育ち盛りのお子さんがいるご家庭では、お肉を使ったおかずが登場することが多いですよね。おいしいお肉をたくさん食べさせてあげたい気持ちと、限られた食費の中でのやりくりに悩んでいるみなさんのために! 肉偏愛料理家の長田絢さんに、スーパーで買うお肉を最高においしく食べる方法を教えていただきました。
こんにちは、肉偏愛料理家の長田絢です。私がこよなくお肉を愛するようになったきっかけは、体も心もズタボロの時に食べさせてもらったカツ丼がめちゃくちゃおいしかったこと。あまりのおいしさに、「お肉って、人をこんなに幸せにするんだ」と感じたのです。
お肉料理をしっかり食べる生活をしていると、代謝があがって痩せました。お肌はいつもしっとりとしてボディクリーム要らず。体力もつき風邪をひきにくい体質へと変化したのです。
そんな私の食生活は、もちろんお肉中心。朝からお肉を食べることもあれば、1日に2〜3回食べることもあります。大事な仕事の前は、お肉を食べて力をつけていきます。今回は、お肉大好きな私が、スーパーで買うお肉で、節約になって、健康にもなれて、さらに幸せになれるお肉の知識をご紹介したいと思います。
まず、何のお肉であっても、スーパーで買うときにチェックしておきたいのは、ドリップがでていないものと色が黒ずんでいないものです。 私は、スーパーでは基本値引きシールのついたものを購入しますが、この2つのポイントをクリアしていたら、値引きシールがついたお肉も十分おいしく食べることができます。
牛・豚のこま切れ肉
こま切れ肉のパックには各種部位がランダムに入っています。安いのは、品質が悪いからではなく、部位を選べない分お得だから。お肉がつながっていないので、1つ1つが細かくなっていますが、切る手間が省けるので、細かく切って使う料理にはぴったり! 部位ごとに選んで買うよりも、安くてバランスが取れるのですごく便利だと思います。
牛・豚の切り落とし肉
お肉が繋がっていて1枚が大きいことが多いので、リッチな気分になれます。家ですき焼きの時は切り落とし肉で十分! お値段が高いすき焼き用のお肉と同じ牛だったりするので、切り落とし肉はとってもコスパがいいんです。 また、牛肉の切り落としの場合は牛丼を作るときにぴったりです。
鶏もも肉・鶏むね肉 鶏肉は鮮度が大事なので、買うときのチェックポイントは、色ツヤとハリ! また、火が通りにくい鶏肉は、冷蔵庫から出してすぐに焼いてしまうと表面だけ焦げて中は生焼け……ということになりがちです。そのため、調理の30分前には冷蔵庫から出しておくことをおすすめします。 常温に戻したら、フォークで皮に穴をあけ、包丁で余分な脂・筋を取り除くことで歯切れも火の通りもよくなります。また、焼き縮みも防げますよ。
私は「からあげは家族の一員」だと思っています。鶏肉料理の中でも特に好きなから揚げは、奥が深く、無限の可能性を秘めた料理です。から揚げに限っては、良いお肉を使えばおいしくなるものではないんです。むしろ、安いお肉のほうがおいしくできたりします。 なぜなら、から揚げのおいしさの秘密は、プリプリ感やジューシーさ。地鶏を使うと固い仕上りになってしまいがちなので、水分が多い安い鶏肉のほうがおいしく仕上がるんです。
長年研究を続けてきた、我が家の一員でもあるから揚げのレシピをご紹介します。
鶏もも肉…1枚(300g) 酒…大さじ1 しょうゆ…大さじ1 長ネギ(青い部分を半分に切る)…1本分 ショウガ(すりおろし)…10g 薄力粉…15g 片栗粉…30g 揚げ油…適量 レモン(くし形切り)、パセリ…各適量
1.下味をつける
鶏肉の余分な脂や筋を取り、50gずつに切り分け、保存袋に入れる。酒、しょうゆの順に入れて、その都度よくもみ込み、長ネギ、ショウガを入れてさらにもみ込む。冷蔵庫でできれば3時間ほどねかせる。
※急ぐ場合は30分ほど。
2.衣をつけて揚げる(1度目) バットに薄力粉と片栗粉を混ぜて広げ、水分をよく拭き取った1に薄くつけて、160度に熱した油で4~5分揚げる。
3.余熱で火を通す 取り出して2分おき、余熱で火を通す。
4.高温で揚げる(2度目)
油温を200度に上げ、3を再度入れ、カリッとするまで30秒〜1分ほど揚げて取り出し、バットで油をきる。お好みでレモン、パセリを添える。
※出来上がり後の冷蔵保存1~2日。冷凍保存1ヵ月。
我が家では、お肉は1kgなど大容量パックを買ってきて小分けに冷凍しています。冷凍保存の際のポイントは、「空気に触れさせない」&「温度を一定に保つ」こと。 お肉をそのままの状態でうまく冷凍するのは、実はとっても難しいのです。本当だったら開かずの冷凍庫での保存が理想的! ですが……、一般の家庭でそれは難しいので、以下のテクニックをご紹介します。
・できるだけ早く凍らせる
・ラップや保存袋に小分けしたものは、さらにアルミホイルで包んで冷凍する
・1か月以内に使い切る
・お肉のままより、下味などつけてから冷凍する
・解凍は、調理数時間前から冷蔵庫に移しゆっくり解凍する
※湯せんや電子レンジを使った急な解凍は、ドリップが出やすくなります
大量パックの豚こま肉を買った時におすすめの、豚丼の具をご紹介します。1人分ずつに小分けして冷凍しておけば、忙しい時にすぐ食べられて便利ですよ!
