食事の専門家や著名人の方たちにインタビューする新連載「体もこころもキレイになる食事」。第一回は、予防医療コンサルタントでミス・ユニバース・ジャパンのビューティーキャンプ講師を務めた経験もある細川モモさんにお話を伺いました。キレイになりたいから、なるべくカロリーの低いものを食べてダイエットをする、という考え方を多くの女性が持っています。ですが、「美しい体になるには、きちんと食べて栄養をとることが大切」と細川さんは言います。食べてキレイになるための秘訣と、クックパッドのおすすめレシピを教えていただきました。
細川モモといいます。私は一般社団法人ラブテリの代表理事で、予防医療コンサルタントとして10年以上活動しています。2011年から2015年の間は、ミス・ユニバース・ジャパンのビューティーキャンプ講師を務めていました。何かの夢や目標を持った方を対象として、どのように食生活を整えていくといいかをアドバイスするのが、私の主なお仕事です。
日本の女性は「やせすぎていること」が大きな問題になっています。20代の女性の約4人に1人がやせ体型なのですが、この数値はコンゴやケニア、ナミビアといった国々と同じくらいの比率です。それに日本人は「太っているのに比べたら、痩せている方が健康的だ」という誤った認識を持っている方が多いので、余計にやせ信仰が強いんです。
ダイエットのときに「食事で摂取するカロリーを減らそう」と考える方がいますが、これは良くありません。驚くことに、今の日本の若い女性の摂取カロリーは、終戦直後の女性よりも低いんです。
カロリーが足りなくなると、人間は自分の体のパーツを溶かして、1日に必要なカロリーを得ようとします。このとき一番犠牲になってしまうのが筋肉なんです。
筋肉がなくなることは女性にとって良くないことがたくさん。体がたるんでくるので、ボディーラインがくずれます。筋肉は体温を生み出す役割をするので、減ると体が冷えてきます。血液循環やリンパの巡りが悪くなるので、むくみやたるみの原因にも。摂取するカロリーを減らすだけでは、体がどんどん老けてしまうんです。
健康的に美しくなるには、体重だけで判断することをやめて、筋肉を大切にすることが大切です。1キロの筋肉と1キロの体脂肪を比べると、筋肉のほうが体積は小さいです。たとえ同じ体重でも、筋肉が多い人の方がずっと痩せて見えます。体を引き締めるには、筋肉をつけることが効果的なんです。
ここからは、食べてキレイになるために「どんな栄養素をとればいいか」を解説していきます。まず重要なのは、たんぱく質です。人間の体のほとんどは、たんぱく質からできています。
良質なたんぱく質が含まれているのは、肉、魚、大豆、卵、乳製品です。炭水化物をメインに食べるときは、必ずこれらの食品を添えてほしいです。ごはんにツナや鮭フレークや牛そぼろをかけたり、パスタを食べるときはペペロンチーノではなくペスカトーレやボンゴレにしたりと、ちょっとした工夫で構いません。
「お肉だけに含まれる栄養素」や「大豆だけに含まれる栄養素」があって、それぞれが健康と美容に果たしている役割が違いますから、バランスよくとることを心がけましょう。
1日3食の食事で均等にたんぱく質をとる方がいいです。1食だけで多くのたんぱく質をとるのは、あまり良くありません。なぜなら、推奨量である50gを1食で満たすことは難しいことと(仮にサーロインステーキを1枚(200g)を食べてもたんぱく質の含有量は約23g / ゆで卵1個で約6.2g)、筋肉は常に分解され続けているので、維持するにはこまめに補給する必要があるからです。
女性や子どもにとっては、鉄分も重要な栄養素です。今、「隠れ貧血(ヘモグロビンに異常のない鉄欠乏)」といって鉄分が枯渇している女性がとても多いんです。鉄分不足で貧血になると、疲れやすくてイライラしやすくなりますし、朝起きられなくなり、集中力も落ちます。
成長期は男子でも鉄欠乏になりやすいのですが、お子さんが甘いものばかり欲したり「疲れた」「だるい」とよく言っていませんか? 鉄分はタンパク質に内合されているので、効果的にとるには牛肉やカツオとかマグロといった赤身の多い魚、シジミやアサリなどの貝類を食べるといいです。
鶏肉はいいタンパク質源なのですが、鉄分はあまり含まれていません。女性はできれば牛肉や豚肉を食べる方がいいですね。生理が重たい方は、出血でたくさんの鉄分が失われてしまいますから、サプリメントや鉄添加食品で補うこともおすすめします。
亜鉛も美容に良い栄養素です。肌の防御力を高めることで、マスクや衣類などの接触による肌トラブルを予防/沈静化してくれる働きがあります。鉄分と亜鉛はだいたい同じ食材に含まれているので、鉄分の多い食材を食べれば亜鉛もとれるはずです。
栄養素はチームワークであり、例えばたんぱく質の体内での利用にはビタミンB群が欠かせないなど、どれも大事なのです。栄養の偏った食事を続けてしまうと、免疫力が下がって体調も崩しやすくなります。丈夫な体をつくることで自分の生活の質も上がりますし、家族の健康も後押ししてあげられます。栄養をバランスよくとって、健康的に美しくなりましょう。
最後に、細川さんがおすすめする「健康的に美しくなれるレシピ」をご紹介します。
高たんぱくなサーモンとアボカドの丼。とくにアボカドは良質な脂肪を含んでいるので、肌の潤いを守ってくれます。それに脂肪酸という栄養素が、食事全体の栄養の吸収を良くしてくれるんです。
植物に含まれるファイトケミカルという物質は、抗酸化物質をおさえて体の免疫力を上げてくれます。それに、ネバネバした食品に含まれる水溶性食物繊維は、腸の免疫機能を整えて体の炎症を抑えてくれます。
インタビューでも登場した牛肉を使うレシピ。たんぱく質や鉄分、亜鉛が豊富に含まれています。
材料を順に混ぜていくだけでできる簡単ケーキ。良質なたんぱく質がとれる、おすすめのスイーツです。
ライ麦パンは小麦のパンに比べ、食後の血糖値の上昇が穏やかです。普段の食パンをライ麦パンに変えるだけで、老化促進物質ができにくくなり、肌の水分蒸発を防ぐ効果も期待できます。
ココアは鉄分や亜鉛を豊富に含んだ食品で、甘酒はたんぱく質を豊富に含んだ食品です。両方を組み合わせると、とても栄養バランスの良い一品に。
(TEXT:中薗昴)
両親の末期ガン闘病がきっかけで予防医療の道を志す。米国で最先端の栄養学を学び、International Nutrition Supplement Adviserの資格を取得後、日本の健康食品会社で製品開発及び広報を務める。
独立後、予防医療プロジェクト「Luvtelli(ラブテリ)東京&NY」を発足。
米国で学んだ最新栄養学をもとに世界一の美女を目指す女性たちや五輪選手の食事・医療面のサポートを行い、健康と食事に関する研究・学会発表も精力的に行っている。
2016年に第一子が誕生し、現在第二子妊娠中。子どもの食事と成長についてまとめた「成功する子は食べ物が9割」、「成功する子は食べ物が9割 最強レシピ」(いずれも主婦の友社)が累計10万部突破中。
成功する子は食べ物が9割
成功する子は食べ物が9割 最強レシピ
オフィシャルブログ>>世界一の美女を作る 美人の食卓
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