【話題のダイエット本、試し読み Vol.10】ちまたに溢れるダイエット本、ゴールはみんな同じですが、そこにたどり着くための方法は本の数だけ存在しています。本連載では、話題のダイエット本のメソッドを編集部がダイジェストでご紹介。ご自分にぴったりのダイエット本を、ぜひ見つけてみてくださいね。
今回ご紹介する本『食べても太らず、免疫力がつく食事法』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))は、体重を減らして痩せるのではなく、健康な体を目指すことで、痩せることを提唱するダイエット本です。
著者は、消化器外科医、ヘルスコーチの石黒成治さんです。本書は、石黒さんご自身が試行錯誤しながら4ヶ月で14kgのダイエットに成功した体験や、年間200例の大腸がん外科治療を10年以上経験するなかで見えてきた食事法を解説しています。
ダイエットを考える方は、体重を減らすことを目的としがちですが、本書では「痩せることがゴールではない」と警鐘を鳴らします。
肥満の症状は、健康異常という氷山のほんの一角。その下には、何倍もの体の異変が起こっている可能性があります。特に、長年の不摂生で内臓脂肪が大量に蓄積している人は、さまざまな健康上のデメリットが隠れていることも珍しくないのです。
生活スタイルを見直し、健康な体に近づけていくことで、結果的に体重も減っていく=ダイエットができるのです。
人間の免疫システムの7割は、腸に集まっているといわれています。現在太っていたり、内蔵脂肪がたっぷりついている人は病気のリスクが高く、腸内細菌のバランスが悪化している可能性もあるため、人間が本来もつ免疫力を十分に発揮できないまま生活している状況だと本書では解説しています。
太る原因であるホルモン異常を上手にコントロールしながら、腸内環境を改善することが、健康的に痩せるためのポイントなのです。
また、今までの習慣を見直し、健康的な生活習慣を身につけていくことも大切です。
石黒さんは「健康的な生活習慣を身につけるには、最初の28日が勝負」と考えます。この期間に、食習慣、運動習慣、睡眠習慣を意識的に身につけていくことで、その後の体調や体型が劇的に変化していくのです。
具体的にどのような習慣を身につけるのかというと、
・食習慣…間欠的ファスティングを身につけること
・運動習慣…1日2分運動することを身につけること
・睡眠習慣…睡眠前に必ず深呼吸をしてから就寝すること
の3つです。
ここからは、上記3つの習慣のうち「食習慣(間欠的ファスティングを身につけること)」について詳しくご紹介していきます。
ファスティング(断食)は、ダイエットや食習慣リセットの方法として、しばしばクローズアップされます。断食ときくと「何日もかけて断食する、つらい方法」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
本書で紹介している「間欠的ファスティング」は、1日の時間を「食べる時間」と「食べない時間」に区切って過ごすという方法で、数日かけて食べない時間を過ごすものではありません。
「間欠的ファスティング」は、1日のうち、食べる時間を8時間以内に設定します。一見簡単そうに見えますが、だからといっていきなりファスティングを開始するのはNG。2週間ほどは、体の準備期間が必要です。
間食などで、こまめに糖質(炭水化物)を摂取するクセがついている方は、糖質中毒となっている状態から抜け出すために、1週間程度は食事以外の炭水化物は摂らない・おやつを食べないようにする期間を設け、体の準備をすすめましょう。
また、ファスティング前の1〜2週間前から、良質な脂質だけを摂るようにする必要があります。具体的には、動物性の脂質やバター、オリーブオイル、ココナッツオイル、アボカド・アーモンドなどの良質な脂に切り替えていきましょう。
ここまで準備ができたら、いよいよ間欠的ファスティングに取り組めるようになります。
1週目はボーンブロス・ファスティング(牛・鶏・魚の骨からとったスープと水分を摂取しながら3日間過ごす)を行い、糖質を極限までカットし、腸の安静をはかります。
2週目〜3週目は、食事をとる時間帯を徐々に短くしていきます。はじめは朝食を遅らせることから開始し、次第に朝食を抜きます。
4週目は体調と相談しながら、食事ができる時間をさらに短くしたり、1日1食にするなどのチャレンジを行います。
ファスティング期間中は、摂取する脂質をコントロールすることが難しい外食や市販のお惣菜はなるべく控え、手作りの食事で良質な脂質だけを摂るよう努めます。
このファスティングは期間を決めず、ずっと続けることができます。著者の石黒さんは、毎日8時間以内の食事をずっと心がけ、実践しているそうですよ。
間欠的ファスティングを行うことで、肥満の背景にあるホルモン異常や代謝障害が改善していくことが期待できると解説されています。より詳しい間欠的ファスティングのやり方は本書に書かれていますので、気になる方はぜひ手にとってみてください。
本書では、上でご紹介した食習慣の改善のほか、運動を習慣化させるコツや、腸内環境を改善させる方法なども紹介しています。
「運動」「睡眠」「ストレスマネジメント」に関する健康的な生活習慣をつけたいと思う方は、ぜひ本書をご参照ください。
最後に、著者の石黒さんから、ダイエット中のクックパッドニュース読者へ向けたメッセージをいただきましたので、ご紹介します。
「“腸活”と言う言葉が流行り始めて数年たちますが、腸内環境の重要性は実は医師の間でもまだ理解されていません。何かと感染という言葉に敏感な時期ですが、“免疫”という体の感染防御システムを、腸内の細菌がコントロールしている事実は知っていなくてはいけません。この本では僕自身が学び実践した内容が書かれています。是非みなさんも腸内環境改善に取り組んでください!」(石黒さん)
食事をただやみくもに我慢するのではなく、体によいものを食べながら腸のコンディションを整え、生活を改善して健康な体を手に入れることが大切と説く本書は、無理な食事制限を行ってつらい思いをした方や、体重計の数字ばかり気になってしまうという方におすすめです。
2022年は、体重の増減ではなく、自分が健康な体かどうか? を意識する、新しい視点のダイエットに挑戦してみてはいかがでしょうか。
(TEXT:菱路子)
※ メイン写真は記事をイメージして選定させていただきました
画像提供:Adobe Stock
ダイエットはなぜ失敗するのか? その理由は腸内環境とホルモンにあった!40代を越えたあたりから、私たちはどこか体の不調を訴えたり、「食べていない」にもかかわらず、体重が増える。しかし、その原因がいったいどこにあるのか分からないまま過ごし、いつの間にかメタボな体になっていく。
そういった方々が、巷にあふれるダイエット法を実行し、「健康」を手に入れようとするのだが、その後のリバウンドで、結局もとの状態に戻ってしまう……。健康とはなかなか手に入らないものだ。
本書は、シンプルに「食事法」に着目し、それを改善することで、健康を手にし、ダイエットもできるということをエビデンスベースで解説する本だ。単に痩せるだけでなく、「食べながら」健康を手に入れる――その鍵となるキーワードが「ホルモン」だ。