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新米を炊飯するときは水を減らす?減らさない?【至福の「ごはんのおとも」レシピvol.8】

これさえあれば白ごはんが何杯でもいける!というような絶品ごはんのおともに出会ったら、ごはんライフが楽しくなること間違いなし。ただし、ごはんのおともは「おかず」ではなく、あくまでも“ごはんの味”を美味しく引き立ててくれる存在。主役は白ごはんです。だからこそ、そのレシピはシンプルに。日常の白ごはん量がぐんとアップするようなごはんのおともを、お米ライター柏木智帆がお届けします。

炊きたてごはんにも!炊き込みごはんにも!

「ザ・ごはんのおとも」とも言える「なめたけ」は、スーパーでもコンビニでも瓶詰めを買うことができますが、自宅で手軽に作ることもできます。用意するのは、えのき醤油みりんだけ。酒ではなく出汁を使う場合もあるようですが、今回ご紹介するレシピはほのかに残る酒の香りが気に入っています。

無添加で自分好みのなめたけを手軽に♪


冷蔵庫になめたけを常備しておくと、白いごはんに乗せて楽しめるだけでなく、たまごかけごはんや納豆ごはんの調味に使うこともできます。

おすすめは、なめたけとツナの炊き込みごはん。お子さまにもおすすめです。子どものころは少食でしたが、母がこの炊き込みを作ってくれたときはおかわりしていました。炊飯水を少なめにしていたのか、米粒のほぐれが良く軽やかなので、3杯は食べていました。

新米は古米より水分が多い?

「新米は水分が多いから、炊飯水量は少なめで炊いたほうがいい」と言う人がいます。一方で、「新米は水分が多いわけではないので、炊飯水量を変える必要はない」という人もいます。

現在は稲を収穫した後に機械乾燥するのが主流で、お米の水分値を15%前後まで落としているため、新米だからといって水分が多いわけではありません

とは言え、必ずしも「新米は水分が多いわけではない」とも言いきれません。米倉庫でのお米の保管は、温度と湿度を一定に保って劣化を防いでいます。しかし、温度が高かったり湿度が十分でなかったりするなど、保存方法によっては水分が飛んでしまうこともあります。

そうしたお米を日常的に食べている人にとっては、確かに「新米は水分が多い」となります。一方で、よく管理された環境でしっかりと保存され、1年経っても水分値が変わらないお米をいつも食べている人にとっては、「新米は水分が多いわけではない」のです。

では、なぜ新米はみずみずしく感じるのでしょうか。

以前、夫が栽培して低温調湿貯蔵庫で保管している新米と古米の水分値を測ってみたところ、新米は同じ米袋の中でも場所によって0.2%ほどの差異がありました。一方で、古米は同じ米袋の中ではどこでも0.1%の誤差もなく、一定でした。

この結果から考えられるのは、貯蔵中に米袋の中で玄米同士の水分が移動して落ち着いたということ。

収穫時の機械乾燥では、「テンパリング」と言って米の水分を均一にする作業が行われますが、すべての米粒が0.1%の誤差もない状態にまで均一になるためには時間がかかるようです。

だからこそ、1年前に「『新米は古米よりおいしい』は幻想!? 本当の“お米の食べ頃”の話」の記事で書いたように、新米は年明けごろから徐々に味が落ち着いてくるのです。

新米の適切な炊飯水量とは

農学博士で日本水稲品質・食味研究会会長でもある九州大学の松江勇次特別教授によると、貯蔵して劣化したお米はタンパク質を構成する分子構造の変化によって炊飯時に硬くなり、粘りが弱くなるそうです。

では、新米は炊飯水量を減らして炊く必要があるのでしょうか。答えは、イエスでもノーでもありません。炊飯水量を減らさなくても、「ぐちゃぐちゃになった!」なんてことはなく、ちゃんと炊けます。

先日、ある新米を普段の炊飯水量と少なめの炊飯水量で炊き比べてみたところ、少なめで炊いたほうが食感良く旨みが感じられておいしいと思いました。でも、同じ新米を食べた人は「炊飯水量は多めのほうがおいしい」と言っていました。

また、私も他の新米を食べたときには少なめの炊飯量だと硬くなってしまい、「いつもと同じ炊飯水量のほうがおいしい」と感じました。要は、好みです

「新米だから少なめの炊飯水量で炊く」「新米でも炊飯水量は変える必要はない」と一概に決めつけず、米質、お米を浸水する時間の長さ、好みに応じて炊飯水量を変えるのが一番です。

柏木智帆

お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。
【ブログ】柏木智帆のお米ときどきなんちゃら
【クックパッド】柏木智帆のキッチン

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