パプリカといえばピーマンに形がそっくりにも関わらずピーマンよりも甘いことから、子どもをはじめ大人になってもピーマンが食べれないピーターパン味覚派に人気のお野菜。
とくに赤パプリカは見た目のスイートさから味のイメージも甘めでしょう。
しかし以前、パプリカの味覚を「味博士の研究所」で検証した際、衝撃の事実が判明。赤・オレンジ・黄の3色のなかで、赤パプリカは一番苦かったんです。
なんという裏切り。
もしもあなたが「苦くなさそうだから赤パプリカにしよう」とイメージを基準にパプリカの色を選んでいたのだとしたら、それは偶像の産物だったというわけなんです。
というわけで今回味覚センサーで検証するのはこの赤パプリカの苦味についてです。
あなたは普段、パプリカをどう切っていますか?
料理はひとつひとつの手順によって味が変わるもの。切り方によっても味が違ってくるんです。例として、玉ねぎの縦切り・横切り・みじん切り3つの切り方で甘味を分析した結果を見てみましょう。
みじん切りが群を抜いて甘いという結果が出ています。
サラダのように食べやすさが求められる料理であれば、多少面倒でもみじん切りで作りたいもの。逆に横切りは甘味が低く、相対的に苦味が高くなっているため、玉ねぎの苦味を生かした料理に向いています。
このように切り方によって味が変わることもある野菜。では、赤パプリカの場合はどうなるのでしょうか?
そこで縦切り・横切り2種類のパプリカの味覚検証を、おなじみ味覚センサーのレオくんで実施します。
その結果がこちら!
基本的な味はほぼ同じ・・・と思いきや、苦味に差が出ています。横切りより縦切りのほうが辺の長さが短めですね。また、酸味もわずかながら横切りよりも縦切りのほうが低い様子。
では苦味にフォーカスして見てみましょう。
比較すると一目瞭然。横切りよりも縦切りのほうが苦味が低いことが明らかに!こちらは95%以上の人がわかる有意差です。
赤パプリカの苦味を抑えるには、縦切りにすることが必須だということが判明しました。
赤パプリカを横切りするシーンといえば、最たる例はサラダではないでしょうか。横切りのパプリカは縦切りに比べて苦味が高め。そのままいただくのであれば、苦味の少ない縦切りのほうが食べやすそうです。
苦味の低いパプリカを求めて赤パプリカを使っているみなさま、赤パプリカを切る際はぜひ縦切りをスタンダードにしてくださいね。
※この記事は、2017年5月16日に味博士も出演・協力したテレビ朝日「林修の今でしょ!講座」で放映された内容を元に構成しております。
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。