子どもの頃、母に作ってもらった「カレーライス」は確かに“飲み物”だった【おいしい思い出 vol.15】

子どもの頃、母に作ってもらった「カレーライス」は確かに“飲み物”だった【おいしい思い出 vol.15】

クックパッド初代編集長であり、自他共に認める料理好き・小竹貴子のエッセイ連載。誰にでもある小さな料理の思い出たちを紹介していきます。日常の何でもないひとコマが、いつか忘れられない記憶となる。毎日の料理が楽しくなる、ほっこりエピソードをどうぞ♪

青春時代は、大食い早食い

カレーライスは飲み物である。この名言、ご存じですか?

この言葉を言ったのは、今は亡きタレントのウガンダ・トラさん。彼のように3秒でカレーを飲み干すというまではさすがにいかないのですが、子どもの頃は私もかなり近い感じでカレーを食べていました!……と、胸を張って自信満々で言えるくらい、大食い早食いの幼少時代を過ごしました。今は、食べるよりお酒が増えてしまいましたが。

大食い早食いの理由は、小学校高学年から始めたバスケットボールのため。私の身長は中学生時代ですでに169cmありました。

この身長は、当時ではそれなりに大きいほうではあったけれど、バスケでのポジションはセンター。他の強豪チームは皆、私と同じか私よりも体格が大きい人がとても多く、コーチからは、まずは誰よりも食べまくって体を大きくすることを要求されていました(当時は、とにかくコーチの言うことは絶対な時代でした)。

朝、昼、夕、間食、ひたすらたくさん食べて、そして運動して、寝る。そんな毎日を過ごしていたので、青春時代の私は今より10kg以上は体重が重く、いろいろビックサイズでした。

今と変わらず超ベリーショートのヘアスタイルで体格もいいだけに、中学生の頃はよく男の子と間違えられ、心は少女ではありましたが、女性らしいかわいい恋愛とは無縁の生活を送るはめになりました。

お弁当までカレーライス

そんな男子顔負けの体格の私が好きだったお料理は、牛丼お好み焼き、そしてカレーライス。「今日の夜ご飯、何食べたい?」と母親に聞かれると、常にその3つばかり言っていました。

私だけではなく、父も3つ下の弟も大食いでしたので、夕食がカレーの日は、母親は家族4人で食べるとは到底思えない量のカレーを、アルミの大きな鍋にたっぷりと作っていました。

母親も仕事をしており、調理に割ける時間も短かったので、ぱぱっとできるルーカレーが基本。ルーは鉄板のバーモントカレー甘口、調理時間を短縮するためにお肉は火が入りやすい牛肉の薄切り、じゃがいもと人参は2日目も煮崩れないように大きめです。

ごはんは山盛りで、カレーもたっぷり。そこにらっきょうをのせていただきます。父親は確か生卵をその上にかけていたような。つけ合わせは、たっぷりの野菜サラダ。翌日の朝ごはんもカレー、もちろん山盛り。溶けてしまったじゃがいも、最高ですよね。

さらに言うと、お弁当までカレーという日もありました。

寒い冬になると、教室にある暖房器具の上にアルミのお弁当箱を置いて、温めておくことが普通でした。カレー弁当を持って行ったある日、昼に近づくにつれてカレーの匂いがプーン。

「こた(私のあだ名)、カレーの匂いすごい!」と言われ、その香りが最高だったのか、クラスにカレー弁当ブームが到来して、その後随分長く続きました。教室の中が毎日カレーの匂いで大変なことになっていたのは、ご想像のとおりです。

我が家では、カレーの登場頻度がめちゃくちゃ高かったのです。多い時には週に1回なんて普通。

このカレー、今も私の子どもたちが帰省した際に登場するので、親子そろって大好きな、そして懐かしい味になっています。たまに家でも子どもたちにリクエストされますので、私も作っています。

帰り道の電車での妄想タイム

毎日のごはんづくり。

子どもの健康に気を遣って、栄養バランスに配慮し、メニューがマンネリ化しないように日々バリエーションをつけられるよう努力したり。しかし、現実的には1日に使える食費は限られているし、何より忙しいから毎日の料理にかけられる時間はあんまりない……。これが365日続くと思うと、ほんと気が滅入ってしまいますよね。

そうそう、最近私、めちゃくちゃはまっていることがあります。仕事を終えての帰り道は、「今日の晩ごはん何にしよう?」と同じくらい、「今日晩ごはんの時に何を話そう?」って考えているんです。

子どもたちの今日学校であったことの話、最近お気に入りのテレビの話、ママはこんなことがあったよという話。どんな話をしようかなって妄想をしているだけでちょっと楽しい。

毎日のごはんづくりを考える時、食べる時に何を話すかまでちょっと考えてみる。これは私にとってかなり楽しい時間なんです。

子どもの頃、学校から帰ると笑顔でお母さんが言った「今日もカレーだよ」というセリフ。台所でお料理をしているお母さんの顔って、今もずっと覚えているんですよね。

そんな経験から、子どもたちに覚えていてもらいたいのは、私のお料理レシピ以上に、私と過ごした食事の時間かなって最近思うのです。


小竹貴子

Dffec93b2e01878fbff1a0f0a86003e4 クックパッド株式会社ブランディング・編集部担当本部長。1972年、石川県金沢市生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオを経て、2004年に有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。編集部門長を経て執行役に就任し、2009年に『日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010』を受賞。2012年、同社退社。2016年4月から再びクックパッド株式会社に復帰。現在、日経ビジネスオンラインにて『おいしい未来はここにある~突撃!食卓イノベーション』、ヘルスケアメディア『Rhythm (リズム)』にて『マラソンチャレンジ連載企画』を連載中。また、フードエディターとして個人でも活動を行っている。

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