一人暮らしをされている方にとって、料理とはどういう行為でしょうか。お料理大好き!という方もいる一方で、料理はめんどくさい、継続するのがむずかしいという方もいるでしょう。一汁一菜スタイルで一人暮らしごはんを愉しんでいるフードプランナー・山口祐加さんが、“料理の肩コリ”をほぐすお話をお届けします。気張らず、毎日のごはんをおいしくいただくコツとは?
料理に関するお悩みでよく聞くのが「バリエーションが増やせない」というお話。新しい食材や調理法に挑戦するのは少し勇気がいりますし、好みに合わなかったらどうしようと気が進まないこともありますよね。
そこで今回は、私の一汁一菜生活に欠かせない、料理のバリエーションを増やしてくれる3つの食材をご紹介します。おかずにも汁物にも使える優秀食材を味方につけて、飽きのこない食卓をつくりましょう。
ここ数カ月、家に常備しているのが魚の干物です。干物は焼く以外に選択肢がないと思っていたのですが、アレンジの幅を狭めているのは自分かも?と思い、焼く以外の料理法を考えてみることに。
魚の干物のおいしさは、なんと言っても凝縮された魚のうまみ。干すことによってアミノ酸が増え、無駄な水分もなくなり、味が濃厚になります。個人的には、鮮魚を焼くよりも干物を焼いた方がずっとおいしくてご飯が進みます。
「魚の干物=うまみが凝縮した高たんぱく質の食品」と抽象化したとき、それってベーコンと同じように使えば良いのでは?と思い、魚の干物=魚のベーコンと捉えて料理にアレンジしてみました。
まず干物料理でおすすめしたいのは、アジの干物とキャベツの5分煮込み。鍋に干物とざく切りのキャベツをどっさり入れて、水:酒=1:1で煮込むだけの料理です。簡単、かつ出汁が効いていてとてもおいしい。鍋一つで済むので洗い物も最小限です。干物は煮てもおいしいという大発見でした。
そのほかにも、塩サバを使ったポテトサラダはぜひ作っていただきたい一品です。鯖缶にはない、焼いた鯖ならではの香ばしさがたまらなくおいしく、おつまみにぴったりです。
そして、ちりめんじゃこや桜えびも干物の一種です。ちりめんじゃこは冷凍すれば日持ちしますし、桜えびは常温で保存が可能です。どちらも炒め物やチャーハン、良い出汁が出るのでスープの具材として使えますよ。
豚バラ肉は、よく使われる方も多いと思います。炒め物、煮物、肉巻き、野菜蒸し、丼、豚汁、どんな料理にも寄り添ってくれる優秀な食材ですよね。
私はこれらの料理のほかにも、豚バラを細かく刻んで餃子のたねにしたり、豚バラを使った炒め物を残しておいて、あんかけを作って丼にしたりしています。中途半端に残った野菜で作るみそ汁も、豚バラが入るだけで豪華な豚汁に様変わりします。
油あげは汁物やおひたしを作るときに大活躍してくれるので、切らすことなく常備しています。
油あげを買ってきて、みそ汁に入れるサイズに切って冷凍庫に入れておき、冷凍のままだしに入れれば良いので便利です。食材がほとんどなくても、野菜1種+油あげを入れるだけで立派なみそ汁に。油あげ自体に旨味があるので、汁物がまとまる印象があります。
また、時間があるときは油あげをフライパンで焼き、焦げ目をつけてから汁に入れると香ばしさが倍増しておいしくなりますよ。
今回の記事で特におすすめしたいのは、なんと言っても魚の干物です。魚は鮮度が命なので、スーパーが開いている時間に買い物に行けない人にとってはなかなか手が出せないかもしれません。でも、干物であれば冷凍庫で保存が効くので安心です。旨味が凝縮された魚の干物の料理、ぜひお試しあれ!
2019年3月12日(火)、本連載のコラムニスト・山口祐加さんが一汁一菜スタイルの実践方法をレクチャーするワークショップが開催されます。当日は、山口さんが作った“スープアイデアキット”を使って、参加者ご自身で一汁を作ったり、山口さんが一汁一菜のデモンストレーションをしながらお料理のコツをお伝えして、最後には参加者全員で食卓を囲んで一汁一菜の晩ご飯をいただきます。料理を始めてみたい方、料理の続け方がわからない方、ぜひお気軽にご参加ください!