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コラム

新しい食べ方発見!ギュッと凝縮した大豆の甘みを堪能できる「豆腐のお刺身」がシンプルでおいしい

【工藤詩織の「お豆腐」を求めてぐるり旅 Vol.3】お豆腐の魅力に取り憑かれていると言っても過言ではない、無類の豆腐好きである工藤詩織さん。あちこち旅をして出会った、日本各地の個性豊かな「お豆腐」たちを紹介していただきます。読めば、あなたもまるで現地を訪れたような旅行気分が味わえますよ! 第3回目は、合掌造り集落で有名な富山県・五箇山エリアで作られている、荒縄で縛っても崩れない「堅豆腐」をご紹介します。

冬になると思い出す一丁

冬になるとどうしても食べたくなる豆腐があります。それは3年前、雪が深々と降り積もる冬の真っ只中に旅した富山県南砺市の五箇山エリアで出会った「堅豆腐」です(「固」を使う場合もあります)。

世界遺産の合掌造り集落や日本一古いと言われる民謡「こきりこ節」で有名な五箇山は、日本の原風景が残る里山です。この地域で作られてきた荒縄で縛っても崩れないほど堅い豆腐は、山深い豪雪地帯で貴重なタンパク源として重宝されてきました。また、この地で信仰の厚い浄土真宗における法要や祭り、正月などのハレの日の食事にも欠かせない食材です。豆腐店がなかった時代には、豆腐づくりは各家庭の女性たちが担い、代々受け継がれてきたそうです。

地元の豆腐店「ねこのくら工房」さんを訪ね、堅豆腐づくりを見学させてもらいました。地元の大豆と清らかな湧水で作られた自慢の堅豆腐は、通常の木綿豆腐よりも長時間圧縮して限界まで水分を切ることで、大豆の風味をぎゅっと凝縮させたような豆腐に仕上がります。ご主人が丹精込めて作り上げた一丁には、「幼少期から慣れ親しんでいた堅豆腐の文化が途絶えぬように」という願いが込められているようでした。雪のように白く輝く豆腐。まるで芸術品でした。

堅豆腐をじっくり味わえる食べ方は◯◯

恥ずかしながら五箇山を訪ねる前までは、「堅豆腐は調理用の豆腐」という印象を強く持っていました。崩れにくい分、焼き目をつけたステーキ、串に刺して焼き味噌をたっぷり塗った田楽、出汁をたっぷり吸わせた煮物などに向いているのは事実です。

しかし、堅豆腐を堪能できる食べ方は、なんと「刺身」! 薄く切って醤油をつけて食べる、という実にシンプルな方法でした。薄く切った豆腐を箸でつまんでも崩れる様子は全くありません。そんな力強さとは裏腹に、じっくりと噛み締めれば素朴で優しい大豆の甘みが溢れ出しました。五箇山でこの食べ方を一度知ってしまってからすっかり虜になり、堅豆腐を見かけたらまずは刺身で味わうようになりました。

さっそく堅豆腐の刺身を食べてみたい、と、思ってくださった方もいらっしゃるでしょうか。いきなり現地からお取り寄せするのが難しい場合は、スーパーでできるだけ堅い豆腐を買って現地の食べ方を再現することも可能です。7〜8ミリ程度の長方形にカットし、さらに斜め切りして盛り付ければ完成です。わさび醤油、塩、生姜など、お好みの調味料や薬味とともにどうぞ。食べ進めているうちに、すっかり五箇山が恋しくなりました。また必ず訪れたい場所です。

まいにち豆腐レシピ』(池田書店

健康的で経済的、豆腐の魅力はそれだけではない! 年間1000食以上豆腐を食す著者が、豆腐の製法・歴史・文化などさまざまな側面から豆腐の魅力を伝えるとともに、料理家牛尾理恵による、田楽、ゆし豆腐、鹹豆漿(シェントウジャン)、豆腐のガパオ風炒め、麻婆豆腐、ほか102レシピ掲載。豆腐について知りたかったことがすべて知れて、おいしく食べるためのレシピも盛りだくさんな一冊です。

レシピ担当:牛尾理恵(ウシオリエ)

料理家、栄養士。東京農業大学短期大学部卒業後、病院の食事指導、料理制作会社勤務を経て独立。手軽なヘルシーレシピを得意とし、自身も食事管理と筋力トレーニングで日々健康的なからだづくりに臨んでいる。著書多数

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工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。

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