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コラム

【料理研究家が教える】負担にならない範囲から始めてみる!「お弁当おかず」の作りおき3カ条

毎日のごはんはラクにおいしくしたいけど、忙しくてなかなか難しい……。そんな方におすすめするのが「作りおき」。でも、どこから始めたらいいの? という方に、作りおきのプロで料理研究家・鈴木美鈴さんが、これを知ってればできる! 「作りおきのコツ」をお届けします。普段の献立にも役立ちそうな調理法や手順などのアイデアも必見です♪

朝時間にゆとりが生まれる作りおき

会社や学校に持っていく「お弁当」。頑張って早起きして作るものの、それだけで朝はクタクタ……。お弁当作りさえなければ、あと30分ゆっくり寝ていられたのに…と恨めしく思ってしまう、なんて経験がある方も多いのではないでしょうか? 手作りのお弁当について、料理研究家の鈴木美鈴さんは次のように話しています。

「コンビニや外食になると野菜不足が心配ですが、手作りのお弁当は栄養のバランスがとりやすく、家族の好みのおかずを入れてあげることもできます。とはいっても、お弁当を作るために早起きをするのはつらい。おかずがワンパターンになりがちで、なにを作ろうかと頭を悩ませることもあると思います。食材を上手に使いこなさないと、外食より割高になることもあります」

そんなお悩みを解決してくれるのが、お弁当に入れる「おかずの作りおき」です。

「計画的に作ることができるので、朝の忙しい時間に慌てずに済みますし、気持ちにゆとりが生まれ、ほかの家事にも時間を費やすことができます。家にある食材を上手に使い回しをすれば無駄がなくなり、  食費の節約にもつながりますよ」

確かに作りおきのおかずがあれば、朝はお弁当箱に詰めるだけ。貴重な朝時間にゆとりが生まれますよね!

お弁当の作りおきおかず、基本の3カ条

いざ作るとなったら、どういうことに意識して作ればいいのでしょうか? 鈴木さんに3つのポイントを教えてもらいました。

1. おかずは「冷まして」冷蔵保存

おかずはよく冷ましてから冷蔵庫に入れて保存します。おかずが温かいうちに蓋をすると、水滴がおかずに落ち、温かい温度帯は菌が繁殖しやすい可能性があるので注意してください。

2. 色どりはお弁当に入れることを考えてカラフルに!

何品か作る場合は、なるべく違う色のおかずを作ってみましょう。赤は人参、緑は葉物など、彩りを意識すると自然と栄養バランスがよくなりますよ。

3. 調理法を変えて、食材を使いきる

同じ食材を使うときは調理法がかぶらないようにします。例えば、じゃがいもひとつとっても煮物、和え物、焼きものというように調理法を変えるだけでまったく別の料理に。これなら毎日食べていても飽きませんし、食材を最後まで無駄なく使いきることができます。

また、肉や魚などはなるべく脂身が少ないものを選ぶようにして、調理中も食材から出た脂はキッチンペーパーなどで拭き取りましょう。そうすると冷めたときに脂が固まるのを軽減できます。
また、抗菌効果が期待できる成分が含まれた食材を積極的に使うとより安心。保存容器や調理器具も使う前にキッチン用のアルコールスプレーを吹きかけて衛生面に気を配りましょう。

作りおきに向いている食材とは?

慣れないうちは「なにを作ったらいんだろう?」「どんなものがお弁当に合うんだろう?」と悩むこともあると思います。そんな人はこちらを参考にしてみてください。

「1年を通して、作りおきに向く食材は、切り干し大根やひじき、高野豆腐などの乾物のもの。野菜でしたら人参、じゃがいも、玉ねぎなどの常備野菜。秋から冬にかけてはごぼう、大根、れんこん、かぼちゃ、さつま芋、かぶ、白菜などがおすすめです」

お弁当のおかずは彩りも重要なので、色ごとに食材を選ぶのもいいですね

【緑】

小松菜、豆苗、水菜、にらなどの葉物野菜やブロッコリーなど。ごま和え、お浸し、ナムルなどはパパっと簡単に作れて、箸休めにもなり栄養価も高くなります。茹でると水に溶けやすい栄養素が減ってしまうのでレンジ加熱にしましょう。

【黄色】

パプリカ、かぼちゃ、さつま芋など。パプリカは醬油ベースの味付けだと変色するので、塩炒めがおすすめ。鶏がらスープの素を使うと旨味がアップします。かぼちゃやさつまいもは煮物や照り焼きなどが合います。

