コロナ禍で自粛生活が続く中で、「コロナ太り」に悩んでいる人が増えています。以前よりも動かなくなったり、家でおいしいものを楽しむようになったり、体重が増えた理由はさまざま。でも、増えた体重を減らしたいという思いは同じですよね。そこで今回は、2021年11月11日に発売の「101の科学的根拠と92%の成功率からわかった満腹食べても太らない体」著者である富永康太さんに、「食欲コントロール法」についてお話を聞きました。
――富永さんが提案している「食欲コントロール法」とは?
一般的なダイエットは、糖質制限、カロリー制限、食事の量を減らすなど、“抑えましょう”というものが多いと思います。しかし、それは一時的な体重減少になるだけで根本的な解決にはなっていないんです。食べ過ぎてしまっているのなら、その食べ過ぎてしまっている原因を解消し、食べすぎない状態を自然に作っていきましょう! というのが、僕が提案している「食欲コントロール法」になります。
――YouTubeやTwitterを使って「食欲コントロール法」を発信することになったきっかけはなんですか?
今の食欲コントロール法の基本となっているのは、以前、理学療法士の仕事をしていたときに得た経験や知識です。理学療法士として働く中で、病気になって苦労する人を減らしたいと思うようになりました。でも、若い人たちには「予防」という言葉がなかなか響かなかったんです。人は、問題が起きてはじめて危機感を持つものなので、若い人たちにも生活習慣の大切さを理解してもらうために「ダイエット」というキーワードを使ったのがきっかけです。
――予防からのダイエット発信だったんですね。ダイエットについての発信を始めて感じたことはありますか?
ダイエットで悩んでいる方からたくさんの相談が届きます。その中には、「体重減らすこと=食事を減らすこと」という間違った考えから、摂食障害や過食性障害になったという人も少なくありません。僕は、食べることがすごく好きなんです。だから、ダイエットを気にしすぎて友達との食事が楽しめないとか、家族と一緒の食事ができないという方の話を聞くたびに、すごくもったいないなと感じます。1人でも多くの人に、できるだけ早くそういった状態から抜け出してもらい、健康的で楽しい人生を送ってもらいたいと思います。
――コロナ禍になり、富永さんのもとに届く相談の内容は変化しましたか?
過食の相談が増えました。コロナ禍のストレスが食欲に影響している人が多いと感じます。通常だと、コロナ禍で運動量が減ったら食欲も減るものですが 、「食欲コントロール」ができていない人が多いようです。大きなストレスというよりは、小さなストレスの積み重ねでそうなってしまったという印象です。どこにストレスを感じているかに気付けていない方がほとんどですが、細かく問診をすると、その原因になっているストレスが見えてきます。
――問診をすることで見えてくる「食べ過ぎてしまう原因」はどのようなものが多いのでしょうか。
ダイエットで悩む方の中でも、特に女性は自分の気持ちを溜めこみ、自分さえ我慢しておけば良いと気を遣っている人が多いです。しかも、自分ではそれに気づいていない。食欲の乱れの多くはストレスが原因です。
問診では、食べ過ぎてしまう前の感情を書き出してもらいます。不安なこと、誰に対してこんな感情があるということ。毎日、寝る前に1日の感情を書き出してもらうんです。自分がそういう感情を持っていることを自覚し、その考え方を変えていくということを理解するのが目的です。
――自分の感情や考え方を理解することがどのようにダイエットに役立つのでしょうか。
食事のバランスが乱れているだけなら軌道修正することは簡単なんです。特に体重は、頑張れば結果につながるのでコントロールしやすい。ただ、表面的なところで痩せると必ずリバウンドします。リバウンドしないダイエットをするなら、やはり根本的なところから原因を探って改善していくしかありません。
――富永さんが推奨する、食欲コントロールがしやすくなる日々のルーティンを教えてください。
朝のルーティンが大事です。朝は同じ時間に起きる。そして目覚めてすぐにコップ1杯の水を飲み、カーテンを開けて太陽の光を浴びたら、朝食を食べて、余裕があれば体を動かします。このルーティンによって、体内時計を刺激して自律神経やホルモンを切り替え、1日を活発に過ごすことができます。 休みの日に、お昼頃まで寝たり、ダラダラ過ごすと自律神経やホルモンのバランスが崩れてしまいます。なので、休みの日も同じルーティンで過ごすことをおすすめします。
――起きる時間はどのくらいがベストなのでしょうか?
できるだけ7時までには起きたほうがいいです。朝食は、炭水化物、タンパク質、野菜をバランスよく摂れる和食がおすすめです。
――夜のルーティンとして大事なものはなんですか?
