平成が終わり、新しい時代「令和」へと歩みを進めていく日本。この約30年を振り返ると、平成は災害の多い時代でした。地震や災害が起こるたびに防災や減災の大切さを感じる一方、実際に日頃から備えができているかというと、自信がないという人が多いのではないでしょうか。
実際、「災害時に何が必要なのか」「ライフラインが途絶えた中で何ができるのか」など、わからないことも多いと思います。災害の規模、状況によっても大きく変わりますが、水道や電気、ガスなどのライフラインが不安定な状態が続くと、トイレや風呂、飲食をいつものように行うことはできません。断水した場合、1人あたり1日3リットルの飲料水が必要とされますが、その水だけでいつもどおりの1日3食の食事が取れるかというと、それも難しいでしょう。そんな時のために、日頃から覚えておくと役に立つ「防災の知恵」をご紹介します。
今回お話を伺ったのは、警視庁警備部災害対策課の方々。災害対策課では、課員のみなさんが持ち回りで毎日Twitterを管理していて、そこには災害時に役立つ情報がたくさん投稿されています。日頃から“防災”について考えている人たちならではのアイデアが満載。早速、一部を見てみましょう。
昨年、水で作るカップ麺をご紹介しましたが、今回は水で作る「カップ焼きそば」に挑戦です!災害時を想定し、カップに注ぐ水の量は少なめ。麺が隠れる程度です。20分待ち、液体ソースをからめて完成!注いだ水が少ない分、いわゆる湯きりで流す水の量は少なくてすみました。麺の固さと味はバッチリ! pic.twitter.com/EnjU7e9TpI
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) 2018年6月28日
「これは実際に伊豆大島の豪雨災害の際に、現地を訪れた機動隊員の体験がもとになっています。お湯が使えない場所でも調理できるものはないか考えて生まれた方法です」(村田さん)
さらに、被災地ではこんな状況に陥ることも。お菓子などの袋がなかなか開けられず、ハサミもないときにはこの方法を試してみてください。
出先でお菓子の袋などを開けるのに、素手ではなかなか開けられず困った経験はありませんか?そんな時は10円硬貨2枚を使って簡単に開けることができます。写真のように硬貨で袋を挟み込み、スライドさせると簡単に開けることができます。避難所等でハサミが無い時などは知っておくと便利です。 pic.twitter.com/91thqUncV3
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) 2017年10月24日
非常用備蓄食と言えば缶入り乾パンを思い浮かべる方も多いと思います。非常時には缶を器代わりにして牛乳や水を入れ乾パンを浸せば10分位で即席離乳食ができます。柔らかくなるので高齢者の方にもお勧めです。缶の切り口で怪我をなさらないように気をつけてお召し上がり下さい。 pic.twitter.com/sgCe0u4K6U
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) 2018年7月5日
「もし被災したら、母はふつうの非常食は食べられないのではないかと思い、乾パンを食べやすくする方法を考えてみました」(磯部さん)
先日、子供を抱っこする際に子供と大人のジャンパーのファスナーを互い違いに繋ぎ合わせ羽織ってみました。抱っこされた子供はジャンパーを重ね着する状態となり温かそう。普段は子供を抱っこしたまま羽織ることのできるコートを使っていますが、厳寒の災害時、これを代用するといいかもしれませんね。 pic.twitter.com/j9q91e55kS
— 警視庁警備部災害対策課 (@MPD_bousai) 2018年2月2日
「ふだんであれば買えるものも、災害時には手に入れることはできないため、ふだんあるものが災害時にも使えるか、子どもにとって無いと困るものを何なら代用できるか、という視点で考えています」(佐々木さん)
また、「ローリングストック」の考え方も大事。備蓄食品を定期的に飲食し、使用した分を補充するという仕組みは、ふだんの食事の中で実践できるので、負担感が減り、無理なく備え続けることができます。この連休は子どもと一緒に「非常食」を使ったご飯を作ってみるのもいいかもしれません。災害時、いきなり非常食が出てくると戸惑う子どもも多いため、日頃から非常食の味に慣れておくことも大事ですよ。
「災害時は精神的なストレスが高くなるので、非常食だけでなく、自分が好きなおやつ(チョコレートやおせんべいなど)を防災袋に入れておくのも一つの方法です。また、防災マニュアルなどに記載されているもののほかに、子どもやお年寄り向けの食料もストックしておくとよいでしょう。そのほか、メガネや薬など、災害時に限らず日常生活においてもなくなったら困るものをシミュレーションしてみて、いざというときに持って出られるようにしておくと良いですね」(村田さん)
このほかにも、警視庁警備部災害対策課のTwitterには災害時に役立つ情報や、日頃からできる対策術などが投稿されています。ぜひ一度チェックしてみてください。いざという時に慌てないためにも、災害時の対応について今一度考えてみませんか。
(TEXT:河野友美子)