娘の「初めてのチョコ作り」を横で見ていて気づいたこと【おいしい思い出 vol.8】

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クックパッド初代編集長であり、自他共に認める料理好き・小竹貴子のエッセイ連載。誰にでもある小さな料理の思い出たちを紹介していきます。日常の何でもないひとコマが、いつか忘れられない記憶となる。毎日の料理が楽しくなる、ほっこりエピソードをどうぞ♪

私が初めてチョコを渡した人

私が初めてバレンタインチョコをプレゼントしたのは、ちょっと生意気なのですが小学3年生の時です。

そのお相手は、当時人気絶頂だったアイドル歌手の田原俊彦さん。正直、初恋といえるのかいまだにわかりませんが、小生意気にも「トシちゃんのお嫁さんになりたい」と超真剣に思っていましたので、私にとってはやっぱり初恋なのかもしれません。

なぜか人に言うのが恥ずかしく、バレンタインのチョコレートは親に内緒で、なけなしのお小遣いを使って買いました。そして、意味のない行動かもしれませんが、誰にも見られないように家から少し離れた郵便局に向かい、ちゃんと食べてくれますようにと心から願って、小さなチョコレートをジャニーズ事務所に送りました。

もうその時のドキドキ具合は今でも忘れられません。きっと私のような子はたくさんいたのでしょうね。

「クラスのお友達と一緒にチョコを作りたい」

さて、私の昔話はこのくらいにして、去年2月のバレンタインのお話。当時小学校3年生だった長女が、「クラスのお友達と一緒にチョコを作りたいから、お家に呼んでいい?」と聞いてきました。

私は即座に「あれ?好きな男の子でもできたのかな?」と、自分が小学校3年生だったら、間違いなく母親から言われたくないことを聞いてしまいました(ほんと、私ってだめ…)。ただ、娘は嘘をついてる様子もなく、サラッと「友チョコだよ」と一言返してきただけでしたが。

私が子どもの頃は、義理チョコというものは大人の世界のものでしたし、友チョコという言葉もありませんでした。ほんといつのまにこの言葉が浸透したのでしょう。ここ10年くらいなのでしょうかね。

そしてバレンタイン前の週末、大きなバックを背負った娘のクラスメイトたちが家にやってきて、お菓子作りが始まりました。

皆が持ってきたバックを開けると、自宅にあったお気に入りのクッキー型、デコレーションに使えそうなリボンや箱がわんさか。それから、どこかでもらったという手書きのレシピ、ママとよく作っているレシピ、そしてクックパッドのレシピ。

娘たちは何を作ろうか決めるのに1時間ほど相談していました。その会話をこそっと盗み聞きしているだけで、何だかこっちまでワクワクしてきます。

そして材料をメモ書きして、スーパーに買い出しへ。お昼ごはんは、スーパーのフードコートで食べてきたようで、戻ってきたのは12時過ぎ。きっとこういう段取りも、学校で皆で話して決めてきていたんでしょうね。

いよいよ本番のお菓子作り。まず始める前に、私が子どもたちに伝えたのは2つです。

1つ目は、お菓子作りは計量が大事。しっかりレシピ通りに作ると美味しくできるよ。 2つ目は、とにかく楽しくやろう。失敗も笑っちゃおう。

エプロンつけて三角巾つけて、娘たちのお菓子作りがスタート。作ったものは、ホットケーキミックスで作ったチョコチップ入りマフィンしっとり柔らかクッキー型抜きチョコクッキーにアイシングしたもの、型に入れて冷やし固めたチョコレートの4つ。

皆、お家でお菓子作りをしているのがはっきりわかるような手際の良さで、私がハラハラすることもなく、順調にお菓子作りを進めていきます。材料を混ぜながら、お友達の話をしたり、好きなタレントの話をしたり。あちこち話が飛びながらも、キャッキャと笑い合ってとても楽しそうです。

一緒に料理を作ることを、もっともっと楽しむには

彼女たちの表情を見ていたら、私は娘たちとまだこんな雰囲気で一緒に料理を作れてないなーとふと思いました。週末は娘たちとよくお菓子やお料理を作るのですが、どうしても自分の土俵でつい「あれ切って」とか「この皮をむいて」と、明らかに私からの指示ベースの会話が中心に。

とはいえ、それでも一緒に作っているという点では私も娘も楽しんでやっているんですが、もっともっと楽しむにはこういう余裕を持った会話がいるんだな、と改めて気づいてしまいました。普段仕事をしているので、なかなか話せない学校のこととか、大好きなお洋服のこととか。聞いてみたいことがたくさんあります。

そんなことをぼんやりと考えているうちにお菓子は出来上がり、みんなで後片付けして、それぞれが持ってきた箱に入れて完成。もう見ただけで心がきゅんとする可愛さです。

4dd718cbd63f31e69f6c329bc1b9a901 かわいくラッピングしたチョコチップ入りマフィン

A80c7d85ff8ad58508dcf74a82e68728 カラフルにデコレーションされたアイシングクッキーとチョコたち

割れてしまったものとか余ったものでおやつの時間にして、娘たちの楽しいお菓子作りは終了しました。

お料理があったから、娘たちと一緒の目線でこそっと聞けたお話、そしてちょっとした気づき。今年もまた我が家へ集まるようで、私自身が何だかワクワクしています。今年はどんなお菓子を作ろうかな。きっとそんな話を学校でしてるんでしょうね。


小竹貴子

Dffec93b2e01878fbff1a0f0a86003e4 クックパッド株式会社ブランディング・編集部担当本部長。1972年、石川県金沢市生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオを経て、2004年に有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。編集部門長を経て執行役に就任し、2009年に『日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010』を受賞。2012年、同社退社。2016年4月から再びクックパッド株式会社に復帰。現在、日経ビジネスオンラインにて『おいしい未来はここにある~突撃!食卓イノベーション』連載中。また、フードエディターとして個人でも活動を行っている。


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