【注目のYouTube料理チャンネル Vol.13】YouTubeの人気ジャンルの一つでもある「料理」。数多あるチャンネルの中で、何を観たら良いかわからないという方も多いはず。本連載では編集部がいま注目しているチャンネルをご紹介します。
連載第13回目は登録者数11.9万人(2021年4月27日現在)の『料理人城二郎』に注目しました。長きに渡ってフランス料理に携わり、ミシュラン二つ星のレストランで料理長を務めた経験もあるチャンネル運営者のジョージさんにお話を伺ってみました!
−−まずはじめに、YouTubeを始めたきっかけを教えてください
ジョージさん:新型コロナウイルスの流行で、私のレストランに著しくお客さまが来なくなりました。そういう状況になって、改めて集客について考えた時に、自分の発信力のなさを痛感しまして、「自分の発信力を高めて、集客力に繋げたい」と思ったのがきっかけです。
また、自分が専門としているフランス料理は、日本では敷居の高いイメージが未だに根強いので、YouTubeという身近なコンテンツで自分なりに発信することによって、フランス料理に対するイメージを変えたい、フランス料理がもっと身近な食文化であることを知ってもらいたいという気持ちもありました。
−−動画はとてもわかりやすく、楽しい雰囲気なので、プロのワザを実際に試してみたくなりました。チャンネルのコンセプトを教えてください
ジョージさん:ベースはフランス料理ですが、ジャンルにとらわれずに、ご家庭でも簡単に再現できるものからプロ目線の本格的な料理まで、幅広く配信するというコンセプトです。
−−YouTubeで動画を発信する上で、特にこだわっているポイントはありますか?
ジョージさん:第一には、料理の手順をわかりやすい映像とともに、ていねいに解説することを大事にしています。また、プロの料理人なので、調理をしている所作も美しく、気持ちよく観ていただけるように意識しています。そして撮影や編集の時は、ただ料理をするだけではなく、観てくださる方にとって楽しいコンテンツになるよう、心がけています。
−−すでに11万人を超えるチャンネル登録者数ですが、視聴者数が増加するに至るきっかけとなった動画はありますか?
ジョージさん:視聴者数が増え始めたきっかけは魚の焼き方の動画でした。普通の焼き方とプロの焼き方を比較している内容です。それより以前には、漫画にでてくる料理の再現でクリビヤックサーモンというクラシックなフランス料理を作った時に、TikTokで初めてバズりまして、現在はTikTokのフォロワーさんが35万人ほどいらっしゃいます。その流れからYouTubeチャンネルを知っていただき、登録してくださっている方も多いです。
−−はじめてチャンネルに訪れる方に観ていただきたいものはありますか?
ジョージさん:シェフの技シリーズですね。素材や調理法に焦点を当てている動画です。プロが実際に行なっているひと手間やていねいな下処理によって、素材そのものの味がどれだけ引き出せるのか解説しています。
手間はかけるので普段の家庭料理には向かないこともあるかもしれませんが、例えば特別な日の料理や、旬の素材を美味しく味わいたい時などに、ぜひ役立てていただけたら嬉しいです。特におすすめなのは、玉ねぎやカブの下処理と調理法、魚の焼き方、豚肉の火入れについて解説している動画です。
−−動画を拝見しましたが、ちょっとしたコツでとってもおいしそうに仕上がるんですね! では、今の時期におすすめの動画はありますか?
ジョージさん:春の食材をテーマにしたものを順次作っています。ご覧いただきたいのはアスパラの下処理を解説しているものや、そのアスパラを使ったアレンジレシピの動画などですね。また、玉ねぎスープの作り方をご紹介している動画もあるのですが、簡単なレシピなのでこの春にぜひ作ってみていただきたいです。
−−最後に伺いますが、どんな方にどんな風に動画を楽しんで欲しいですか?
ジョージさん:家庭料理に少し時間や手間をかけて、食卓を充実させて楽しみたいと思っている方や、調理師を目指している学生さん、まだ勉強途中のプロの方などにも観ていただきたいですね。プロのひと手間で料理の可能性や視野が広がるということが伝われば嬉しいです。
また、私のチャンネルを観て「料理が楽しくなった」という声をときどきいただくのですが、本当に嬉しいですし、励みになっています。学生さんからは「調理師に興味を持った」という声や、調理師の方からは「一緒に働きたい」と仰っていただけることもあって、私自身が観てくださってる方からたくさんのエネルギーをもらっています。
プロが楽しく解説されている動画によって、これまで以上にフランス料理が身近に感じられるチャンネルです。和食などさまざまな料理にも活用できる、おいしくするためのコツも紹介されています。今年のゴールデン・ウィークはジョージさんのワザを活用して、いつもよりぐっとおいしい料理にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
(TEXT:八幡啓司)
料理学校卒業後に渡仏。パリのレストランで修行し、帰国後に料理長を務めた店舗がミシュラン二つ星を獲得。その後も新店舗の開業や姉妹店舗の立ち上げ、統括料理長などを担う。現在は退職し新たな挑戦に邁進中。YouTubeは不定期で週2日更新、同時にTikTokで短尺バージョンを、Instagramでは料理写真を配信中。