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コラム

もう悩まない!料理研究家 石原洋子さんに聞いた「献立力」を身につける方法【プロの日々ごはんVol.10】

料理研究家であり、雑誌や書籍などのお仕事のほか「キユーピー3分クッキング」のレギュラーとしても活躍している石原洋子さん。彼女は2019年11月に『今夜の食事にもう悩まない 献立力 30分で作る晩ごはんの考え方とレシピ136』(学研プラス)を出版されました。書籍のなかには、毎日の献立の参考にできるレシピがたくさん。石原さんの考える「料理を楽しむための秘訣」とは?

食の楽しさに目覚めたのは、学校のお料理当番がきっかけ

私は自由学園という中高一貫校で育ちました。自由学園では「24時間の生活すべてが勉強」という教育理念のもと、お料理を授業のなかに取り入れています。中学1年生から高校3年生まで、それぞれの学年が曜日ごとのお料理担当になっていて。当番の生徒がお料理をつくって、みんなで食堂に集まってお食事をしました。

中学1年生は、まずご飯の炊き方から学びます。いまは電気釜が自動で炊いてくれるけれど、昔はそうではなかったから。それから簡単なお料理も、中学生のうちに覚えます。高校生になると、お魚を焼いたりと手のこんだお料理も学んでいきます。もともと食べることは好きでしたが、学校生活を送るなかで“つくること”も大好きになりました。

お料理をお仕事にしたいと思って、卒業後は栄養学校に通いました。そのあとは、お料理の先生のアシスタントをして。一人前になってからは、お料理教室や雑誌・書籍のお仕事、「キユーピー3分クッキング」のレギュラーなどを務めるようになりました。

みんなが献立で悩まなくていいように『献立力』を書いた

私たちの時代は「なるべく1日30品目食べましょう」とか「五味・五色・五法を大切に」と言われていましたけれど、忙しい方々がこれを守るのはとても難しい。

いまの時流に合わせて、「仕事をしている人が、家に帰って30分以内でつくれるレシピがあれば」と考えて書いたのが、2005年に出版された『3品30分の大満足晩ごはん』(成美堂出版)です。この本はもう絶版になってしまいましたから、同じように忙しい人が参考にできる料理本があったらいいと思いました。

『3品30分の大満足晩ごはん』では献立をご紹介しましたが、献立として出すとその組み合わせにとらわれてしまう。もっと自由に献立を考えてもらいたいという思いをこめて、『今夜の食事にもう悩まない 献立力 30分で作る晩ごはんの考え方とレシピ136』(以下、『献立力』)をつくりました。

『献立力』では、主菜や副菜などのレシピを、お肉やお魚、お野菜といった素材ごとに掲載していて。私なりの献立の立て方として、「」「ボリューム」「調理器具」というポイントに沿って解説しています。

3種類のポイントすべてを主菜と副菜で重ならないようにして、汁もので帳尻を合わせるようにしているんですよ。忙しい方が参考にできるよう、主菜と副菜、汁ものを全部合わせても30分くらいでつくれるようにしています。

この考え方で献立を組んでいけば、自然と『献立力』が身につくようになりますよ。

基本調味料だけでつくると、優しい味になる

私の普段のご飯は、朝はしっかり、昼は軽めに、夜はちゃんとつくる、という感じ。

朝は青汁系の野菜ジュースをミキサーでこしらえて、パンやコールスロー、ハム、チーズなどを合わせます。お昼はつまむ程度。お仕事でお料理をしているから、その味見としていただくくらい。夜にしっかり食べたいから、お昼はなるべくお腹いっぱいになりすぎないようにしています。

夕飯は、麺類のときもあるけれど、基本はごはんが多いです。お肉と野菜で1品か2品あれば十分な夕食になりますから、無理をせずにつくります。それから、佃煮なんかの常備菜をつくっておけば、数日は持つので便利です。

私はあまり添加物が好きではないから、固形スープや化学調味料などは使いません。「自然に出てくる素材の味で十分」という主義なんです。食材からうまみがちゃんと出てきます。「絶対に出汁をとらなきゃ」と思っている方も多いけれど、そんなことありませんよ。味つけは「酒とみりんと醤油を1・1・1」で、お砂糖をお好みで入れれば大丈夫。それだけで、バランスのいい味ができあがります。

私は基本調味料が好き。化学調味料を使ってばかりいると、家族の舌もそれに慣れて、刺激の強い味でないと物足りなくなる。普段から基本調味料を使っていると、みんな優しい味で満足できるようになります。
子どもにはなるべく、優しい味で育ってほしい。ホッとする家庭の味が一番です。

石原洋子さんの新刊著書

今夜の食事にもう悩まない 献立力』(学研プラス

『献立力』には「日々の献立に悩んでいる方に、もっと料理を気楽に考えてほしい」というメッセージを込めました。柔軟に考えて「これ、おいしいんじゃないかな。やってみよう」とアイデアを出せばいい。そうすると、レパートリーも増えていきます。

ご家族にとっては、つくりたてのお料理が一番のごちそうです。小さいお子さんがいらっしゃるご家庭は特にそう。お食事は、その子の成長に関わるものだから。毎日食べるものから、健康な体ができていきます。

無理はせずに、毎日1品でもいいから、お料理をつくってみてください。それが私の願いです。健康な家庭はあたたかい料理から、ですよ。

全国の書店やオンラインストアで好評発売中。>>>購入はこちら

石原洋子(いしはら・ひろこ)

料理研究家。自宅にて40年以上にわたって料理教室を主宰。家族がよろこぶ定番料理からおもてなし料理まで、誰でも再現しやすいように考えぬかれたレシピに定評がある。雑誌や書籍のほか「3分クッキング」などテレビでも活躍している。『伝えていきたい わが家の保存食レシピ』(朝日新聞出版)、『レシピに頼らず料理は割合でおぼえましょう。』(世界文化社)など著書多数。

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