シンプルで完成されていながらも、まだまだ開拓の余地がある魅惑の食べ物−−それが日本人の叡智の結晶、卵かけご飯です。
卵本体の美味しさにこだわったり、こんぶやツナを追加してみたり、様々な創意工夫をこらし、ひとりひとりがマイ・ベスト・卵かけご飯を作るために切磋琢磨している現代。
そして卵かけご飯に欠かせない調味料といえば……
醤油。
冷蔵庫から卵を出すとき、無意識にいっしょに醤油も出してしまう人も多いはず。ですが……卵+醤油という組み合わせは本当にベストなのでしょうか?他にも合いそうな調味料はありますよね。めんつゆとか。
今回は卵かけご飯にベストマッチな調味料を探してみたいと思います。
用意したのは5種類の調味料です。
・醤油:卵かけご飯の調味料といえばこれ。他の追従を許さない帝王。
・めんつゆ:麺類のお供だけでなく煮物などでも使える便利屋。醤油に比べて薄味なのでかけすぎによる事故を防げる。
・焼肉のたれ:焼肉のたれとは言うが、炒め物の味付けで使うとめっちゃ美味しい。醤油に比べて甘味がある。
・胡麻味噌:筆者が味噌嫌いのため、なんとコメントして良いかわからない。健康に良さそう。
・ラー油:主に餃子のたれを作るときに活躍する。ちなみに餃子のたれの黄金比率は、醤油:お酢:ラー油=5:4:1。
このなかで一番、卵かけご飯に合う調味料はどれなのでしょうか?
ところで、卵かけご飯は人それぞれ好みが別れる食べ物のひとつです。醤油に対する思い入れや卵かけご飯+醤油に対するプライドが邪魔をして、人間では公正な判断ができない可能性もあるでしょう。
というわけで「味博士の研究所」の最終兵器、人工知能搭載の味覚センサーである「味覚センサーレオ」を使って、卵かけご飯と調味料の「相性度」を測定することにしました!
その結果がこちら!
1位:焼肉のたれ 97.9点
2位:醤油 97.3点
3位:胡麻味噌 95.4点
4位:ラー油 95.2点
5位:めんつゆ 90.4点
醤油より焼肉のたれのほうが相性度が高い……!!
なんと卵かけご飯の相棒として定番である醤油を押しのけ、焼肉のたれが1位という結果になってしまいました。
ご飯は「甘味」、卵は「旨味」が特出した食べ物。これらの味覚を十分に引き立たせる上で、調味料が持っているべき要素はやはり「塩味」です。醤油は「塩味」と「旨味」が多く、微量に「酸味」もある調味料。
対して焼肉のたれは「塩味」のほか、「甘味」や「旨味」も際立っています。ここが僅差ではあるものの、醤油よりも相性が良いポイントです。
相性度は95点以上で「かなり美味しい」と言える数値。ほとんどの調味料がこの基準はクリアしています。……めんつゆ以外。めんつゆは少し「旨味」に特化しすぎてしまったようですね。
※生卵は冷蔵庫で保存してある賞味期限内のものを使用しましょう。また、食べる直前に必要な個数だけを冷蔵庫から出し、割ったらすぐに食べるようにしてください。ひび割れた卵は避けましょう。
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。