「平成」がまもなく幕を閉じます。この31年、私たちは多くの自然災害を経験しました。新しい時代が幕を開けた後も、私たちは引き続きこのリスクに向き合っていかねばなりません。もし、あなたの身近で「まさか」が発生したとき、「食」をどう確保するのか。平成30年9月に発生した「北海道胆振東部地震」を実際に経験した北海道庁危機対策課・高橋正之さんに“災害時における食”について伺いました。
平成30年9月、北海道胆振地方中東部を最大震度7の地震が襲いました。この「北海道胆振東部地震」で、道内全域約295万戸が停電し、道民約1万3千人が避難生活を強いられました。
電気やガス、水道などのライフラインが途絶えた状態の被災地での生活において、カップラーメンやおにぎりなどの支援物資を食べるだけでは、栄養が偏ったり、飽きからくる食欲減退など、身体にも心にも影響が大きいものです。
「被災直後から数日が経過すると、出来る限り日常の食事に近い“災害食”が必要とされます。
北海道は、昨年の胆振東部地震よりさらに2年前の平成28年にも、台風や低気圧などの影響で繰り返し大雨に見舞われ、河川の氾濫や土砂災害により甚大な被害を受けました。
この経験を踏まえ、北海道では“まさか”の時に備え、厳しい冬の避難生活でも健康に過ごすことができる、食の宝庫・北海道の強みを活かした食事『北の災害食』レシピを広く募集しました」(北海道庁危機対策課・高橋正之さん)
今回は、その中から常温で保存できる野菜と缶詰で作れる災害食レシピを高橋さんにご紹介いただきました。被災後に必要とされる食とはどんなものか、皆さんもぜひチェックしてみてください。
「おにぎりとの相性がよく、体もあたたまる汁物です。野菜を薄く小さめに切ると、火が通りやすくなります」(高橋さん)
「冬の寒い時期に起きた場合に、“あたたかく”、“水分をしっかり取れ”、“栄養バランスのいい”食事ができるよう考案されたレシピです。卵や牛乳のアレルギーがある方でも、お年寄りも赤ちゃんも、みんなで一緒に食べられます」(高橋さん)
「スイートコーン缶をつかって、優しい甘みのおしるこが完成します。具材を小さめに切れば、水やガスを節約できます」(高橋さん)
北海道胆振東部地震のように、災害はいつやってくるかわかりません。食の力で、心身ともにストレスの多い被災地での生活の質を高めることはとても重要です。この「北の災害食」レシピを参考に、有事の際に自分自身や家族にとってどんな備えが必要か、今一度シミュレーションしてみてはいかがでしょうか?