野外料理研究家として、手軽なキャンプ料理を提案しているベアーズ島田キャンプさん。キャンプでも自宅の料理でも、常に“ラク”な料理を心がけているそう。毎日の料理をラクにするためのヒントと、自身も小さいお子さんのパパである島田さんに、子連れキャンプの秘訣をお伺いしました。
初めまして、べアーズ島田キャンプといいます。以前は芸人をやっていて、その後サラリーマンを経て、今は野外料理研究家としてキャンプ飯の動画をアップしたり本の執筆などをしています。子どものころから山遊びが好きで、秘密基地を作ったり、そこで友達とお菓子を食べたり、洞窟を探検したり、キャンプみたいなこともよくしていました。僕、愛知県の田舎の出身で、実家の目の前が山だったんですよ。だから、遊び場といえば山でした。
本格的なキャンプを始めたのは、車の免許を取ってからです。大人になってからは趣味で年に1~2回くらいのペースでキャンプを続けていて、本格的に仕事として始めたのは数年前。 すでにYouTubeで活躍されていたキャンプ仲間の芸人・ヒロシさんに、「島田さんもYouTube始めてみたら?」と言っていただいたことがきっかけで、自分もキャンプの料理動画を投稿するようになり、そこから少しずつお仕事をいただくようになりました。
キャンプにもいろいろな楽しみ方があると思うのですが、僕は最近もっぱら「ソロキャンプ」ですね。6年くらい前までは友達を誘ってみんなで行っていたんですが、自分から誘うと食材から道具まで全部僕が準備しなければいけないし、お金も多めに払わなければいけないので…。ということもあって、今はひとりが多いですね。
あとは、妻と子どもを連れて家族でもキャンプに行っています。娘はまだ2歳半ですけど、すっかりキャンプにハマっていて「パパ、キャンプ行きたい」って言ってくれていますね。
子どもと一緒のときは、釣り堀で魚を釣って焼いたり、肉を焚き火で焼いて食べたり、シンプルな料理でも非日常感があるものを喜んで食べてくれます。先日は“あぐー豚のロース”を持って行って焼いたんですけど、娘は大人と同じ量を食べてましたね。ふだんあまり食べないにんじんもグリルにしたら食べてくれました。皮のままホイルでくるんで焼くだけなんですけど、これが甘くてむっちゃうまいんですよ!
ただ、まだ小さい歩きたてくらいの子を連れていくときは注意してください。そのくらいの時期ってどこに行くかわからないから、目を離したすきに焚火に突っ込んでいっちゃうんですよ。子どもが歩けるようになったらキャンプに行きたいと言う人もいますが、実は歩かない時期の方がまだ安全なんです。
キャンプをしたことがない人は「大変」ってイメージが強いと思うんですけど、大変なことすらも楽しいと思えたら最高だと思うんですよ。非日常として受け入れると楽しいし、上手に作ろうとしなくてもいいんです。みんなで笑って食べられればいいじゃないですか。何回もキャンプに行ってる僕だってめっちゃ失敗します。すぐこぼすし、すぐ焦げるし、まずいときもある。でも、それも楽しいですよ!
あと、キャンプは季節感を楽しめるのも魅力の一つです。ただ、夏は暑すぎるので避けてください。ベストシーズンは春か秋。日中は暖かくて夜は少しひんやりするくらいの時期に行って、夜に鍋を食べるのがおすすめです。僕は11月くらいの紅葉の時期が好きですね。昔、紅葉シーズンに3泊キャンプをしたことがあって、木々の色が日々変わっていく感じがたまらなく良かったんですよ。紅葉を見ながら飲む酒は最高でした! みなさんにもぜひ体感してみてほしいです。
食べることも作ることも好きなので、キャンプだけでなく家でも自分で料理は作っています。家でも外でも、料理を作るときはいつも、いかにラクできるかを第一に考えています。
例えばキャンプ場の場合、いかに調味料を使わずにおいしく作るかが大事。家で作るときは醤油やみりん、酒など調味料が揃っていますけど、これらをキャンプ場に持って行くのは大変ですよね。
なので僕は「焼き肉のたれ」や「焼き鳥のたれ」をよく使っています。「◯◯のたれ」って味付けに必要なものが詰まっているんですよ。だから使わない手はありません!
そういうふうにラクする方法を考えながら「これでうまくいった」「これで失敗した」って試行錯誤していくのが楽しいです。
中でも最近のおすすめは「即席のみそ」。インスタントみそ汁のみそは炒め物の味付けとしても使えるんです。あと、うどんや鍋の素も便利! こういうテクニックってキャンプのときだけじゃなくて、ふだん家で料理するときにも役立つと思うんですよね。
おうちで子どもの面倒を見ながら料理をするのって本当に大変だから、みなさんもどれだけ時間短縮できるかを考えますよね。でも、メイン1品とご飯だけじゃ寂しいじゃないですか。それでやっぱり2~3品作らなきゃってなったとき、こんなふうに「味つけ」をサボったらラクなのかなって思います。
僕の“サボリ”を詰め込んだのがこの本です。キャンプ場ではもちろん、おうちでも楽しめるものもたくさんあります。もう一品作ってあげたいなとか、今日は手を抜きたいなってときに参考にしてみてください。中でもおすすめの2品を紹介します。
バターをたくさん使って、千切りキャベツを茹でる感覚で作るコールスローです。卵と追いバターで仕上げます。これはめっちゃおいしいですよ! 小学校のころから作っています。千切りキャベツは市販のものを使えば、切る手間も省けるのでとても簡単。ふだんのおつまみにもおすすめです。
僕がおつまみを作るきっかけになった料理です。天かすを使った、ラクに作れるちくわの磯辺揚げ風です。ちくわに天かすや青のり、紅生姜、マヨネーズを入れて混ぜ、仕上げに卵黄を落とすだけ。サクサク食感で、本当の磯辺揚げみたいなんですよ。揚げ物が面倒というときに、ぜひ活用してみてほしいです。
「いかにラクしながらおいしい料理を提供できるか」ということを念頭に、これらのレシピを考えていったので、今後も誰も思いつかないものを開発していきたいと思っています。とにかくラクして、おいしいものを作りましょう!
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(TEXT;河野友美子)
1977年7月6日、愛知県生まれ。「ムートン」というコンビで10年間芸能界で活躍。
2014年にサラリーマンに転身。休日はヒロシやソロキャンプの集まり焚火会のメンバーでキャンプをしている。お酒と料理作りをこよなく愛する野外料理研究家。
自ら撮影編集をしているYouTube『ベアーズ島田キャンプチャンネル』では3万人もの登録者数がいる。一児のパパでもある。