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コラム

おかず2品で立派な食卓に!サルボ恭子さんに聞いた「頑張らない献立の作り方」【プロの日々ごはんvol.14】

おしゃれな料理に定評のある料理家・サルボ恭子さん。30歳で単身フランスにわたり、料理専門学校「ル・コルドンブルー」で料理と製菓を学んだのち、高級ホテル「ホテル・ド・ クリヨン」の厨房に勤務。現在は、身につけたフレンチの知識やワザを書籍や料理教室などで教えています。そんなサルボさんは、ふだんどんなご飯を作っているのでしょうか。私たちの食卓を豊かにするヒントを教えてくださいました。

料理家になるきっかけは?

社会人になって4年が経ったあるとき、「自分にしかできない仕事をしたい。それなら好きな料理しかない」と思い、この道に進むことを決めました。まぁ、単純に食べるのが好きだったんです(笑)。

最初はフランス料理の教室を開いていた叔母のもとでアシスタントをしながら料理の基礎を教えてもらっていましたが、「フランス料理を仕事にするのなら、フランスを知らねば」って気持ちが湧いてきて、30歳のときに留学をしました。

今思えば、小さいころから客人に料理をふるまう祖母の姿を近くで見ていたり、叔母が料理家だったり、父の実家も旅館だったので、料理の仕事を選んだことはごく自然な流れだったのかもしれません。

献立は、2品あれば充分!

フランスの家庭では、食事の際の品数は2品程度が一般的です。
フランス料理の店へ行かれる方はご存知だと思いますが、洋食の食べ方は1品を食べきってからもう1品、と食卓には1品ずつしか通常並びません。それで、計2品です。
私も家で作るのは前菜とメインくらい。日によってはメインと果物、メインとチーズくらいで済ますこともあります。フランスの家庭には皆、チーズだけは常備してあって食後に食べることがほとんどなんですよ。

あと、フランスはほぼ100%夫婦共働きなので、2品のうち1品は出来合いのものや冷凍食品を使う人も多いです。私もこの前は冷凍食品のグラタンをオーブンに入れて、その間にサラダを作って、パンは焼き立てを買ってきて完了。それだけあればお腹もいっぱいになりますよ。

マンネリ化は悪いことではありません

きっとフランスの人は“手の抜き方”が上手なんでしょうね。品数が少ないことに対する罪悪感もない。そもそも罪悪感って何?って感じだと思います(笑)。食事はあくまで楽しく食べるもので、誰かが犠牲的に作るものではない。そういう考え方なんです。

日本人は「マンネリ化」を避けようとするけど、フランスでは毎日同じものを食べる人もいますし、何曜日は何ってメニューを決めている家庭もあります。マンネリって良い意味で考えれば、定番料理があるということですよね? それって自分のひとつの売りだと思うんです。
だから毎日料理をするのが大変な人は、週に2回は外食にするとか、週に1日だけ頑張る日を決めるとかすると楽なのかなと思います。今は外食がしづらい状況なので、テイクアウトを利用してもいいですね。

また、朝食は家族で話し合ってごく簡単なものをそれぞれが用意したり、当番を決めて支度し、当番が片付ける、などこの機会に料理を一部分担化しても良いと思います。
朝食はシリアルやヨーグルト、果物、トースト、ジャム、野菜ジュースなど包丁を使わなくても良いメニューにして、コーヒー・紅茶も電子レンジや湯沸かしポットを利用すればお子さんでも支度ができると思います。

この食材や調味料があると便利!

毎日同じものは食べられない、という人は、常備調味料などでバリエーションを出すのも一つの手です。ハーブやスパイスをいつもの定番に入れるだけで変化が出ます。例えばローリエは煮込み料理だけじゃなくオーブン焼きにちぎって入れてもおいしいですよ。

といっても、スパイスやハーブはスーパーなどによっては手に入れるのが難しいこともありますよね。そういうときは、マスタードが便利です。キャベツをくたくたに煮て、その仕上げに入れたり、ヨーグルトで伸ばせばドレッシングにも! 私はオムレツの隠し味として使っています。

そのほか、私は保存ができる缶詰や瓶詰は非常時にも役立つのでいくつかストックしています。例えば、ひよこ豆。缶詰やドライパックを常備しておくと、そのまま使えて便利ですよ。植物性のたんぱく質で栄養価も高いから、平日遅く帰ったときに炭水化物を食べずにひよこ豆を多めに食べるとバランスがとれます。

料理好きな私でも、まだ子どもたちが小さかった時期は、子育てや家事をしながらごはんを毎日作るのは大変でした。毎日のごはん作りって本当に大変だから、手を抜くことも大切なんです。

毎日何品も作る必要は全くないので、皆さんも「今日は2品にしてみる」「今日は冷凍食品を使う」など、そんなふうに楽な方法を探してみてはいかがでしょうか。

(TEXT:河野友美子)

サルボ恭子さんの最新著書

フランス共働き家庭の2品献立』(立東舎

「フランス 共働き家庭の2品献立」には、フランス流の賢いごはんレシピが100以上掲載されています。フランス料理というとハードルが高い印象がありますが、ここに掲載されているのは30分以内で作れる一般的な家庭料理。平日は遅い時間でも食べられる簡単で重たくないもの、休日は家族とのんびり食べられる料理やブランチが紹介されています。

食材も日本で手に入れられるものを使い、私たちの舌にあうようにレシピを作成。その中から、サルボさんにおすすめの献立を伺ってみました。

「『スパイシーポークソテー』と『コールスロー風キャベツサラダ』の2品献立は、中濃ソースを使っているので食べやすい味になっています。ポークソテーのソースに使っている、しいたけとドライプルーンの組み合わせは意外ですが、バランスがとても良いんです。また、サラダは普通のキャベツを紫キャベツに換えるだけでとっても華やか!紫キャベツが手に入らないときは、普通のキャベツにパセリをたくさん入れるとおしゃれに仕上がります」

そのほか、こんな料理も30分以内で作れます!

撮影 邑口京一郎、スタイリング 大畑純子

「平日は『チキンのトマト煮とブロッコリーのミモザサラダ』、休日は『ゆるオープンオムレツとポテト2種のサーディンサラダ』がおすすめです。トマト煮に使うチキンも1種類ではなく、手羽元と手羽先を組み合わせることで味に深みが出ます。ヘルシーにしたいときは、鶏むね肉と手羽元でもOKです。クミンを入れればモロッコ料理っぽくもなるので、アレンジして楽しんでみてください」(サルボさん)

撮影 邑口京一郎、スタイリング 大畑純子

「休日レシピのサラダに使ったオイルサーディンはそのまま食べるよりトースターで焼くのがおすすめ。オープンオムレツの上にはモッツァレラと生ハム、ルッコラを散らすとお店っぽい感じになりますよ」(サルボさん)

サルボ恭子 Kyoko Salbot

料理家。老舗旅館の長女として生まれ、料理家の叔母に師事したのち渡仏。パリ有数のホテル「ホテル・ド・クリヨン」で研修、勤務中に、フランスの郷土料理に魅了される。現在は日本と台湾で料理教室を主宰。素材と向き合い、その持ち味を引き出す料理に定評がある。雑誌やテレビなどでも活躍し、洗練された家庭料理には根強いファンも多い。現在はフランス語教室を主宰する夫と二人暮らし。『ストウブマスターブック』(学研プラス)『おもてなしは一品豪華主義でいい』(誠文堂新光社)など著書多数。

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