【“クックパッド芸人”藤井21のソロ飯 vol.25】“クックパッド芸人”を自称し、自らのキッチンに1000品以上のレシピを掲載している「藤井21」さん。1人(ソロ)で作って1人で食べるという「ソロ飯」を日々楽しんでいるそう。藤井21さん自作のおすすめレシピと、悲喜こもごものエピソードをご紹介します。
最近土手に生えてる草とか食べてないな。
誤解なきよう言い加えておくと、常日頃からにおもむろに土手っ縁にしゃがみ込んで草をむしってはムシャムシャ食べている人間ではない。ヤギや牛じゃあるまいし。
子どもの頃のこと、それもちゃんと食用の野草のことだ。例えば「のびる」や「ふき」など、暖かくなると生えてくる野草は実家の近くの土手にちらほら自生していたし、ゲーム感覚に土筆(つくし)ハンティングもしていた。クルミの木から落ちた実を拾ってきては、金槌で割って中の果肉を取り出し、母親が作るクルミパンがおいしかったな。
感覚的には、登下校の途中で道端に咲いている花の蜜を吸っていたあれに近いから、皆通っている道だと思うんだけど…。と思ってこの話を近しい人にする度に、「土手の草なんて食べるような田舎じゃない」と一蹴されるが、あぁそんなにも我が地元は田舎だったのだろうか。
三月の心地良い日差しに春の兆しを感じるようになってきた今日この頃。
こう暖かくなってくると野草も芽吹きだすし、大都会・東京にも食べられる野草くらいその辺に生えているに違いない。とは言え、絶賛緊急事態宣言中ということもあり遠出も出来ないので、ご近所をひとり“野草探し探訪”と洒落込む。
近所の道々や公園を散歩していると、自分の肌以外にも足元から早春を感じることができる。少し立ち止まって足元を見ると、
はい食べられる野草。
生える場所を選ばずアスファルトの隙間からも花を咲かせる事もある「タンポポ(西洋タンポポ)」は、サラダや炒め物にすると独特の風味があってなかなかおいしい。
お茶や珈琲にもなっているので、そちらは馴染みがある人も多いはずだ。ちなみに某飲料メーカーが販売している十六種類の素材が入ったお茶にもタンポポの根が入っているので、知らず知らずのうちに飲んでいる人も多いだろう。
はいまた食べられる野草。
これはタンポポよりもメジャーな野草と思われる「ヨモギ」である。定番は、すり潰して生地に混ぜる緑鮮やかな「草餅」や「草団子」だが、これもお浸しや天ぷら、スープに入れたりしても香りが特徴的でクセになる味わい。
これもまたまた、食べられる野草。
駐車場の片隅で車を避けるようにして生えている「ノゲシ」。葉っぱは柊の葉の様にツンツン尖っているがもっと柔らかく、タンポポに似た黄色い小さい花を付けるけど、タンポポ以上に場所を選ばずその辺にワサワサ生えている。
若芽あたりの柔らかい葉はクセもアクもない。シャキッとした食感が心地よく、比較的食べやすい野草だ。マイナーだが沖縄の一部の地域では天ぷらにしたりもするらしい。
ほんの小一時間近所を散策するだけでも、道には食べられる野草がこんなにも自生している。東京のアスファルトでも少しだけ目線を落として見方を変えるだけで、またそこには別の世界が広がっている。
あぁ我が地元よ、大都会・東京の街も食べられる野草に溢れているぞ。
※紹介した野草は比較的見分けがつきやすく、似た植物に有毒なものがないものを使用していますが、食す際は自己責任でお願いいたします
料理と笑いで天下を目指す男性ピン芸人。
埼玉県東松山市出身。東松山のやきとりを愛し、東松山市親善大使「東松山市應援團」の一員。食品衛生責任者の資格を持ち、クックパッドには1000以上のレシピをアップしている。日本テレビ系列『ウチのガヤがすみません!』などに出演。
>>オフィシャルブログ「良い香りのある生活」