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コラム

30人前のチャーハン!?一度見たら忘れられない「インドの屋台料理」に学ぶ、食を楽しむヒント

今大注目のYouTubeチャンネル「今日ヤバイ奴に会った」。日本の常識では考えられない大胆なインドの屋台料理が話題を集め、登録者数64.5万人(2021.3.18現在)を誇る人気チャンネルです。今回は投稿者の坪和寛久さんにインタビュー!インド屋台料理のおもしろさを発信し続けている坪和さんに、インドと日本の食の違いや、思い出深かった料理等について聞いてみました。

暮らしが想像できない国「インド」

僕がインドで生活を始めたのは2013年10月。それまで東京でサラリーマンとして働いていましたが、30歳を前に「人生を変えたい」と思い、一念発起して海外に行くことを決めました。行き先を考えた時に、過去に行ったことのある国ではそこでの暮らしが想像できてしまい、また同じ繰り返しになってしまう気がしたので、それまで行ったことのなかった「インド」に行くことにしました。

屋台料理のおいしさにびっくり

インドに行ってすぐ、現地の方に「お腹を壊すかもしれないから3ヶ月は屋台料理を食べないほうがいい」と言われたんです。でも、そう言われると逆に食べたくなるんですよね(笑)。それで興味がどんどん湧いて、いざ3ヶ月後に食べてみたら、思っていた以上にすごくおいしかったんですよ! しかも、ワイワイとした雰囲気でとても楽しくて。日本で生活していたときはコンビニ飯やファーストフードばかりで、調理している人の顔を見ることなんてなかったけど、インド屋台は人の様子も見られるし、調理過程が小気味良くておもしろくて、一気にはまっていきました

これまでに出会った、印象的な屋台料理

インドに行く前は「インドといえばカレー」というイメージが強かったので、それ以外の料理も豊富にあることに驚きました。とはいえ、やっぱりカレーは絶品。中でもチェンナイという町にある屋台の「ビーフカレー」はおいしかったですね。

インドの海街で食べるカレーライス

インドは宗教上の理由で牛肉を食べない人が多いのですが、ここの町はキリスト教徒が多い地域で、食に制限がないので牛肉を食べていたんですよ。あと、屋台って大体おじさんがやっていることが多いですが、ここはおばさんたちがすごく優しかったので、そこも含めて印象に残っています。

そのほか、インパクトが大きかったのが「30人前のチャーハン」。大量に作るとおいしいのと、インドのお米ってパラパラしているので、炒め物やチャーハンに向いているんです。味付けも、独特でおいしい。インドにはチャイナタウンがないので、中国人が作る中国料理ではなく、インド的に味付けされているんですが、それはそれですごくおいしかったです。

30人前チャーハン

店員さんも個性があっておもしろいので、同じ屋台でも日によって味が変わってしまうんですよ。材料が揃わなかったりする日もあるので、同じチャーハンでも今日と昨日で味が違うこともよくあります(笑)。

“ゆるさ”という意味では、衛生面はとてもゆるいと思います。YouTubeの動画だけでは伝えられないことが画面の外では起こっていて、暑い、うるさい、汚いところで食べているので、僕も年に何度かお腹を壊しています。屋台を撮影しているとお店側の人は若干緊張するらしく、生焼け状態で出してくることがあるんですよ。そのときに食べたのが動画でも紹介した「マトンハンバーグ」です。その時はおいしくてパクパク食べていたんですけど、その後1週間くらい寝込みました(苦笑)。

生焼けマトンハンバーグ


肉を食べてないのに太ります(笑)

インドの屋台料理で特徴的な食材といえば、バターですね。インドの食事はバターを使っていることが多く、カロリーは半端ないと思います。インドには宗教の関係で肉を扱わない屋台があって、肉を使っていない分、満腹感を高めるのにバターやチーズをたくさん使っています。 だから肉を食べていないのに、お腹が出ている人も多いです(笑)。

そのほかにもよく使うのがスパイス基本的に“足していく文化”なので、いろいろなスパイスを加えて料理を作っていきます。スパイスの種類は何千とあるらしく、屋台によって味が違うのはそのスパイスの違いなのかなと思います。インドでは「焼き芋」にもスパイスを使っているんですよ。日本はそのまま食べることが多いですが、インドはライムを絞ってマサラをかけて食べるんです。甘みがより引き立っておいしかったです。日本でも作れそうな、インド版の焼き芋ですね。

マサラ焼き芋


食事だけじゃない!屋台は「交流の場」

インドの屋台は食事のためだけでなく、地域のコミュニティーが集約された場所だと思うんですね。ビジネス街の屋台にはサラリーマン、道端の屋台には労働者、海沿には漁師さんたちなど、地域によって集まる人たちも違いますし、そこで情報交換をしたりもするんですよ。何に悩んでいるとか、近くで行われる祭りの情報とか、同じ屋台のご飯を食べて仲良くなるというのが屋台のいいところだなと思います。僕みたいな外国人相手にも、全く知らないおじいさんが隣に座ってきて普通に世間話を始めたりします(笑)。インドの人たちはとにかくおしゃべりなんです。

あと、日本のカラオケやアミューズメントパークみたいなところが少ないので、屋台が人々の楽しみの場になっている感じもあります。交通機関が時間通りに動かないので待ち時間が多いんですが、そういうときにふらっと時間潰し使うこともあります。

インドのゆるさが好き!

インドの魅力は、なんといっても“ゆるさ”にあると思います。例えば、90ルピーのものを買って100ルピー渡すとしますよね? でも、お店側におつりが用意されていないこともよくあるので、そんなときは10ルピーの代わりにきゅうりをくれたりします(笑)。逆にこちらが80ルピーしか持ってなかったら、「今度でいいよ」とサービスしてくれたりするんですよ。日本だったら考えられないですよね。だから、インドは人によって「合う・合わない」がはっきり分かれる国なのだと思います。

僕は長くインドに住んで、逆に日本のほうが大変な国だなと感じるようになりました。日本はすべてオンタイムで正確さが求められますし、間違いが許されない雰囲気がありますけど、インドは基本「許す文化」なんですよ。いろいろな民族、言語、宗教が入り混ざった国なので、いろいろな考えを受け入れていった歴史がありますし、人からかけられた迷惑は許してあげようっていうのが根本にあるんです

とはいえ、日本がインドみたいになったら、それはそれで困るでしょうね(苦笑)。日本にもいいところはたくさんあるので、悪いところは見直して、インドのいいところを吸収していけば、日本ももっとおもしろい国になるのではないかと思います。

坪和寛久(つぼわ・ひろひさ)

1984年、茨城県生まれ。インド在住。現地で日本人向けの不動産業や輸出入業を行う「アラミコソリューションズ」で勤務。また、YouTube「今日ヤバイ奴に会った」の動画投稿者としても活動している。チャンネル登録者数は60万人を超え、いま大注目のYouTuber。