鍋のアク取りって必要あるの?味覚センサーで検証

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鍋の季節になると、それまでに比べて頻度が増える「アク取り」。

皆で囲む鍋の下準備をしているとき、しゃぶしゃぶをしゃぶしゃぶしているとき。「このアク、ひょっとして無限なんじゃないのか……」と不安になるくらい出てくるアクを、ひたすら取る作業が発生します。正直言って、ちょっと面倒臭いと思いませんか?

このアク取りは、本当に必要なのでしょうか。アクとは、どのような味覚なのでしょうか。味覚センサーレオで検証してみました。

豚肉のアクは、苦味と酸味が混ざった雑味だった

用意したのは鍋のだしに豚肉のみを入れたもの。味がわかりやすいよう、単品の具材で試しています。

これをアク取りしたものとしていないものに分けて、味覚センサーレオで検証。すると、このような結果になりました。

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アクを取っていない鍋に比べ、アクを取った鍋のほうが、目立つ味の数が少なくなっています。減ったのは鍋にあまり多く入っていてほしくはない「苦味」と「酸味」。だしを語る上では“雑味”と呼称されるのがこれらです。

どのくらい違っているのかと言いますと……

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まずは苦味。だいぶ差があるのが一目瞭然ですね。約95%以上の人がわかるであろう有意差です。豚肉の場合ですが、アクを取らない鍋は少し苦味を感じるかもしれません。

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酸味も、約95%以上の人がわかるであろう有意差です。

例えば、つけダレのポン酢、味をサッパリさせるために入れたお酢やレモンといった後から投入する調味料の酸味はOKですよね。しかし、「鍋のだし」に酸味が入ってしまっているとなると話は別。苦味と合わさることによって、雑味になってしまいます。

苦味+酸味が悪いというわけではありません。「レモンコーヒー」のような飲料・食品が存在するように、これらに特化した味覚であれば、美味しい場合もあります。ここでアウトなのは「旨味+塩味」というだしの味覚に混入しまっていること。

お鍋にはこれから魚、お野菜といった様々な具材が投入されていきます。具材の種類や味によっては、結果的に雑味が良い方向に昇華することもあるかもしれません。しかし個人的には、だしの味はシンプルであればこそ、他の素材の味を活かすことができるのではないかな、と思います。

少なくとも豚しゃぶではアク取り必須ですね。私はアレが一番手抜きしたい品でした(小声)。

アク取りをしないと、旨味が減ってしまう!?

では次に、チャート図をパッと見ただけではわかりにくい、旨味にフォーカスしてみましょう。

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アク取りをした鍋のほうが、旨味の数値が高くなっています。約半数程度の人がわかるであろう差です。

アクを取ったことによってなぜ旨味が上がったのか。これは、苦味と酸味という雑味が減ったためです。苦味と酸味を感じなくなった分、相対的に旨味の度合いが強くなったんです。

では、最後に全体的な基本5味のバランスから算出したコクをご覧ください。

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コクとは、一言で言ってしまえば「味のバランス」のこと。バランスなので、均衡が取れていることが大事です。単純に色んな味が混ざりあえば良いわけでもない、というのがミソですね。

苦味と酸味の塊であるアクを取り、味覚の種類を減らしたにも関わらず、コクはアク取りなしもありも変わっていません。

美味しい味覚とは、一般的には基本5味(甘味・旨味・苦味・酸味・塩味)のうち2〜3つの味が特出したもの。アクを取ることによって味わう味覚の数は減りましたが、それによって逆に洗練され、味のバランスが良くなったと言えるのでしょう。

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これらの結果から、少なくとも豚肉が入る場合は、鍋のアクは取ることをおすすめします。面倒で面倒で仕方ない作業ではありますが、美味しい鍋のために真心込めてアク取りをしたいですね。努力した分、鍋は美味しくなるはずです。

ちなみに、アクを取らなくていい場合もあります。それは、野菜のみを使う時です。野菜から出たアクはだしにとってとても重要な味覚「旨味」の可能性が高く、アクを取ることでかえって美味しさ減……という悲しい結末も。

野菜のアク取りについて、詳しくはこちらの記事をご覧になってみてくださいね。


著者:味博士

9b2f5327699a1aa48c660deeff59d0b4 味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。

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