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コラム

まさかの◯◯入り!? 南米の朝の定番ドリンク『チョコラテ』とは【世界の台所探検】

世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さん。2020年12月18日に青幻舎から岡根谷さんの初の著書『世界の台所探検 料理から暮らしと社会がみえる』が発売されたのにあわせて、全3回でおすすめのエピソードとレシピを厳選してお届けします。

今の時期におすすめのホットドリンク

寒さとともに、忙しさも増してくる時期ですね。
ちょっと一息つきたいとき、あたたかい飲み物を飲むと体の芯から元気が湧いてくる気がしますよね。

第2回目の今回は、今の時期にぜひ飲んでいただきたい南米コロンビアの朝の定番ホットドリンクを紹介します。

コロンビアの朝の定番「チョコラテ」とは?

南米というと年中暑いイメージもありますが、実はコロンビアの首都ボゴタは、富士山の7合目ほどの高地。アンデス山脈に位置して、冬はしっかり寒いのです。

「紅茶がいい? チョコラテがいい? チョコラテよね、最高なんだから!」

紅茶…と応える間もなく、チョコラテを強く勧められ、お世話になっていた家の一人娘、高校生のカリナが張り切って作ってくれました。

チョコラテはスペイン語で「チョコレート」。ホットチョコレートのことも、お菓子のチョコのことも、ここでは同じように「チョコラテ」と呼びます。私たちに馴染みのあるホットチョコレートと違うのは、ふわふわの泡

その泡の秘密は道具にあります。
長細いポットに、先端がプロペラ状になった棒。ポットに専用のチョコレートバーと牛乳を入れて温め、両手のひらで棒を挟んで、擦り合わせるようにしてぐるぐる回して泡立てるのです。まるで人力のハンドブレンダー

泡の下に隠れているのは...!?

出来上がったチョコラテは4人分のカップに注ぎ分け、食卓へ。パンと一緒に食べます。
カプチーノのような粗めの泡で覆われたマグカップに口をつけると、口いっぱいにやさしい甘みが広がり、鼻元ではカカオの香りがはじけます。そして、口まわりには立派な"泡の口ひげ"が。カリナは恥ずかしがるでもなく、「このひげもおいしさのうちなの」とにっこり。

そしてさらに、もうひとつポイントが!
「これがないと完成しないの」と投入したのは大ぶりに切ったチーズ。半溶けのところをスプーンですくい出して食べるのです! 「ホットチョコレートに、チーズ!?」と、驚いてしまいましたが、うっすら塩気のあるチーズにチョコの甘さが絡まり、チョコがけポテチのようなベストマッチ。ふわふわのあとはとろ〜り。二度おいしくて、そして楽しい一杯なのでした。

チョコレートの原料となるカカオ豆の原産地は、中米地域と言われています。このあたりでは、マヤ文明の時代から儀式の他に上流階級の飲み物としてカカオが飲まれており、この道具を使う作り方は、その時代からのなごりなのだとか。

「チョコラテは、家族や友人とのスイートな時間なの。急いで飲むならパック入りココアを買う方がまし!」とカリナは言います。チョコラテを作るのは、ちょっとだけ手間がかかる作業。忙しい平日の朝に慌てて作って流し込むのではなく、泡だてたりチーズが溶けるのを待ってゆっくり楽しむものなのです。

このチョコラテ、現地では専用のチョコレートバーと専用の道具でつくりますが、とってもおいしくて楽しいので、日本でも手軽に味わえるよう、作りやすいレシピを考えました! ぜひチャレンジしてみてくださいね。

泡とチーズがポイント!コロンビアのチョコラテ

材料(1人分)

ココア…大さじ1 (8g)
きび砂糖…大さじ1(12g)
牛乳…180ml
モッツァレラチーズ…適量

作り方

1. モッツァレラチーズは、2ミリの厚さにスライスし、1枚用意する。
2. ココアと砂糖を小鍋に入れ、少量の水を加えて、弱火でなめらかなペースト状になるまでよく練る。
3. ペースト状になったら、中火にし、牛乳を少しずつ加えながらかき混ぜる。
4. 沸騰する直前で火から下ろし、ミキサーに入れて30秒ほどまわす(ハンドブレンダーを使う場合は、専用の縦長カップに入れるのが良いです)

ふわふわに泡立ったらカップに注ぎ分け、食卓へ。温かいうちにチーズを入れると、程よく溶けておいしいですよ。スプーンですくって、お召し上がりくださいね。

お家にいながら世界旅行を楽しもう

今回ご紹介した「チョコラテ」は、実は意外に寒い南米の朝によくつくるものですが、ちょっと一息つきたい午後や寝る前のリラックスタイムにもよさそうです。いつものココアの材料で、ちょっと違う味わいが楽しめちゃいます。

海外旅行が難しい今は、行かずとも世界を感じることができる「料理」を取り入れて、お家にいながら世界旅行を楽しんでみてくださいね!

次回は、キューバの工夫が詰まった『フラン』を紹介します。

世界の台所探検 料理から暮らしと社会がみえる』(青幻舎)

読んで、作って、食べて、世界の暮らしをめぐる旅に出かけてみませんか?
”食から世界を旅する”本が、12月18日に発売されました!

「世界の台所探検家」として世界各地の台所をめぐっている岡根谷実里さんが、現地の人と一緒に料理や食事をして体験した、リアルな暮らしと文化のストーリーをたくさんの写真と共に紹介。コラムでは、台所を飛び出して、市場や調理道具、その地域ならではの食習慣も味わえます。

観光ガイドブックとは違う、その国に住む“普通の人々の暮らし"を、現地家庭で教わった料理レシピ13品とともに、体験してみませんか?

岡根谷実里さん

台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。
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