【オーブンいらずでおいしいお菓子 Vol.1】お菓子作りにはオーブンが必要…というイメージを持っていませんか? この連載では、お菓子研究家の福田淳子さんがオーブンを使わない、おいしいお菓子の作り方を紹介します。第一回のレシピは、フライパンひとつで作れる「チーズケーキ」です。
『フライパンで出来るのは簡単で気軽なお菓子だけ』
『オーブンがないと本格的なお菓子は作れない』
『電子レンジで作るお菓子はおいしくない』
『冷たいお菓子はワンパターンになりがち』
そんなふうに思っていませんか?
でも、実はフライパンや電子レンジや冷やして作るお菓子も工夫次第でおいしく、そして美しく仕上がります。
前回の連載では材料4つで作るお菓子を紹介しましたが、今回は、おうちでできるオーブンを使わない本格的なお菓子の作り方をお届けしていきます。
少しだけ手間はかかるかもしれませんが、ほとんど材料は気軽に手に入るものばかり。特殊な道具もほとんど出てきません。
「うちにはオーブンがないから」と諦めている方も、これからお菓子作りにチャレンジしてみたいなと思っている方も、ぜひ月一お菓子作りをはじめてみませんか? 1年経つと12種のお菓子が作れるようになりますよ。
初回は、手作りお菓子人気No.1とも言える「チーズケーキ」です。
フライパンで、ボトムのある本格的なベイクドチーズケーキを作ります。レモンを丸ごと使うと香りが良く、風味豊かなケーキになります。生クリームを加えることでなめらかでコクのあるケーキに仕上がりますよ。
フライパンは直火で焦げやすいので、ごくごく弱火で気長にゆっくりと火を通します。蓋とフライパンの間に水滴が落ちやすいので、間にふきんをはさんでおくのがポイントです。
加熱をフライパンでゆっくり行い、そのまま冷やすので、フライパンについている匂いがケーキにもつきやすいです。直前ににんにくや肉、魚など香りの強いものを焼いているとその匂いがついてしまうことも。作る前に確認してくださいね。
そして、食べるのはしっかり冷やしてから。最低でも3時間、できれば一晩冷蔵庫でゆっくり寝かせてから翌日食べると、生地が落ち着いておいしいです。レモンのスライスを飾ると見た目もキュート。フライパンで作ったとは思えないおいしさとルックスです。
<ケーキ生地>
クリームチーズ…200g
グラニュー糖…70g
生クリーム…100ml
卵…1個
卵黄…1個
コーンスターチ…大さじ2
レモン果汁…大さじ1
コアントロー…大さじ1
*コアントローはオレンジのリキュール。風味付けなので入れなくてできます。
レモンの皮のすりおろし…1/2個分
<ボトムス>
ビスケット…100g
*グラハムビスケットやマリーのようなシンプルなビスケットを使います。
溶かしバター(食塩不使用)…15g
牛乳…大さじ2
<仕上げ>
レモン…1/2 個分
粉砂糖…お好みで
レモン半分の皮をすりおろし、果汁を絞る。残りはスライス仕上げ用にする。クリームチーズは室温に戻す。
フライパン全体に溶かしバターを塗っておく(分量外)。フライパンの底の大きさに合わせてオーブンペーパーを丸く切り敷く。
1.ボトムを作る。グラハムビスケットを細かく砕き、溶かしバター、牛乳を加える。フライパンの底にオーブンペーパーを敷き、ビスケットを上からしっかり押さえつけて均等に敷き詰める。
2.ボウルにクリームチーズを入れる。なめらかになるまでよくゴムベラで混ぜて、グラニュー糖を加えてよく混ぜる。
3.2に生クリーム、卵黄、卵、コーンスターチ、レモン汁を順に混ぜ加える。なめらかになってから必ず次の材料を入れる。
4.3を1度こして、レモンのすりおろしを加えて1に流し入れる。
5.フライパンを火にかけ、ふきんをはさんだ蓋をしてごくごく弱火で40分ほど加熱する。
*ふきんは火に触れないように上で結ぶといいでしょう。
*焦げやすいので火加減は一番弱火で!
*上が固まらないのに、まわりが焦げそうな場合は、一度濡れふきんにとってフライパンの底の温度を下げます。
6.上面が固まればそのまま火を消して、蓋をしたまま粗熱がとれるまでおく。ラップをしてフライパンごと冷蔵庫で3時間以上しっかり冷やす。
7.フライパンからオーブンペーパーごとフライ返しでそっと取り出す。オーブンペーパーをはずし、スライスしたレモンを飾り、粉砂糖をふって完成。
お菓子・料理研究家。カフェでメニュー開発や店舗の立ち上げを経験後、雑誌や書籍を中心に活躍中。身近な材料と、シンプルな手順でおいしく仕上がるレシピに定評がある。これまでに手がけたお菓子の本は30冊以上。
【Instagram】@junjunfukuda