醤油、お酢、ラー油で作る餃子のタレには黄金比があります。それは醤油:お酢:ラー油=5:4:1という配合。餃子の「旨味」、醤油の「塩味」、そしてお酢の「酸味」の強さが同程度となり、味覚のバランスがとても良いんです。
しかし、餃子のタレにはアレンジレシピもたくさんあるもの。今回、そのひとつである「酢コショウ」を味覚センサーで分析したところ、驚くべきことがわかりました!
味覚を分析するのは、味覚センサーのレオくん。ヒトが味を感じる仕組みを模した味覚センサーで、AIを搭載したハイテクなマシンです。
レオくんで酢コショウと黄金比のタレの基本5味(甘味・旨味・苦味・酸味・塩味)を可視化すると、このようになります。
もうおわかりですよね。そう、実はこの2つ、味が似ているんです!
有意に差があるのは「酸味」と「塩味」。酸味は酢コショウのほうが高く、塩味は黄金比のほうが高くなっています。2つを比較して端的に表すならば、「酢コショウは酸っぱく、黄金比はしょっぱい」ということです。
この結果をもとに餃子との相性度を算出してみます。測定する食品同士で、お互いの味を引き立たせることができているほど相性度が高く、美味しい食べ合わせになります。
その結果がこちら。
黄金比には及びませんでしたが、酢コショウもかなりの高得点!味が似ているので当然といえば当然ですが、自信を持って「餃子に合うタレ」と言えるでしょう。
どちらも餃子との相性は抜群ですから、あとは好みの問題。「しょっぱいもの好きは黄金比」「酸っぱいもの好きは酢コショウ」になるのではないでしょうか。冬は黄金比、夏は酢コショウでさっぱりといった使い分けもできそうですね。
ちなみに酢コショウを作るときのコツは、コショウを多く入れること。酢が隠れるくらい振らないと、酸味が強すぎてしまいます。ぜひ試してみてくださいね!
味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。