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コラム

実は簡単!料理研究家・市瀬悦子さんの頑張らずに続けられる「2品献立」【プロの日々ごはん Vol.24】

「毎日似たようなメニューばかりで飽きてしまう」「バランスのよい食事を作りたいと思っても何品も作るのは大変」――そんな献立悩みを解消するための方法を、料理研究家の市瀬悦子さんに教えてもらいました。

何品も作る必要はありません

献立作りに悩む人にまず初めにお伝えしたいのは「2品献立だっていいんだよ」ということ。2品だと少ないと思う人もいるかもしれませんが、その2品がバランスよく、ボリュームがあるものになっていれば、満足できる献立ができます。たとえ丼や麺1品でも、そこにちょっとしたものを添えるだけで献立感って出ますよね? そんなふうに難しく考えず、作ってみるといいと思います。

献立作りの3つのポイント

献立を考えるうえで心がけるべきことは「変化」。以下3つのポイントを意識すれば献立作りが楽になると思います。

1つめは「味つけを変えること」。2〜3品作っても、全部ソース味だったらどのおかずを食べても同じ味で飽きてしまいます。だから、主菜と副菜の味が重ならないようにするというのはポイントですね。

2つめは、「調理法を変えること」。炒め物2品だと、2品目が完成する前に1品目が冷めてしまうので、1品は炒め物、もう1品はレンジで蒸し物を作るなど、調理法を分けると段取りがスムーズに進みます。見た目にも変化が出るので、食べる側も違うもの2品が並んでいることがわかりやすく、“2品=少ない”というイメージもなくなると思います。

3つめは、「野菜の種類を変えること」。主菜も副菜もキャベツだと、味や調理法が違ったとしても、どうしても飽きてしまいます。大物野菜は1回で消費しようとせず、余ったら次の日にまわすなどしましょう。ほかにも、食感が似ているものは避けたほうがいいですね。肉じゃがにさつまいもの味噌汁をつけるとホクホクした献立になってしまうので、根菜と葉物野菜にするなど、野菜の組み合わせも意識して変えるといいですよ。

定番コンビの味付けにバリエーションを持つ

食材もできるなら、豚肉、鶏肉、牛肉、魚とまんべんなく使ったほうがバランスはいいですが、実際は、よく買う食材は決まったものが多かったりしますよね。そうすると、どうしても同じメニューになりがちですが、味つけにバリエーションを持っておけば、同じ食材を続けて使っても飽きずに楽しめます

例えば、定番の“豚こま肉×キャベツ”の組み合わせでも、和風で「昆布蒸し」、洋風なら「カレートマト煮」に、さらに変化を出したい時は味噌で炒めたら「回鍋肉」になります。そんなふうに、よく買う食材と相性のいいコンビネーションを決めて、味つけを考えるだけでも献立作りは楽になります

豚こまとキャベツのレモン昆布蒸し

(画像提供:「2品献立、はじめました。」)
<材料>(2人分)
・豚こま切れ肉…150g
・キャベツ…1/3個(300g)
・A ごま油…大さじ1
   塩…小さじ1
・塩昆布…大さじ2
・レモンの輪切り…4枚

<作り方>
1. キャベツは長さ5〜6cm、幅1cmに切る。豚肉にAをもみ込んでおく。
2. フライパンにキャベツ、豚肉を重ね入れ、塩昆布を散らしてレモンをのせる。フライパンのフチから水大さじ1を加えてふたをし、中火にかけて4分ほど蒸す。
3. ふたを取り、ざっくりとあえて器に盛る。

一人暮らしの方で食材が使い切れずに困っている人も、これなら毎日同じ食材でも飽きずに楽しめますよ。

魚献立の物足りなさも解消!

魚料理でよく使う「」もワンパターンになりがちな食材ですが、照り焼きにしたり、ナンプラーで炒めたり、味を変えればバリエーションも広がって食卓にも取り入れやすくなります。男性の場合、肉料理と比べると物足りなさを感じる方も多いですが、照り焼きの時は焼き玉ねぎを添えたり、味噌汁にかぼちゃを入れるなどしてボリュームを出せば、物足りなさを補えます。

時間がない時のお助け一品

時間がない日の夕飯は「麺類」で済ませるという人も多いのではないでしょうか。その時もパスタだけではなく、サラダもつけたりと、ちょっとの工夫でバランスもボリュームもアップします。けれど、本当に忙しい時はそれさえも手間だと思うので、切って揉むだけで作れる「浅漬け」は、覚えておくとさまざまなシーンで使えますよ。

白菜ときゅうりの浅漬け

(画像提供:「2品献立、はじめました。」)
<材料>(作りやすい分量)
・白菜…150g
・きゅうり…1/2本
・塩…小さじ1

<作り方>
1. 白菜は小さめの一口大に切る。きゅうりは5mm幅の小口切りにする。
2. ポリ袋に1を入れ、塩をふってざっと混ぜ、軽くもむ。空気を抜いて口をとじ、15分ほどおく。水けを軽くしぼって器に盛る。

献立を考える時に便利な食材

冷蔵庫を見てその日の献立を考える人も多いと思うので、食材は「日持ちするもの」「生でも加熱しても使える野菜」を買っておくと便利です。これからの季節なら「大根」。メインにも副菜にも応用が効くし、煮ても焼いても生のままでも食べられる。調理法を変える時にも使い勝手がいいですよ。

頑張る日もあれば、そうじゃない日もあっていい

厚生労働省の指針では「1日30品目」をとることが目標と言われていますが、それはあくまで理想。現実はそう簡単にはいきませんよね。そこばかり気にして献立を考えるのは大変なので、1週間とか長い目で見てバランスがとれていればいいと思うし、毎日でなくても頑張れる日に頑張ればいいんじゃないかなと私は思います。2品だって充分立派な献立ですよ。

(TEXT:河野友美子)

市瀬悦子さん最新著書

2品献立、はじめました。(大和書房)

忙しい毎日、かろうじて自炊はしても、1品ごはんしか作らない。そろそろ、ちゃんと料理しようかな…と思うけど、SNSで見かけるようなズラリと並んだ食卓なんてそろえる余裕はない…! そんなときにぴったりな2品献立が大集合。

「パスタなど1品料理で済ませている料理ビギナーに向けて作った本ですが、じつは忙しい人にもぴったりな内容になっています」(市瀬さん)という言葉通り、時間のない人や献立に悩んでいる人にも、まさに今日から役立つ内容ばかり。記事で紹介した“豚こま×キャベツ”以外にも、“鶏むね×きのこ”や“ひき肉×大根”など、定番食材コンビの味付けバリエを紹介するコーナー、あと1品がすぐできる「ずぼら副菜カタログ」は必見です!

市瀬悦子(いちせ・えつこ)

料理研究家。大学卒業後、食品メーカーの営業から料理の世界へ入り、多くの料理研究家のアシスタントを経て独立。「おいしくて、作りやすい家庭料理」をテーマに、書籍、雑誌、イベントのほか、NHK「きょうの料理」「あさイチ」などのテレビでも活躍中。豊富なアイデアを形にした、食欲をそそられるでき栄えにファンも多数。著書に『目で見てわかる! 「材料入れて煮るだけ」レシピ』(主婦と生活社)、『あるものだけで作れる平日ごはん』(主婦の友社)など。

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