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コラム

寒い季節でも要注意!魚介に潜む「アニサキス」の3つの予防策

魚を生で食べる習慣のある日本では「アニサキス症」と呼ばれる食中毒が毎年発生しています。お刺身を安心して食べられるように、みんなでアニサキスの知識を身につけましょう。

アニサキス症は増えている?

近年、厚生労働省の食中毒統計ではアニサキスを病因物質とする食中毒(食を介する健康被害)の発生件数が目立っています。アニサキス症は、アニサキスという寄生虫の幼虫が人間の胃壁や腸壁に穿入し、激しい腹痛などを起こすものです。医療機関では内視鏡等を使用して診断・摘出します。近年は医療機関からの届出が増え、見かけ上の「増加」も大きいようです。

どこからやってくる?どんな魚介に気をつけたらいい?

アニサキスは、クジラやイルカなど海洋ほ乳類の胃に棲みつく、回虫に近い寄生虫の仲間です。クジラやイルカの排泄物と一緒にアニサキスの卵が海水中に放出されて幼虫となり、それをオキアミが食べ、さらにそのオキアミを食べたサバを始めとする様々な魚類やイカなどに寄生します。それを人間が生のまま、または生に近い状態で食べてしまうことで、胃や腸で悪さをして、アニサキス症を引き起こします。

アニサキスが寄生する魚類は幅広く、野生のサケ・マス、タラ、ニシン、サバ、イカ、イワシ、サンマなど昔から生食する機会の多い魚介がよく知られていますが、近年、カツオ、ホッケ、サワラ、キンメダイ、メジマグロにも寄生していることが、東京都健康安全研究センターの調査で明らかになっています。

アニサキス症は世界中の国で発生がみられ、魚種のバリエーションは地域の食生活を表しているとも言えます。欧米では、酢漬けで食べるニシン等は-20℃24時間冷凍等の処置が義務付けられています。

季節を問わず発生するアニサキス症

アニサキス症はアニサキスが寄生した魚介を生、または生に近い状態で食べた1〜36時間以内 (多くの場合8時間以内)に激しい腹痛が起こります。吐き気や嘔吐、じんましんなどの症状を伴う場合もあります。治療は内視鏡検査でアニサキスの幼虫を見つけ、摘出するのが一般的です。死亡例はこれまで報告されていません。

アニサキス症は、生きた虫が1匹でもいれば発症する可能性があります。生きた虫を食べないように予防することがなにより大切です。特にお刺身など、魚介を生食する機会が多い人は気をつけましょう。また食中毒は夏場に多いイメージですが、アニサキス症は季節を問わず発生しています。秋や冬など寒い季節でも注意が必要です。

正しい予防策を知ろう

アニサキスは体長が2〜3cm、白い糸のような形をしているので、目視でも発見できます。調理するときに発見して除去できる可能性もあります。しかし、全てのアニサキスが除去できるとは限らず、効果的な対策とはいえません。よく噛んで食べる、または細かく刻めばOKと聞くこともありますが、これも有効な対策とはいえないでしょう。おいしい魚介を安心して食べられるように、正しい予防策を知っておくことが大切です。

アニサキス症にかからないための、正しいポイントをまとめました。

1. 加熱して食べる

アニサキスは加熱で死滅させることができます。つまり、アニサキスが寄生した魚でも、しっかり加熱して食べれば大丈夫。60℃なら1分、70℃以上なら瞬時に死滅しますので、焼きものや煮ものにすればまず安心といえるでしょう。ただし、表面を少しあぶった程度では、中心部は70℃に達しないため、NGです。中までしっかり火を通すことが大切です。

2. 冷凍する

アニサキスは冷凍すると感染力を失います。−20℃以下のところで24時間以上冷凍し、中心部までしっかり凍結させたものなら心配ありません。つまり店頭で販売されている凍結・解凍のサクや刺身など、24時間以上冷凍したものを解凍した切り身などは安心して食べられます

3. 新鮮なものを選び、すみやかに内臓を除き、目視で確認する

アニサキスは魚介の内臓に多く寄生しています。生の内臓は食べないようにしましょう。またアニサキスは鮮度が下がるにつれて内臓からまわりの筋肉にも移行します。保管温度が高いと移行が早まるとの報告もあります。できるだけ鮮度のよいものを選び、早めに内臓を除き、鮮度が落ちないように、低温で保存することが大切です。

念のため、食べるときにも目視でも確認をしてアニサキスを見つけたら除去してください。前述の通り、アニサキスは白色の少し太い糸のように見えます。万が一、思い当たるものを食べてもしかして…と思ったときは、早めに医師の診断を受けるようにしましょう。

上記の3つが、アニサキス症の有効な予防策です。よく「酢やわさびを一緒にとれば安心」などといった情報を耳にすることもありますが、それでは予防できません。しめサバにしてもアニサキス症を防げるわけではないのです。

海に囲まれた日本には、おいしい魚介がたくさんあります。楽しまないなんてもったいない! しっかり対策して、おいしく食べてくださいね。

<参考文献>
厚生労働省:アニサキスによる食中毒を予防しましょう
東京都福祉保健局「食品衛生の窓」:魚を食べたら、激しい腹痛が・・・~アニサキスによる食中毒~
内閣府 食品安全委員会:アニサキス症(概要)
国立感染症研究所:アニサキス症とは

監修:公益社団法人日本食品衛生協会

飲食物が原因となって起こる食中毒などの健康被害を防止し、消費者の健康を守るため、食品等事業者に正しい食品衛生の知識を広めることを目的として、地域の保健所や食品製造業や飲食店等の人々と協力し、 食の安全を守るための活動を行っています。
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