豚こま切れ肉…250g
塩、コショウ…各少々
タマネギ(薄切り)…1/2個分
片栗粉…大さじ1
油…大さじ1/2
●たれ(混ぜ合わせておく) 酒…大さじ1 みりん、しょうゆ…各大さじ3
ご飯…お好みの分量 白いりごま…適量
1.下ごしらえをする 豚肉に塩、コショウをふり、茶こしで片栗粉をまぶす。
2.電子レンジで加熱する
タマネギは耐熱容器に入れてラップをし、レンジで2分加熱する。
3.フライパンで炒める フライパンに油をひき、中火で2を炒め、1を加える。
4.調味する 焼き色がついたらたれを入れ、汁けがなくなるまで煮絡める。
5.仕上げる
ご飯の上に4をのせ、いりごまをかける。
※出来上がり後の冷蔵保存1~2日、冷凍保存1か月。
実は、昔の私はお肉は好きだけど料理は苦手で、食べること自体にもあまり執着がありませんでした。それでも食の重要性に気づき、料理家になったのは出産・子育てを経験したことにあります。
体が弱かった子どものために、食材からこだわる料理を作りたい! と思い、家畜現場や農家など生産者さんのもとを訪れ、「いつかお肉が買えなくなったら自分で獲ろう」と狩猟免許まで取得しました。そんな私は、お肉を食べることで家族みんなが元気になると思っています。
例えば、ご紹介したから揚げのレシピ。最近では、から揚げ専門店も増えてきていますが、自宅で好みの下味をつけて、好きな揚げ方をしたものを味わう機会もとても大切だと思います。それぞれのご家庭で、研究を重ねて完成した”お家の味”は王者です。それに、作れば作るほど、研究を重ねられて上手になっていくはず。から揚げに限らず、各家庭で肉料理のレシピを「我が家の遺産」として残してほしいです。
食育という観点からも、「お母さんのこの肉料理が好き」と継承されていくと良いなと思います。お家でしか作れないものってあるんですよね。それこそ、子どもと一緒に作ったり、素材からこだわったり。家族みんなで肉料理を楽しんで作ってほしいと思います。
撮影:松原伸一郎、高倉弘幸(スタジオプルミエ)
漫画:ユニ
(TEXT:上原かほり)
「40を超えるレシピ掲載、100の食べるコツを漫画で読みやすく1冊にまとめました。一家に1冊あると便利です! クックパッドを見られる方は、お料理好きな方が多いと思います。でも、中には昔の私のように、「料理をしたことがない」とか「苦手意識がある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。料理が得意な方に限らず、多くの方に「これならできそう!」と思ってもらえるきっかけになれたら嬉しいです。それに、調味料が少ないレシピになっているので、お肉料理の基本編みたいな感じで作ってみてください」(長田さん)
1982年2月4日 神奈川県横浜市生まれ。幼少の頃からプロダクションに所属し子役として活動、20歳で長男を出産後、食と健康の大切さに目覚め、人体学・脳科学・分子栄養学を独学。 子育てをしながら27 歳で高卒認定試験に合格、大学受験をして名古屋女子短期大学入学と同時にJapanFoodExpertを創業。在学中、生産地を訪問して勉強を重ね、食材卸や料理教室などの活動を行う。卒業後、栄養士を取得し、食をテーマとした講演やセミナー、料理教室、商品開発やレシピ制作、テレビ番組やラジオの出演、コラムや情報誌への執筆などの活動を行っている。(独)中小機構地域活性化支援アドバイザー・6次産業化プランナーに選定され、農商工等連携認定事業や6次産業化のサポートも行い、2015年度には「がんばる中小企業300社」に選定される。魅力あふれる街づくり、地域を活性化するため地域創生事業プランナーとして、各市町村のコンサルティングを行ったり、飲食店開業支援やプロデュースなど食の分野で幅広く活躍中。