節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんの「食費節約レッスン」で、貯め上手・遣い上手になりましょう。コロナ禍において、貯蓄の大切さを身をもって感じた方も多いはず。「貯蓄は家計の体力」―できるだけ減らさずに、増やす方法について教えていただきました。
毎年同じような目標を立てながらも、達成できないでいるのなら、1年に100万円貯めるという数字上の目標だけではなく、◯◯のために必要な100万円を貯めるといった具体的な目標を立てることをおすすめします。
そして目標のための専用口座を作り、毎月定額を積み立てて、ボーナス時にも定額を入金し、更にやりくりで残ったお金もその口座に入れます。まずは目標のためにお金を貯めて、達成できたという実績を作りましょう。それが自信につながり、それ以降は目標とするお金を貯めるイメージがうまくつかめるようになり、これから先のいついくら必要かといった「先読み」とそれに必要な「先取り貯蓄」ができるようになります。
例えば、住宅の頭金は大きな金額です。住宅購入資金の頭金は物件価格の3割が目安と言われています。仮に1000万円必要だと考えたとき、1000万円など、今まで貯めたことも見たこともないような、大金を貯めるのは難しい。と考えたときはまず、10万円貯めてみましょう。10万円は簡単と思う人も多いはずです。でも、それを10回行えば、100万円です。さらにこれを10回行えば、1000万円は達成できます。
「千里の道も一歩から」コツコツと貯蓄を積み上げる感覚でお金を貯めるとうまくいくこともありますので、自分がどの方法が向いているかなど考えながら自分なりの貯まる仕組みを作りましょう。
お金を貯めるうえでのNGワードがあります。それは「収入が少ないから」、「子どもにお金がかかるから…」など、お金が貯められない理由を考えることです。なぜなら、今後お金が必要だと頭ではわかっていても、理由を付けることで、貯まらなくても仕方がないと肯定されることで、お金が貯まらなくても仕方がないと結論づけてしまい、お金を貯める努力をしなくなります。
そしていざお金が必要となったときに、「やっぱり貯めておけばよかった」と後悔することになるでしょう。お金を貯めている人は、たとえ収入が少なくても、子どもにお金がかかっても、どんな状況でも少額でも根気よくお金を貯め続けています。それは日々の細かな節約から、毎月の積み立てまでお金が少額でも積もれば100万円、1000万円と積みあがることを知っているからです。
「先取り貯蓄」とは、給料が生活費に回る前に貯蓄をして残ったお金でやりくりをすることです。先取り貯蓄の方法は、勤務先の「財形制度」や「定期積立」、「積立保険」など目的別に貯めるとよいでしょう。毎月の先取り貯蓄額の目安は手取り収入の1~3割です。時間を味方にする積み立ては早く始めれば始めるほど有利です。
預貯金だけの積み立ては堅実ではありますが、これから先のインフレリスクに備えるためにも、一部投資商品も組み込んでいくことをおすすめします。インフレとは、モノの値段が上がり現金の価値が下がることです。身近な食品を例に挙げると、商品価格が高くなったり、同じ価格でも食品の量が減ることです。ここ数年でインフレは進んでいると体感でもわかるでしょう。
老後2000万円問題が一時話題となりましたが、それは今現在もしくは間もなく老後を迎える人の話です。老後を迎えるまでに10年以上あるのであれば、それ以上のお金が必要になるでしょう。つまり、預貯金だけではインフレリスクに備えられないということです。
将来の老後資金を有利に積み立てたいのであれば、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出型年金)がおすすめです。自分で運用先を選んで、老後の資産形成をすることができます。そして掛金は全額所得控除になり、所得税や住民税が軽減されます。また、金融商品で運用した際に出た利益に対しても、通常は約20%の税金がかかりますが、iDeCoは非課税です。さらに受け取る際にも「公的年金等控除」や「退職所得控除」を受けられるなど、税制面で有利な制度となっています。
ほかにも運用をしながら有利に積み立てをしたいのであれば「つみたてNISA」もおすすめです。非課税枠は年間40万円が上限で、非課税期間は最長20年間です。一定の投資信託で積み立てながら運用します。その際に出た利益や分配金に対する税金が、通常の投資であれば約20%かかるところが、非課税となります。
iDeCoやつみたてNISA以外にも、外貨積立てや純金積立てなど積立てをしながら投資運用ができる商品もありますが、どちらも運用にはリスクがありますので、かならず仕組みや運用コストなどを理解してから投資を始めましょう。リスクが高い商品で運用する場合は、毎月定額をコツコツ長期に渡って、いくつかの金融商品に分散させて買い続けるとリスクが軽減します。
これからは、貯蓄と運用のバランスをとって、今まで以上にお金と向き合う時間を増やしましょう。
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旅行会社、コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。食費はもちろん生活全般の節約術・ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなど様々なメディアで活動中。
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