おうちで食べる機会が増えたことで、今までとお金の使い方にも変化が出てきたのではないでしょうか。そこで今回は、『月たった2万円のふたりごはん』の著者であり、イラストレーターの奥田けいさんに、食費を節約するためのコツや、夫婦共働きでも作れる時短ご飯の作り方を教えていただきました。
私が「食費2万円生活」を始めたのは、4年前。今の夫と同棲をし始めたのですが、私もまだイラストレーターとして駆け出しで、夫も新米サラリーマンだったので、そんなに楽な生活はできない…ということで、食費を節約することに。調べてみると世の中の平均がおよそ月4万円ということだったので、その半分の2万円を目標にしてみたんです。また、共働きで忙しかったこともあって、15分以内で作れる安くて簡単なスピードレシピを考えるようになりました。
特売の有無に関係なく、いつも決まったスーパーやお店に行くようにしています。お肉ならこのお店が安いとか、野菜はここの八百屋さんが頻繁に特売をするとか、値段が大体わかってくるんですよ。なので、食材別に行くところを分けて、安いときにまとめ買いをしています。節約するためには、まず贔屓のお店を見つけてみるといいと思います。
節約といえば、やはり鶏肉ですよね。我が家の食卓も鶏肉料理が多く登場します。ささみが安くなっている日は多めに買って、シリコンスチーマーで「蒸し鶏」をよく作ります。シリコンスチーマーにささみを並べて、お酒をかけてからレンジでチンするだけで簡単にできるんです。これなら忙しい日でも簡単です。
使えるお金が少ないと、買える食材が同じものになりがちなので、1つの食材をアレンジすることもよくしています。例えば、納豆はお肉と炒めてそれをご飯にかけて食べたり、卵と一緒にオムレツにしたり。ちなみに「納豆オムレツ」は、納豆たまごかけご飯がおいしいならこれもおいしいだろうと思って作ってみました(笑)。
最近は、3分で茹でられるマカロニや3食入っている茹でうどんなど、時短や節約にぴったりの食品も多く登場しているので、そういう時短食材を見つけることも早くて安い料理を作るうえで大切かなと思います。
また、調理道具や家電も駆使することも時短のコツです。私は「シリコンスチーマー」を毎日のように使っていますが、材料を入れてレンジで温めるだけで作れるので、とっても便利です。そのほかに、調理用のハサミも使い勝手がいいですよ。ネギもまな板を使わないで切れますし、お肉を焼いていて「大きすぎたな」と思ったときも、はさみがあればフライパンに入れたままの状態でチョキチョキ切れます。まな板を洗う手間も省けるので、時短に欠かせないアイテムです。
あまりお金をかけることができない分、見た目が寂しくならないように、メイン料理と副菜、汁物の3品は用意するように心がけています。汁物は手の込んだものではなく、かきたま汁くらいでもOK。メインはしっかりめに作って、副菜はトマトを切ってかつおぶしをかけるとか、切って出せるものにすれば15分以内で作り終えることができます。トマトは彩りも豊かになるので、今の時期におすすめです。“切るだけ副菜”って、仕事から帰ってきて急いで作らないといけないときにもとても助かりますよ。
2万円でやりくりするのは大変ですが、やりがいもあります。月初めにお財布の中に2万円を入れてスタートし、月末に残りをチェックすると、自分がどれだけ頑張ったのかわかりやすいですし、残った分でおいしいごはんを食べたりすると、それが節約のモチベーションにもつながります。
実際に私は、お財布に3000円くらい余った月は、それで牛肉を買って食べました(笑)。節約も時短も一気にやろうとすると大変だと思うので、最初は「お肉だけ節約してみる」とか「副菜は切るだけで作れるものにする」とか、何か1つできることから始めてみるのがいいと思います。
奥田けいさん夫婦の暮らしの出来事をコミック化。本書には、奥田さんが実践していた「食費2万円」生活のエピソードが盛り込まれており、そこに登場する料理レシピも奥田さんのイラストでかわいく紹介されています。
「料理のイラストはいかにおいしそうに見せるかが大事なのですが、赤と黒の2色でそれを表現するのがすごく難しかったです。エピソード部分には、自分と主人を模して描いているんですが、そこはすごく美化して描かせていただきました(笑)」。
紹介されているレシピは、どれも節約・時短メニューとは思えないボリューム感とクオリティの高さ。冒頭に登場する「手羽トロの甘辛蒸し」は奥田さんのおうちで頻繁に作られている定番メニューなのだとか。「夫の大好物なので、我が家では頻繁に食卓に並びます。時間がないときはシリコンスチーマーでレシピ通りに作っていただいてもいいですし、時間に余裕があるときはフライパンで焼くとこんがりしておいしいですよ」(奥田さん)
さらに、今の季節ならではのおすすめ料理も教えていただきました。
「今の季節はナスが安くなっているので『揚げ焼きナスの塩昆布和え』はおすすめです。普通に切ったナスを多めの油で揚げ焼きして、そこに塩昆布をのせて混ぜるだけ。普段からいろいろな方におすすめをしているんですけど、皆さんすごく喜んでくれて『ほぼ毎日作ってます』と言ってくださる方もいるんです。おつまみにもなるし、ご飯にも合います」(奥田さん)
奥田さんの節約・時短テクはどれも料理が楽しくなるものばかり。忙しくて料理を作るのが大変だと思っている人や、これから2人暮らしを始めようと思っている方々もぜひ参考にしてみてください!
イラストレーター。1990年三重県出身。AB型。地元で就職するが、イラストレーターを目指して作品をInstagramに投稿し続け、人気を拡大。個展を開くほか、お菓子のパッケージ、書籍のカバーイラストや挿絵、音楽イベントのグッズ、CDジャケット、大手食品メーカーのWEBレシピ連載などを手がける。
初の著書「月たった2万円のふたりごはん」(幻冬舎)が10万部のベストセラーになり話題に。「恋する、ぬり絵。」(講談社)、「マンガ 月たった2万円のふたりごはん」(幻冬舎)、「月たった2万円のダイエットふたりごはん」(KADOKAWA)などを出版。「はやくひょっこりはんをさがせ」(宝島社)ではイラストを担当した。
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