置しないよう気をつけてください。
コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるカフェインはカカオと同様に興奮剤の働きをし、 脈が早くなったり、呼吸が荒くなったり、興奮、けいれん、嘔吐、下痢を起こす事があります。
人間の味覚でちょうど良い塩分濃度のものは、犬や猫に与えないようにしましょう。余分なナトリウム(塩分)を排出する能力が低いため、腎機能障害の原因に。特に猫は水の少ない砂漠地帯に生息していたリビアヤマネコが先祖であるため、少ない水分でまかなえるように腎臓が水分を再吸収し、濃縮して体外に排出する尿量を減らす働きをしています。塩分の多い食ベ物は非常に腎臓に負担を与え、腎機能障害を起こしやすくなります。
細菌汚染による食中毒を起こす可能性があるので避けた方が無難です。しっかり加熱したものを与えるようにしましょう。しっかり加熱をしていれば、肉、魚の種類は問いません。
生のイカ、タコ、魚肉、貝類、甲殻類に含まれているビタミンB1を分解する「チアミナーゼ」という酵素により、食べるとビタミンB1欠乏症を起こします。主な症状は運動障害や神経障害。特に猫は犬の5倍のビタミンB1を必要とし、「猫に生のイカを与えると腰を抜かす」という話はビタミンB1欠乏症の結果であるといわれています。加熱することによってチアミナーゼは働きを失うので、加熱すれば問題は無いとされていますが、消化が良くないので避けた方が無難です。
生の卵白には必須ビタミンであるビオチンの吸収を妨げる「アビジン」が含まれており、生の卵白を食べるとビオチン欠乏症になるため、与えるのはやめましょう。症状としては食欲不振、唾液分泌、皮膚炎、脱毛などがあります。ただし、卵黄にはビオチンが非常に多く含まれているので、卵黄のみもしくは全卵を与えればビオチン欠乏症にはなりません。またアビジンは熱に弱く、加熱によって働きを失うのでしっかり加熱をすれば問題ありません。
ビタミンA、Dが非常に多いレバー。ビタミンAやDは過剰に摂取すると排出されずに体内に蓄積されてしまいます。ビタミンAが過剰になると四肢に痛みが出たり、肝機能障害を引き起こします。また、ビタミンDはカルシウム吸収に関与しているため、カルシウムを吸収しすぎることによる骨の炎症、変形の原因になります。ただ、あくまでも過剰に摂取した場合にみられる症状のため、毎日食事として与えることは問題ですが、週に1〜2回おやつに与える程度なら問題ありません。
生の鶏の骨は縦に鋭く割れるため、消化管に刺さったり傷をつけてしまいます。人間より体の小さい犬や猫は消化管も細いので気をつけなくてはいけません。また、マグロやカツオなど大型の魚の生の骨も同様に細い消化管を傷つける事があるので気をつけましょう。
牛の乳は、犬や猫の乳に比べて乳糖が多く含まれています。子犬、子猫のうちは乳糖を分解する「ラクターゼ」という酵素を持っているのですが、離乳をする2ヶ月齢ころからラクターゼが出なくなってきます。そのため、牛乳を飲むと乳糖が小腸で分解されずに大腸までたどり着きます。その乳糖が大腸内にある腸内細菌に利用されると乳酸が発生し、大腸内が酸性になり大腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になるため下痢を誘発する原因になります。個体差、牛乳の量にもよるので必ずしも下痢を起こすわけではありませんが、与え過ぎは控えましょう。
特に犬は噛まずに丸吞みする習性があるので、消化の悪いナッツ類は与えすぎに気をつけましょう。多く与えすぎると下痢や嘔吐の原因になることもあります。
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