寿司職人 兼 フードコーディネーターの野本やすゆきさんが教える「魚を簡単においしくするワザ」【プロの日々ごはんvol.15】

寿司職人 兼 フードコーディネーターの野本やすゆきさんが教える「魚を簡単においしくするワザ」【プロの日々ごはんvol.15】

東京・谷中で一番古い寿司店「松寿司」の3代目であり、料理家、フードコーディネーターという肩書を持つ野本やすゆきさん。「料理人は格闘家、料理研究家はプロレスラーだと思っているんです。どっちが上とか下とかではなく、どっちにも良さがある。僕はその両方をやりたいんですよね」。そう語る野本さんは、週末は寿司職人となり、その他の日は、フードコーディネーターとして活躍中。今回は、野本さんだからこそ語れる「おうちおすし」の魅力について聞きました。

寿司職人 兼 フードコーディネーターになったきっかけ

実家が寿司屋だったので、自然な流れで寿司屋になりました。大学を卒業した後、寿司屋で働きながら調理学校に通って調理師免許を取ったんです。でもこのまま店を継ぐだけではなく、父親とは違った何かをやってみたいなという思いがあって。そんなとき、立ち読みしていた雑誌に「フードコーディネーター」という職業を見つけました。小さな頃からテレビっ子で、料理番組を見るのが大好きだったというのもあって、育成スクールに通い、卒業後はアシスタントスタッフとして働き始めたんです。

週末寿司職人の理由

5年前、突然父が亡くなってしまって、その頃から週末営業を始めました。ちょうど料理研究家として本を出版したり、テレビや雑誌に出始めたりしていたので、フードコーディネーターを辞めるのももったいない、でもお店を守りたいという思いから、3代目になりました。父親にまだやりたいことがあったのも知ってたし、その無念さを勝手に背負っていこうって思ったんです。それまで好き勝手に生きてこれたのも、父親が応援してくれていたからこそだと思うと、スイッチが入りました。自分から「やるぞ!」という気持ちになったことで、いろんなことが変わりましたね。

B006c15ad18cac07e902c6add468b957 撮影:櫻井めぐみ

魚が旨い!を伝えたい

僕が思うのは、「魚を美味しく食べさせることができる人が寿司屋」なのかなってことなんです。『魚』に『旨』で鮨って書きますし。極論ですけど、僕はそこを目指してやっていきたいんです。

魚を好きな人はたくさんいるし、家で食べたい人も多いと思うんです。でも、家で調理するということにハードルを感じている人は少なくない。だから僕は「魚って手軽なんだよ」ということを伝えていきたいなと思っています。

スーパーで買った魚も下処理をしっかりすれば、びっくりするほど美味しく食べることもできるんです。下処理と聞くと難しそうとか、手間がかかりそうというイメージがあるかもしれないけど、そんなことはなくてとってもシンプルで簡単なものばかり。ちょっとしたひと手間を加えることで、おうちでも美味しい魚を食べることができるんですよ。

おうちでできる「お刺身の下ごしらえ」

スーパーで買った魚を昆布でしめて旨味を足したり、塩をして水分を取ったりするだけで全然変わるんです。サクを買ってきたら、まずキッチンペーパーで水分を拭き取って、別のキッチンペーパーに包み、ラップをした状態で冷蔵庫に入れておくだけでも美味しさがアップします。冷凍の刺身だったら、食べる前に一度洗って、しっかり水気切りましょう。

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大切なのは、下ごしらえをしっかりすること。旨味を凝縮させたいなと思ったら塩じめがおすすめ。魚に振り塩をして水気が出たら拭く。旨味を加えたいなと思ったら昆布じめ。酒で湿らせたキッチンペーパーで昆布をふいて、魚を挟む方法です。
マグロは漬けにしてもいいですよね。白身だって漬けにしていいんですよ。

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焼き魚は「強火で一気に焼く」のがポイント

焼き魚もひと手間加えるだけで、味が変わります。焼く前に、ふり塩をして15分くらい置いておくと水気が出るので、それをしっかり拭いてから焼く。焼くときには味付け用の塩をまた別にしてください。余分な水分が抜けるということは旨みが増すということなんです。

家庭では、魚焼きグリルで焼くことが多いと思いますが、強火で一気に焼いたほうが良いです。焼く前には必ず予熱を入れておいてください。そうすることで、一気に魚に火が入るので美味しく焼けるんです。 ムニエルやソテーをする場合は、塩水に漬ける「たて塩」という下ごしらえがおすすめです。こうすると、魚に安定して塩が入るので、味が均等になり、しっとりと仕上がります。

特別な道具や難しい方法もなく、調理前のひと手間で、ぐっとおいしくなるワザをぜひ試してみてください。

(TEXT:上原かほり)


野本やすゆきさんの最新著書

おうちすし』(世界文化社

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「おうちすし」は、伝統のちらしやおいなりさんから、デリすし、サラダすしなど最旬レシピまでバリエーション豊かなレシピが紹介されています!

今回の著書にかける思いを野本さんに伺ってみました。

「僕にとって『おうちおすし』は、料理研究家野本やすゆきと、松寿司3代目の共著なんです。1冊の中で、前半と後半ではガラリとイメージが違う仕上がりになりました。 おすしって、ハレの日に食べるイメージがありますよね。もちろん、いつもより高いマグロを買ってちらしを作ってもらうのも良いんだけど、僕はもっと日常の中でもおすしを作ったり、食べたりしてほしいなと思うんです。日常は、手軽に買えるものを使って。酢飯さえあればおすしって簡単に作れるんだぞ!ということを前半で紹介しています。」(野本さん)

31254fe848dae890c3df9bbffbc78895 撮影:櫻井めぐみ/スタイリング:本郷由紀子

「「ひじきずし」や「キャロットラペずし」といった、常備菜をすしに変えるレシピは、日常で作ってほしい、家で簡単に作ってほしいというレシピです。 本の中で紹介している「ラップにぎり」は、ラップを使って簡単に握りずしを作れるので、お子さんと一緒に楽しんで作ることもできるんですよ。これが僕の中では、まさに『おうちおすし』ですね。」(野本さん)

寿司職人 兼 フードコーディネーターだからこそのバランスの取れたレシピは、おうちでのごはんに活躍すること間違いなし。日々の食卓にぜひ取り入れてみてくださいね。

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野本やすゆき
谷中 松寿司三代目
料理家/フードコーディネーター

6b0e1779fe2dcce39bd999ea948a9c5e 撮影:三吉史高 雑誌、書籍、テレビ、webなどでレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネート、料理教室講師、フードコーディネーター養成スクールの講師としても活躍。著書に『まいにち食べたい魚料理』『まいにち作りたい魚料理』(ともに大和書房) 、共著に『生の魚じゃ、こうはいかにゃいシリーズ1 鯖缶』(オレンジページ)がある。 「谷中 松寿司」三代目として、祖父、父から受け継いだ技術、伝統に加え、東京前寿司という新たなジャンルを確立。現在は予約のとりにくい人気店として注目されている。

>>http://nomotobase.com/

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