お風呂にちゃんと浸かって、日中緊張していた体をしっかりほぐしてあげることが大事です。緊張した状態で寝ようとすると、体が布団に適応してくれず寝心地が悪くなって目が覚めたりします。ストレッチをして、寝ている間の脱水を防ぐために寝る前にお水を飲んでください。そして、できればお風呂入った後は、眠りの質を下げないためにもスマートフォンなどは触らないほうがいいです。
――富永さんの著書には、「はちみつ」や「酢キャベツ」「ベーグル」「玄米」などのおすすめの食材が多数出てきます。この中で、どの食材を優先的に取り入れると良いというのはありますか?
食欲が乱れている人に一番効くのは「はちみつ」です。はちみつは長時間血糖値を安定させる働きがあります。夜中に目が覚めてしまうという人は、寝る前にはちみつをスプーン1杯摂りましょう。また、日中に食べ過ぎてしまうという人も、朝からはちみつを食べると低血糖を防ぎ、食欲が安定して痩せやすくなります。
はちみつを使った料理とかでもいいですよね。僕がおすすめするのは、朝は「はちみつレモン」で目を覚まし、寝る前は「はちみつ湯」で体を温めて寝るというルーティンです。
――本の中に、「白米を最初に食べたほうがいい」とあったのが驚きでした。
最近は血糖値を上げない食べ方として「ベジタブルファースト」が定着していると思いますが、相談される方からの声を聞いていると、食後に満足感がないという方が多かったんです。満足感に影響する要因は、血糖値が上がったかどうか。白米を先に食べることで、食事の満足感が高くなり、間食をしにくくなります。
ちなみに、野菜を先に食べて血糖値を上げないようにする方法は、糖尿病の方には有効です。
――ダイエットに良いと思っていることが、実は効果的ではないということはたくさんあります。富永さんが考える、やってはいけないダイエットや、やるべきダイエットを教えてください。
「◯◯ダイエット」と、食材1品や必要な栄養素をカットするような名前のついたものは基本的にはやらないほうがいいと思います。ダイエットは、イベントではなく続けられるものを選んでほしいです。痩せた体形を健康的に維持したいのであれば、続けられるものを選び、生活習慣を変えていくのが一番です。あと、できる人は、5分でも良いので昼寝をすることをおすすめします。眠気やダルさを取り除くだけでも、食べ過ぎを防ぐのに効果があります。
――最後に、毎日忙しい方たちが、最も取り入れやすい「食欲コントロール法」はありますか?
現代人はとにかく忙しいので、クックパッドのようなレシピサイトを見て、できるだけ手を抜いて作れる食事を見つけてうまく活用していくことです。いかに手抜きをして、睡眠時間や心のゆとりを作っていくかということが大切だと思います。料理や洗い物、掃除は時短しやすいので、どんどん時短にして睡眠時間を確保してください。もし、睡眠時間が確保できているなら、次に趣味の時間を作っていくということが大事だと思います。
また、食事を摂るとき、用意されたから食べるのではなく、お腹が空いているかを自分の体に聞いてください。特に太っている男性の多くに見られるのが、お腹は空いてないのに、大盛りを食べたりする方たちです。食べようと思えば食べられてしまうけど、目の前に出ているものを全部食べるのではなく、腹八分目にすることを意識すると痩せますよ。
(TEXT:上原かほり)
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「食欲が乱れているなと感じている方は、1,2章をしっかり読んでみてください。ある程度安定している方、もう少しプラスαでダイエットに取り組みたいという方は3章がおすすめです。1章を読んでもらうことで、世間で言われているダイエットについての情報が、本当に正しいのかということを考え直すきっかけになると思います。「これは食べてはだめ」とか、禁食のダイエットをしている方には、2章の心理の部分を読んでいただきたいです。この本には、一生痩せ型をキープできるノウハウが詰まっています」(富永さん)
これまで、さまざまなダイエットに挑戦し、リバウンドを繰り返してきたという方にとっては、待っていました! という一冊。ダイエットをしながら病気予防にもなるノウハウが詰まっています。
食欲コントロールダイエット協会代表理事。 西日本リハビリテーション学院卒業後、理学療法士として、広島市内のクリニック、熊本の医療法人フォーチュンなかがわ整形などに勤務。生理学や解剖学など医学的知見を用いて、延べ3万人の患者の治療に携わる。 その中で、対症療法的でなく「体に元々備わっている機能を正常に戻す」理学療法士の根本的治療の知見が、体重コントロールにも通ずることを実感し、ダイエットについて学び始める。2016年5月に体質改善サロンとして「Leaf」開業。 2019年「一般社団法人 食欲コントロールダイエット協会」設立。 現在はサロンだけでなく、電話相談やオンラインダイエットなども行っている。 オンラインサロンでは、ダイエットによって過食や拒食といった摂食障害に陥ってしまった人から、何十年もダイエットを失敗し続けている人など年間200人を超える人を指導。 SNSでも積極的にダイエットに関する情報を日々発信しており、インスタグラムのフォロワーは5.5万人、YouTube「食欲コントロールダイエット講座」はチャンネル登録者数 7.3万人、Twitterフォロワー数3.4万人。