【元気をもらえるスパイスレシピvol.1】 「スパイスカレー」や「ビリヤニ」をはじめ、スパイスを使った料理の人気がじわじわと高まっています。「スパイスはおくすり」と妄信する馬塲悠衣さんによる電子書籍『インドには行ったことないけど、日々カレーを作っています。』より、奥が深いスパイスの話とレシピを一部抜粋してご紹介します。第一回は今話題の「ビリヤニ」です。
ビリヤニはインドの炊き込みごはんと紹介されている、ハレの日ごはんだ。インドでは結婚式やパーティー、あるいは寺院などで大人数に振る舞う。私の中では、たくさんの魚介や卵、海苔、漬物、野菜を木製の「おひつ」でまとめて華やかな彩りと味を醸し出す、日本の「ばらちらし寿司」のようなイメージ。あるいはスペインのパエリヤを思い浮かべてもいいかもしれない。いろいろな食材のハーモニーをふんだんに楽しめる贅沢な味だ。
作り方としては、下記の1〜6を鋳物鍋に層のように重ねるのを2〜3回繰り返し、蒸し上げる。だからこそ何十人分もいっぺんに作るし、その方が本来のおいしさが出るのだ。
1. 肉や魚、野菜などメインの食材をソースで煮込んだもの
2. 硬めに炊いたバスマティライス
3. ココナッツミルクサフラン
4. フライドオニオン
5. ドライフルーツとナッツ類
6. コリアンダーやミントなどの生ハーブ
ビリヤニで印象的だったのは、なぜか2016年にイベントやケータリングなどで次々とリクエストされたことだ。イベント、料理レッスン、ケータリングなど、30人分を作ることもあった。専用の鍋の持ち合わせがなく、大きな鋳物鍋2個で作ることにし、いろいろなメーカーの鋳物鍋で比較検討するところから試行錯誤した。そうしてル・クルーゼの鋳物鍋に行き着き、「チキンビリヤニ(きほんのビリヤニ)」レシピができた。
ビリヤニは本来、ふだんの日に食べるメニューではない。インドでは、ビリヤニの工程は30以上にもおよぶと言う。「チキンビリヤニ(きほんのビリヤニ)」レシピでは、家でも作りやすいように本来より手順を約1/3に減らし、時短にもなっている。
手順を短くしたとは言ってもなかなか手間暇はかかるが、スパイスを使ったインドの炊き込みごはんの味わいは格別なので、ぜひおうちでも味わって欲しい。このきほんのビリヤニをベースに、あなたの好きな食材でもビリヤニを作って欲しいと思う。
アマチュアカレーグランプリ2019準グランプリ。物心ついた時からカレー好きで、今ではほぼ毎日カレーを食べる著者による、スパイスカレーのレシピ集。オリジナルカレーをはじめ、スパイスを使ったビリヤニや副菜、ドリンクなど、珠玉の29品を収録。レシピにまつわるエピソードも語ります。
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東京都出身。立教大学文学部ドイツ文学科卒業。Switch、GEO日本版、別冊太陽臨時増刊CLASS Xなどの雑誌編集を経て、現在レシピ本の出版業務に携わっている。20代の頃、インド料理を学んだレヌ・アロラさんの「スパイスはおくすり」との至言から、スパイスへ興味をもつ。スパイス好きがこうじて、5年間のニューメキシコ通いを経て、メキシコで唐辛子遊学を1年間したが、インドには行ったことがない。スパイスとハーブを使った、体がよろこぶような滋味感のあるカレー作りを日々妄想模索中。2019年第二回アマチュアカレーグランプリ準グランプリ受賞。クックパッドニュースで「カレーヘッド列伝」連載中。