魚と言えば、スーパーで切り身になっているもの、お刺身になったものを買ってきて食べるという方が多いはず。もちろん、切り身を料理するのもおいしいですが、おうち時間が増えた今、まるごと魚を買ってきて、さばくことから挑戦してみませんか? 今回は超人気YouTubeチャンネル「きまぐれクック」のかねこさんにお魚料理の魅力について伺いました!
2016年に開設されたYouTubeチャンネル「きまぐれクック」。なんと、チャンネル登録者数が400万人超えの大人気チャンネルです。「きまぐれクック」のかねこさんは、愛知県の漁師町に生まれ、小さな頃から調理師免許を持つご両親のそばで、自然に魚のさばき方を身につけたのだそう。そんなかねこさんに、初心者が魚をさばくために知っておきたいポイントについて聞いてみました。やってみると、その面白さから抜け出せなくなりそうです!
かねこさんのYouTubeチャンネルには、本当にさまざまな種類の魚をさばいている動画が投稿されています。これだけの魚をさばけるようになったきっかけはなんだったのでしょうか?
「小さい頃から魚は日常的にさばいていたので、3枚おろしや5枚おろしはできていたのですが、YouTubeチャンネルでさばいている大きな魚のさばき方は、YouTubeを見て、実践しながら覚えました。ヒラメがさばけるようになればカレイもさばけるし、アジがさばけるようになればサバもさばけるようになる。要は応用なんです。1つさばけるようになれば、わりとサクサクさばけるようになります」(きまぐれクック・かねこさん)
YouTubeには巨大なヒラメをさばく動画も!
動画の中には、クエやエイなど、「えっ! こんな魚もさばけるの!?」っと驚いてしまうような魚もさばいているかねこさん。さまざまな魚をさばくことに挑戦する理由はなんでしょうか。
「魚と一言で言っても、いろんな種類の魚があります。例えば、ブリとカンパチは、一見似ていると思うんですが、生態系や味は全然違います。骨の構造が違うと、包丁の入れ方も変わるんです。骨がまっすぐ入っているから、包丁をまっすぐいれるとか、深く入っているから包丁を落とし込むとか、さばき方も変わってくるのが面白いポイントの一つです。新しい魚をさばくときはテンションがあがります。『エラがここについてるんだ!』とか、『骨の構造はこうなっているんだ』とか(笑)。ゲーム感覚で楽しめるところが好きですね」(きまぐれクック・かねこさん)
魚は、スーパーや鮮魚店で買うだけではなく、市場に足を運んだり、自分で釣りに行ったりするというかねこさん。素材からこだわるのも、お魚料理の醍醐味なのでしょうか。
「釣りの面白さは、釣れないときは全く釣れない、釣れるときにはめちゃくちゃ釣れるというところです(笑)。市場で目利きするのはすごくおもしろいですよ。良い魚を見分けるポイントは、YouTubeではなかなか伝わりにくいのですが、例えば、『目がくすんでいる魚は新鮮じゃない』ということを聞くと思います。でも、そんなことはないんです。獲れてすぐに氷水に入れられた魚の目はくすむんですが、身はすごくきれいなんです。魚によって目利きのポイントが違うし、獲れた海域や、釣った漁師さんによっても魚の質って変わるんです。船の上でどう処理したかで味も変わるので、目利きは奥が深いんです」(きまぐれクック・かねこさん)
きまぐれクック・かねこさんと市場めぐりをしている気分が味わえます!
魚をさばいてみたいと思ったとき、かねこさんがおすすめする“最初にするべきこと”はなんでしょうか?
「魚をさばくことに興味があるなら、まずは釣りからはじめたほうが、魚料理が好きになれると思います。僕自身がそうだったんです。自分が釣った魚って愛着がわくし、おいしいんですよ。脂が少ない魚でも、脂がのっているように感じるくらい(笑)。なので、釣ることからスタートすると、魚への興味も深まると思います」(きまぐれクック・かねこさん)
自分で釣った魚が、魚さばきのデビューになるって、理想的ですよね。釣りからが難しいという場合でも、まずは、この魚から挑戦するといいという魚について聞いてみました。
「一般的には、アジがさばきやすいと言われています。身と骨が柔らかくて包丁が入りやすいので、調理実習などでもアジを使うことが多いです。なんと言っても、安価なので失敗しても惜しくないですしね。でも僕は、最初に挑戦する魚には鯛をおすすめします。値段も難易度も高いんですけど、骨が固い鯛が上達すれば、柔らかい魚はすぐにさばけるようになります。鯛は、骨に身が残っても、どんな料理にもなるので落ち込まなくて大丈夫です(笑)」(きまぐれクック・かねこさん)
まずは鯛なんですね。高い魚で挑戦すると、その緊張感で上達しそうな気もしますね。では、上達しやすい、挑戦するべき順番はあるのでしょうか。
「鯛の次はブリがおすすめです。でも、スーパーで買える魚は15センチくらいのサイズのものが多いと思うので、そのサイズをチャレンジして上達していくのもありかと思います。小魚から挑戦すると失敗しやすいので、できれば大きくて、骨が固い魚から、サイズを小さくしていくことがおすすめです。成功体験があれば、次のチャレンジにつながるので!」(きまぐれクック・かねこさん)
日々、たくさんの魚料理に挑戦しているかねこさんに、この時期におすすめの魚料理、今、食べるべき旬の魚について聞きました。
「3月は、貝類がおいしくなってくる時期です。今から春になるにつれて貝類がどんどんおいしくなるんです。あさりだと産卵期を迎えて身が膨らんでくるし、牡蠣もおいしいんです。特に、雪解け牡蠣という牡蠣が、身がふっくらして絶品です。殻付きで買ってきて食べるほうがおいしいし、生で食べるなら殻から食べるほうが雰囲気もあるので、おすすめです」(きまぐれクック・かねこさん)
殻剥きはこちらの動画をチェック!
貝以外で、この時期おすすめの魚はあるのでしょうか。
「実は、地域によって魚の旬って違うんです。例えば、『鰆(さわら)』は、魚に春と書くのですが、僕らの地域では秋がおいしいんですよ。地域的、海域でも旬は差が出るんです。住んでいる地域の旬の魚が知りたいときは地元のお魚屋さんに聞くと間違いないです」(きまぐれクック・かねこさん)
釣り、市場やお魚屋さんでの目利き、さばき方や料理と、知れば知るほどハマり要素が満載の「魚料理」の世界。新しい趣味として、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか!
(TEXT:上原かほり)
※ メイン写真はこちらの記事をイメージして選定させていただきました
画像提供:Adobe Stock
「どうやったら、一人でも多くの人が魚に興味を持ってくれるだろうという気持ちがあります。この本の中には、食べ慣れた魚から、タスマニアまで行ってさばいた巨大カニとか、僕が実際に作ってきた魚料理がたくさん出ています。個人的には『カンジャンケジャン』のレシピがお気に入りです。意外と簡単に作れるので、ぜひ挑戦してください。見るだけでも面白い内容なので、お魚苦手だった方も僕の本や動画を見ていたら魚が好きになっちゃったという人が増えたら嬉しいです」(きまぐれクック・かねこさん)