【赤】

人参、パプリカなど。人参はマリネや炒め物、コンソメ煮に向いています。パプリカはレンジで加熱して、おかか和えやごま和え、お浸しやナムルにするのがおすすめです。

お弁当の作りおきおかず、冷凍保存の3カ条

作りおきのおかずには、冷凍保存ができるものもあります。おいしく安全に冷凍保存するためのポイントも紹介します。

1. 冷凍は素早く

ジッパー付きの保存袋や保存容器に入れ、なるべく平らにして冷凍します。厚みがあると凍るのに時間がかかり、傷む場合があるためです。

2. 空気にはなるべく触れさせない

鮮度とおいしさを保つには空気に触れることは厳禁。保存容器ならきちんと蓋をします。保存袋は中の空気をしっかり抜いて、さらにラップに包む、ポリ袋に入れてから保存袋に入れるなど二重にすると安心です。

3. 味付けはいつもより薄めに

作りおきの味付けは濃いめが基本と言われていますが、冷凍する場合はやや薄めにします。冷凍すると味がしっかり染み込み、特に煮物などは味が濃くなることがあるからです。

そのほか、お弁当用のカップにおかずを入れて冷凍すると、使いたい量だけ取り出して使えるのでとても便利です。冷凍保存に耐えられる「シリコンカップ」にするとより経済的です。 また、冷凍保存は冷蔵保存よりも長く保存する場合が多いです。そのため、食材が余ったものを調理して冷凍するのではなく、スーパーで買ってきて新鮮なうちに調理をして、冷凍した方が味落ちを防げます。

作りおきにぴったりの便利グッズ

これがあれば作りおきの達人になれる! という、鈴木さんイチオシの便利グッズも教えてもらいました。

「作ったおかずはガラス製の保存容器に入れると、蓋を開けなくても中身が見えるので助かります。百円均一の容器はコスパがよく、においうつりもしにくいのでおすすめです。
また、いつも使っているまな板のほかに、小さなまな板があると、ちょっと使いたいときに便利。大きなまな板を洗わなくすむので洗い物もラクになります。衛生面が気になるときは100円ショップで購入できる抗菌シートをお弁当に入れるのも。お弁当用のカップはシリコン製のものを使うと洗って再利用できますのでエコになりますね」

まずは1品の作りおきから始めてみよう

最後に鈴木さんから、作りおきを始めるみなさんにアドバイス!

「作りおきといえば何品もたくさん作る、というイメージがあると思いますが、生活サイクルや家族構成もみなさんそれぞれ違うので、自分に合った作りおきをするといいと思います。はじめから何品も作っていると疲れてしまって本末転倒。まずは1品からスタートしてみてはいかがでしょうか?
ほったらかしにできる煮込みおかず作りをしながら夕飯の片付けをするなど、ちょっとした隙間時間を使ってみるといいと思います。慣れてきたら徐々に品数を増やしてみて。心と時間にゆとりがうまれる作りおきを目指しましょう」

1品でも作りおきのおかずがあれば、朝のお弁当作りはラクになります。いきなり完璧を目指すのではなく、まずは負担にならない範囲から。これなら毎日のお弁当作りに気軽に取り入れられそうですね!

※ メイン写真はこちらの記事をイメージして選定させていただきました

「作りおき」保存のルール

保存状況により、保存期間は異なりますので、なるべく早く食べきりましょう。
- 冷蔵庫で保存…常温での保存は避ける
- 清潔な保存容器を使用する…水滴や汚れは腐敗の原因に
- 取り分け用の清潔なスプーンなどで取り出す…口に直接入れるスプーンや手でさわるのはNG
- 作った日付を記しておく
- 冷蔵の場合は、2〜3日を目安に早めに食べきる

鈴木美鈴さん

料理研究家。トータルフードコーディネーター。クックパッド公式アンバサダー。作りおき・お弁当を得意とし、素材の味を大切に心と身体にやさしい家庭料理を考案、発信している。ウェブ・雑誌・企業へのレシピ掲載をはじめ、数々の料理コンテストにて受賞歴あり。著書に『盛るだけ つめるだけ 毎日かんたん 作りおき おかず』(オーバーラップ)。クックパッドにも絶賛投稿中♪>>>鈴木美鈴さんのキッチン

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