【体にやさしい「いたわりごはん」 Vol.3】今日はなんだかちょっぴりしんどい……そんな日は、体にやさしいごはんでパワーチャージ! 身近な食材で手軽にできるプチ薬膳メソッドで、体の調子を整えましょう。
少しずつ暖かい日も増え、春の訪れを感じる季節となりましたね。春になる季節の変わり目には、目に見えない身体の変化も起こり、冬の間に溜め込んだものが代謝・解毒される時期でもあります。そのため、代謝や解毒の働きを担う肝臓が活発化していきます。漢方の考え方では、肝臓に負担がかかると、余分な熱が発生し気や血の巡りが悪くなり、イライラしたり怒りっぽくなるとされています。それに伴い、眠れない、寝付きが悪いなど不眠の症状も出やすくなるのです。
そんな症状を和らげてくれるのが「レタス」です。レタスには、体の余分な熱を冷ます働きがあります。また、カルシウムを含んでいることに加え、レタス特有のシャキシャキした食感も相まってイライラを鎮めるのに役立ちます。
皆さんは、レタスの芯を切った際に乳白色の乳液状のものを目にしたことはありませんか?これはラクッコピコリンという苦味成分。鎮静・催眠効果があるため、不眠予防効果が期待できます。レタスを調理するときは、芯も捨てずに刻んで食べるといいですよ。
レタスは薬膳では「涼性」の性質を持っているため、体を冷やす効果のある食材です。そのため、体の余分な熱を冷ます働きがあるのですが、冷え性の人が大量に摂ると冷えが悪化する可能性があるので注意しましょう。
冷えるのが心配な人は、レタスをスープに入れたり炒めるなどして加熱すると、冷やす性質が緩和されますよ。調理の仕方によって、その食材が持つ温める、冷やすといった性質が変化するので、その時々の体調や体質によって調理法を変えてみてくださいね。
不眠対策に効くレタス。折角なら、更に効果を高めてくれる食材と一緒に食べたいですよね。そんなときは、牛乳、卵、牡蠣などの血を補う働きがある食材がおすすめ。
薬膳では、血(全身に栄養分を運ぶ働きを担うもの)が不足すると、不安感や不眠の症状が出やすくなると考えられていますが、補血作用に優れた食材を摂ると、心を落ち着かせる効果が期待でき、不眠対策にいいとされています。
レタスは加熱することにより、かさが減るのでたくさん食べられます。牛乳と合わせることで安眠効果がアップしますよ。チーズにも余分な熱を冷ます働きがあるため、不眠対策にはもってこいのスープです。
レタスと卵を組み合わせて炒め物に。味付けに牡蠣を主原料としたオイスターソースを使うことで、手軽に牡蠣のエキスも摂ることができ、コクのある一品になります。
牡蠣を炒めて出たスープをレタスにたっぷり絡めて食べて。牡蠣は体の余分な熱を取り除き、心を安定させてくれる食材です。レタスと牡蠣の組み合わせは、イライラして眠れない、というときにぴったりですよ。
季節の変わり目は肝臓に負担がかかり、不眠の症状が出やすい時期です。体の余分な熱を冷ましてくれる食材を食べて、ぐっすり眠りたいですね。今回紹介したレシピを参考に、ぜひ、お試しください。
漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。