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コラム

エヴァンゲリオンの災害食も!プロに聞いた「災害時の食の備え方」

2011年3月11日に起きた東日本大震災から今年で10年。10年目を前にした2月13日には、福島沖で最大震度6強の地震が起きました。地震大国と言われる日本で生活していく上では、日頃の備えがとても大切です。今回は、アニメ『エヴァンゲリオン』シリーズとコラボレーションした災害食、「特務機関NERV指定 防災糧食」を販売するホリカフーズの井口学さんにインタビュー。災害食をストックする際のコツや、災害時の食事に役立つアイテムについて伺いました。

「エヴァンゲリオン」シリーズの“防災糧食”

災害食・非常食などの専門メーカー・ホリカフーズ株式会社の「防災糧食」は、“特務機関NERVが、第3新東京市の市民に配布している防災備蓄品”という、独自の設定をコンセプトにしています。

エヴァンゲリオン×レスキューフーズの特務機関NERV指定防災糧食

そのユニークな発想と、これまでの災害食になかったスタイリッシュな見た目は話題を集めています。ホリカフーズの「エヴァンゲリオン」シリーズ担当者である井口学さんにお話を聞きました。

特務機関NERV指定防災糧食 ビーフシチュー

「メニューは、『ビーフカレー』『牛丼』』『ハンバーグ』『ビーフシチュー』『中華丼』と、普段食べ慣れているものを用意しています。災害時でも、安心して食べられるメニューのほうが気持ちを落ち着かせることができると思うんです。また、当社の商品は、発熱キットがセットになっていて温められるというのも大きなポイントです。温かい食事を食べられると、お腹だけでなく精神的な面でも大きな支えになりますから」

特務機関NERV指定防災糧食 ビーフカレーのパッケージ

目を引くパッケージのデザインを担当したのは「特務機関NERV防災」アプリを運営するゲヒルン株式会社。キャラクターを前面に押し出したものだと手に取りにくい人もおり、災害現場では糧食として正しく機能しないと考え、このデザインになったそうです。

災害食メーカーが語る「食事のストックの大切さ」

10年前の東日本大震災を機に、災害食をストックする人も増えました。とはいえ、まだ災害食や防災グッズの準備がないという人も少なくありません。震災から10年、このタイミングで備えるべき災害食についてお話を聞きました。

災害食のストックは、3食3日分が推奨されています。プラス、お水が1人1日3リットル。これは4人家族となるとかなりの量になりますが、わが社では、『備えあれば憂いなし』ではなく、『備えた分だけ憂いなし』と伝えて、日頃から災害時に向けた準備をしておくことをおすすめしています」

東日本大震災の被災地では、ホリカフーズの災害食「レスキューフーズ」が、約100万食も動いたそうです。実際に「レスキューフーズ」を食べた方たちの声を集め、商品開発に生かしてるそう。

「災害食は、ボリューム感を求められることが多いんです。当社の災害食は、もともとは被災地で働く方々向けに作られたものです。量が少なくカロリーが取れないと、現地で働くのにも力がでないですよね。ご飯は200g入っていて、具材と合わせると1食で380gを摂れる量になっています。これは、女性からすると『ちょっと多い』と感じるくらいのボリューム感です」

災害食のプロが教える、備えのポイント

「災害食の他に、常時、一定の量の食料を備蓄しておく“ローリングストック”という方法があります。例えば、カップラーメンやスナック菓子、個包装のお菓子などです。日ごろから食べられて、保存がきくものを備蓄し、定期的に入れ替えていくんです」

食料以外にも、いざというときに役立つアイテムを備えておくことで、災害時でも安心して過ごすことができそうです。

「ライフラインの中でも、とくに水道が使えなくなると様々なところに影響が出ます。トイレ、お風呂など、災害時は水が非常に貴重なものになります。そこで、洗い物が増えないようにポリ袋を使った調理が推進されています。ポリ袋にそのままカレーを入れて温めたり、お皿替わりにしてそのまま食べられたりするからです。そのほかには、ガスが止まったときにカセットコンロがあると便利です。電気が止まった場合には、キャンプで使うランタンなどがあると便利ですね。災害時に、キャンプ道具はとても活躍します

災害食の味に普段から慣れておく

災害食の賞味期限は長く、ホリカフーズの災害食は、常温で3年6ヶ月(商品によっては5年6ヶ月のものも)と保存が効きます。備えておきたい災害食ですが、使う機会がないに越したことはありません。使う機会がないまま賞味期限を迎えそうな災害食がある場合に、井口さんが試してもらいたいことがあるそう。

ストックしている災害食の賞味期限が切れそうになったら、ぜひ家族みなさんで食べてみてください。普段、災害食を食べる機会はなかなかないですよね。初めて食べるのが災害時よりも食べ慣れておく、使い慣れておくことはとても意味があると思います。食べながら、家族みなさんでいざというときのことを話し合っておくのもおすすめです。これを機会に、防災への意識をより強めていきましょう」

(TEXT:上原かほり)

取材協力

ホリカフーズ株式会社
1955年1月設立。治療食、介護食、災害食・非常食、食肉缶詰、食肉加工品(レトルトパウチその他)、調理食品等の製造及び販売を行う。

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