【気分が上がる台所 Vol.10】お気に入りのうつわや調理器具、食材、調味料…… 時に億劫にもなる毎日の料理を楽しくしてくれる“モノ”たちが、台所に立つモチベーションを上げてくれることもあります。「料理を全くしない人」だった影山由美子さんが、“キッチンアイテム沼”にハマるに至った数々のエピソードをご紹介。第10回目は、心の琴線にグイグイくる「鍋」の話をお届けします。
こんにちは。 クックパッドで“料理が楽しくなるオンラインマルシェ 『Komerco(コメルコ)』の中の人をしている影山由美子です。
鍋でも、うつわでも、温泉でも(実はわたし、温泉ソムリエを取るほど温泉も好きです)、困るのが「何がオススメですか?」という質問。これが結構、悩まされます。
例えば温泉の場合。
その目的が
・子連れで負担なく楽しむ
・カップルでまったり楽しむ
・ひとりでダラダラ楽しむ
では、オススメする温泉はまったく違います。泉質の好みや、施設の雰囲気、予算によっても違いますね。
こちらのデータが少なかったら、その少ない中で私が良いと思うものをオススメすれば良いのでしょうけど…ある程度データが貯まっている前提で問われた場合、“私にとって”というより“その人にとって”良いと思われるものをオススメしてあげたい。そして満足してほしい。という意識が働きます。
なので、目的がとても重要になってきます。
鍋やうつわも然り。
・料理し始めの初手に
・買い足しに
・普段づかいに
・ハレの日づかいに
でも変わってきます。
今日オススメする鍋は「マストバイとは言いにくいけれど、合う方はめちゃくちゃテンションがあがると思うよ」的なオススメの鍋です。
このオススメにビビッと来る方は、きっと私と心の琴線が近いかも知れない。そんな方がいたら嬉しいなぁ…と思いながら、書いてみます。
のっけから「これ、鍋なの!?」な、長谷園のやきやきさんのご紹介です。正しくは「陶器製の卓上グリル」です。卓上コンロの上において使います。
水が貯まるようになっている下の器と、焼いた時に食材から出る余分な油を逃がす溝が刻まれた蓋で構成されています。昨今の自粛生活で外食がままならなかった時、我が家で一番活躍してくれたのが、このやきやきさん。
特売の日にちょっと良いお肉を選び、野菜を用意するだけで良い”おうち焼き肉”。自粛生活中、よくやりました〜…。
旦那さんが自家製タレづくりに目覚めてくれたのが、思わぬ副産物。これがとってもおいしくて! やきやきさんと旦那さんと自家製タレのおかげで、手抜き料理の代表だった”おうち焼き肉”が、一気にご褒美料理になりました。
やきやきさんの後片付けは…はっきり言って、面倒です(苦笑)。溝に入り込んだ脂の汚れを取るのが結構手がかかるんですよね〜。まあでも、その掃除をするくらいの価値はあるな、と思っています。
こちらは煮込み料理を断然、魅力的に見せてくれるサルパネヴァ キャセロール。大人気の北欧デザインにさほどビビッとこない私ですが、このキャセロールだけは別でした。
流線型の木の取っ手、その取っ手でひっかけて持ち上げる蓋、そしてなんと言っても蓋を開けた時の白い琺瑯の鍋肌…蓋がしっかり重いのでご飯を炊くにも良い鍋ですが、やっぱり煮込み料理がテンションあがります。
自粛生活中、このキャセロールでオックステールシチューを作りました。 コロナ前の海外出張で訪れたイギリスで、現地在住の料理研究家・エリオットゆかりさんにご馳走していただいたのがお手製のオックステールシチュー。
それがとってもおいしかったんですよね。またイギリス行きたいな〜、またゆかりさんのお料理を食べたいな〜と思いながらつくりました(レシピはゆかりさんのブログに書いてあるので、興味ある方はぜひ御覧ください)。
煮込んでいる間もこの鍋のおかげで、ほっこり気分が倍増した気がします。冬に大きな具がゴロゴロ入ったクリームシチューや、ポトフをつくる時に引っ張り出してくる、お気に入りのキャセロールです。
私が都内から、神奈川県の葉山町に引っ越ししたのが2013年12月。 早いもので間もなく丸8年を迎えます。 海や山に囲まれた葉山町に引っ越して良かったことはごまんとあるけれど、なんと言っても新鮮な魚が丸のまま、そして手軽に入る環境になったことが一番の恩恵でしょう。この環境になって重宝しているのが、まるごとそのまま魚が入る楕円形のフィッシュパンです。
左はパリの合羽橋と言われている”モントルグイユ通り(パリ・2区)”の老舗”E.DEHILLERIN”で買ってきた、MAUVIEL1830(モヴィエル)の銅製のフィッシュパンです。E.DEHILLERINはプロユースの料理道具や製菓用道具が所狭しと並んでいるお店で、テンションがあがります。
右はストウブのフィッシュホットプレート。2つとも魚を丸のまま調理できるのが便利なのですが、人が集まる時にムール貝やアサリなどの貝類のグリルを出す時にも使っています。
オーバルのフライパンはマストバイではないけれど、あったらあったで便利な料理道具です。
今回紹介した鍋たちは、決してマストバイではない鍋。人によっては、無駄に見えるもの。
でも、そういう万人に必要とはされないけれど、自分の心の琴線にグイグイくるものが、実は一番、料理のモチベーションを上げてくれるのでは?と思います。
そして、そういう”万人に必要とはされないけれど、自分の心の琴線にグイグイくるもの”って誰しもひとつは持っている気がしていて、そういうものを知ると、その方のヒトトナリがよく理解できる気がします。
さて、あなたの”万人に必要とはされないけれど、自分の心の琴線にグイグイくるもの”は、何でしょう?
夫と犬二匹と葉山ぐらし。何でも形から入るタイプです。 いかに簡単に、見栄えの良い料理を作るかが自身のテーマ。最近、旦那が料理に目覚めた。 うつわ好きすぎて2,000枚以上集め、料理道具好き、調味料大好きなマキシマリスト。 料理が楽しくなるオンラインマルシェ『Komerco(コメルコ) by Cookpad』 中の人です。
【Web】https://komer.co/
【note】Yumico Kageyama
【Instagram】@yumico_kageyama
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