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コラム

新米の季節に子どもと作りたい!ランチにもおすすめの「満点おにぎり」

【子どもの心を育てるレシピvol.16】子どもに「食」の大切さを伝えたいと思いつつも、日々忙しくてなかなか教える機会がないという親御さんも多いのでは? そこで、子ども料理研究家・武田昌美さんが、子どもと楽しくトライできて心も育てられるレシピ、料理を通して子どもが得られる学びについて、わかりやすく解説! 気負わず、自然と生活の中に取り入れられる簡単料理で、とっておきの親子タイムをお過ごしください。

新米の季節がやってきましたね。日本人にとって大切な主食、お米。私は食育の大切なテーマとして、子ども達に時間を作って教えています。熱心に教える理由は、お米についての知識は、教養であると感じているからです。

子ども達のお茶碗に残った米粒を見て、「最後のひと粒まで綺麗に食べよう」と言うことはありませんか? 私もいつも言っていたので、以前の子ども達は「はいはい、わかりました」と投げやりな顔をしながら食べていました。

しかし、お米について、その壮大な物語を教えることで、納得して綺麗に食べてくれるように変わりました。もちろん、残してしまっては勿体無いとか、食べ終わった時にお茶碗が綺麗だから、という点から最後まで食べて欲しい、という理由ももちろんです。しかし、子どもに一番響いたのは、「お米ひと粒から100粒以上のお米ができるんだよ!」という事実。これを子ども達に分かりやすいように、お米の始まりの物語を話しました。

お米が出来上がるまでの作業を、季節を追って見せます。まずは5月のゴールデンウィーク。お米は「田んぼ」という畑とは違った場所から始まります。東京にいるとなかなか田んぼにお目にかかれないので、写真を見せながら「畑と田んぼどこが違う?」と質問。すると、「お水がある!不思議!」とすぐにその特徴に気がつきます。「この田んぼに稲と呼ばれるお米の赤ちゃんを植えるよ。この稲はお米が種になっているんだよ」と田植えの様子を見せます。昔は人が手で植えていて大変な仕事だったこと、今は機械が行ってくれることをお話しします。

夏になると稲はすくすく大きくなります。その頃の田んぼを見ると…なんと「水がない!地面が割れている!」なんてこった。これでは真夏の暑さでお米が枯れてしまう…。子ども達、結構驚いています。でも大丈夫。お米はこの時期に根っこをぐんぐん伸ばして大きく成長するんだよ、だから安心して。そうは言っても、子ども達は半信半疑です。

秋になると無事にお米に実がつきます。このお米をもみと言います。もみを子どもに説明するときは、「白いお米がコートを着ているよ」とお話ししています。少しの間乾かして、もみを機械で一気に取り除いたものが玄米。そしてこの玄米は、「お米がお洋服を着ている」状態。最後に玄米のお洋服も綺麗にしたら、よく見る真っ白いお米ができるよ、こんな風に話しています。

お米は出来上がるまでに色々な呼び方があることも、子どもにとっては不思議なようです。蝶々が成長ごとに呼び方が異なるように、お米も成長ごとの名称があるということ。それを学ぶことは豊かな教養につながる知識であると思っています。

「お米は、稲→もみ→玄米→白米と形を変えて私たちの食卓に来てくれているんだよ」子ども達、この辺はちょっとつまらなそうにしています。ですが、いざ生活の中でもみや玄米が出てきた時の興奮具合といったら! 「へえー」とあんなに興味なさそうだったのに! とこっちがびっくりします。兎にも角にも学びにも、種まきです。いつか生活でぽっと出てきた時、反応できるように。

子どもにはまだ理解できない?を大人が判断しない

お米についての話は少し難しいですが、私は、子ども達にも十分理解できると思っています。子どもが学ぶ上で、親は一番の先生であると思っています。絵本の読み聞かせの途中で話を中断し、あれやこれや知識を詰め込むのはいかがなものかな、と思いますが、身の回りの不思議についてわかりやすく噛み砕いて説明することは、子どもにとって素晴らしい知恵になると思っています。

日々子どもにものを教える仕事をしていると、子ども達の「知りたい!」という意欲に驚かされます。少し難しいかな?と思うことでも、なるべく噛み砕いてゆっくり説明すると、子ども自身頭の中でイメージを膨らませ、自分なりに納得していく姿がみられます。この時に注意していることは、細かい事は気にせず、まずはざっくり大枠の理解を促すとこと。詳細や例外はとりあえず脇に置いています。

初めに戻って、お米はひと粒まで残さないように食べようね、というお話し。この壮大なお米の物語を知ると、俄然腑に落ちたようで綺麗に食べてくれるようになりました。ひと粒のお米から実る豊かな稲を見ると、自然の偉大さに感動します。

せっかくなので、お米を使って具材をたっぷり入れたおにぎりはいかがでしょうか? 栄養満点でボリュームもあるので、これだけでお昼ご飯にもなります。子どもとおにぎりを作るときのポイントは、「お茶碗にラップを敷く」ことです。こうすると、綺麗にご飯を包むことができるようになります。新米が出回るこの季節、子ども達と一緒に、とびっきりおいしいおにぎりを作ってみてください。

画像提供:Adobe Stock

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武田昌美(子ども料理研究家)

リトルシェフクッキング(株)代表取締役。フランスで料理の修行をしていた父の影響を受け、幼少の頃から料理に興味を持つ。航空会社にて客室乗務員をしながら、各地の料理や文化に触れ、知識を深める。2人の子どもの親となり、多くの子どもたちに料理の楽しさ、食の大切さを伝えていきたいと強く願い、2017年より「ママも知らなかった才能が花開くクッキングスクール」をコンセプトにした料理教室『リトルシェフクッキング』を主催。保有資格は、食育インストラクター、子供心理カウンセラー、フードコーディネーター。2019年3月、子どもが一人一人料理できる料理教室『リトルシェフクッキングEduCooking Lab』を東京都世田谷区にオープン。著書は、『失敗したって大丈夫!と言える子になる「子ども料理」のススメ』(クックパッド株式会社)。
【HP】https://little-chef-cooking.com/(ご予約はこちらから)
【Instagram】@masamis__kitchen
【YouTube】リトルシェフクッキング
【ブログ】子ども料理研究家 武田昌美の食育ブログ
【クックパッド】武田昌美のキッチン

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