世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さん。今回は、パクチー好きの方にぜひ試していただきたい、イスラエルで出会った感動の料理を紹介してくださいました。
この記事を開いてくださったあなたは、きっとパクチー好きですね。
生春巻き、フォー、サラダ。東南アジア風の料理によく使われ、独特の香りが人気ですが、一方で好き嫌いがわかれる食材でもあります。しかし、数年前にブームになって以降、今やスーパーでも普通に手に入るようになりました。
生で香りを楽しむことが多いパクチーですが、実は煮るとさらに違ったおいしさに出会えるって、知っていましたか!?
今回は、私が中東イスラエルで出会った「煮るパクチー料理」を紹介したいと思います。
この料理の名前は「モロッカンフィッシュ」。教えてくれた方は、モロッコにルーツのある家庭でした。
フライパンに、にんじん・赤パプリカをカラフルに並べ、白身魚をのせてにんにくを散らします。その上にのせているのは...山ほどのパクチー!ほうれん草の束かと思うくらいたっぷりの量です。
パクチーを押し込むようにして、上からパプリカパウダー等を溶いた真っ赤な油を注ぎかけ、蓋をして煮込みます。一体どうなってしまうんでしょう...
煮込むこと30分。スパイシーないい香りが漂ってきます。蓋を開けると、あふれるようにあったパクチーも、だいぶ量が減っています。
お皿に盛り付け、煮汁もたっぷりかけていただきます。
すっかり煮込まれたパクチーを食べると、甘くてクセもなく、青菜のように食べられてしまいます。おいしいですが、あの強烈な風味はどこに行ってしまったのでしょう?
ところが、魚を食べてびっくり! スパイシーな調味料は入れていないのにピリッとスパイシー、それでいて爽やか、かつ食欲をかきたてる絶妙な味になっているのです!
実は、パクチーの風味は煮汁に溶け出し、料理全体にスパイシーな風味を添えてくれていたのでした。旨みが染み出した煮汁は、ご飯にかけて食べても絶品でした! 独特の香りが和らぐので、この料理はパクチー嫌いな人とも楽しめるかもしれません。
パクチーの原産は地中海付近と言われているのですが、原産地に近いモロッコでは、この料理のようにパクチーを「だし」として使う調理法があるのだそう。
いつもは生で食べるパクチーですが、もしかしたら日常で作るお鍋や煮込み料理に入れてみても新しいおいしさに出会えるかも? と想像が膨らんだのでした(まだやっていないのでわかりません。笑)
寒くなるこれからの時期、みなさんもぜひ煮込んだパクチーの新しいおいしさを体験してみてくださいね!
台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。
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